再会-仲間
ハイウルフとの激戦の次の日、俺と玲奈は緊急会議を開いていた。
「昨日の反省。あそこまでのボス級となるとポーションなんて使ってられないと思う」
玲奈がそう主張する。
「俺もそう思うな。俺ならポーションだろうがエーテルだろうが大丈夫だが、玲奈の場合前線だからな。念のため数個もっておいていいけど、回復は俺がかけたほうが安全だろ」
いつかは前線のメンバーが必要かもしれないな。
「そして次、もう少し足留めようの技を作らないといけません」
剣では足を深く切らないと無理だ。魔法でどうにかできるだろうか?
「それについては俺が考えておくよ。次は装備についてでいいか?」
「いいけど、何かあるの?」
「俺が思うに、玲奈はもっと軽い装備にした方がいい。火力は俺も支援するし、自分自身の魔法をあるんだから無理やり重さを追求しなくてもいいと思う。今度買う時は軽量装備を意識してくれないか?相手を翻弄するスタイルになってほしい」
できれば攻撃に当たらないでほしい。あのレーザーが玲奈に当たった時は本当に怖かった。
「別にいいよ。あんなに速い攻撃は避けれるようになるかわからないけど」
その他にも陣形や戦術の確認をして緊急会議は終了した。
20Fのボスも倒したのであとは通常ボスのだ。26Fになってようやく20Fボスと同等のボスが出現するので、次のボスはハイウルフよりも楽に倒せる。
俺と玲奈は意気揚々と21F、22F、23のボスを倒し、次の日に24Fのボスを撃破し一番早くダンジョンを攻略することができた。
「宝箱持ってきたけど...どうやって開けるの!?」
クリアボーナスとして拾った金色の宝箱。宝石らしきものもいくつか付いている。めちゃくちゃ豪華なのだが開け方が分からない。
クリアしたとバレる可能性のある聴きこみもできないので色々な方法を試している。
「開けごま!、宝箱よ開け!、Open BoX!」
玲奈が壊れてきている...
俺はまだ何もやってないが、おもしろいのでさっきから見物している。
「連音も何かやってよ。私ばっかひどいよ」
台車引いたのは俺だけじゃなかったか?
「うーん。っほい!」
言葉に合わせて宝箱に魔力を注ぎ込む。
予想通り宝箱は音もなく開き、中のアイテムを開放する。
「うそ...どうやったの?」
「ここに魔水晶があるだろ?だから魔力を注ぎ込んだ」
それよりもほら、そう言って玲奈にアイテムを渡す。
アイテム名「オモイデノツルギ」。固有名詞がついてるのはレアだって話だ。
俺が触っても何の変化もなかったアイテムが、玲奈が触れた瞬間に形を変え始めた。
形が変わった剣はオモイデノツルギのままだが、形はレイピアに似ている。いや、どっちかといえば玲奈の剣に似ている。
玲奈がその剣を持って試しぶりをしている。
「今までのより手に馴染んでる。とっても軽いのに、攻撃力が上がってるのが分かる」
剣士専用のアイテムだろうか?持ち主の欲しい形状の武器に変化するのだろう。
「良かったな。それで武器の買い替えが必要ない。防具だけだ」
玲奈が大きく口を開けてこっちを向いた。うん...その顔も可愛いと思うが。
「いいの?売ったほうがお金になるとおもうけど」
「別にいいだろ。お金も拾った素材だけで結構行くだろうし、家も建った今必要なのは少しの金と税金分ぐらいだ」
「でも...」
「それにそんなのを売ってみろ。どこで拾ったのかすぐバレるぞ」
この言葉にようやく納得したのか、幸せそうな顔でお礼を言ってきた。
それだけうれしいならお金以上の価値を俺も貰える。
一段落ついた所で、俺はようやく気になっていたアイテムを取り出す。
「玲奈、これどう思う?」
取り出したのはハイウルフの魂。ネックレスの装備品だ。
「特に効果はなさそうなんだけど...なんかオーラを感じる」
「オーラか、俺はもっとはっきり感じるぞ。明らかに魔力がこもってる。ただほんとに少ししか残っていない」
「魔力?それなら宝箱みたいに注ぎ込んでみたら魔法が使えるかもね」
それもそうだと思って、できるかぎりの魔法を込めてみる。
リングに入る魔力要領は結構あるようで、10秒以上かかった。
魔力の注入を終え首に玲奈の首にかけてみる。
装備したことにより魔法が発動したのか、部屋が光に包まれる。
あまりの眩しさに目を瞑ってしまい、目を開けた時には腰を抜かしてしまった。
「ガウ!」
倒したはずのハイウルフレイが、全長1メートルほどになってしまっているが確かにウルフがいた。
名前を確認した際に、モンスターにはありえない表示があることに気づく。
「ハイウルフレイ...召喚獣?」
それだけでなく、使えるスキルや残り魔力残量などが表示されている。
うれしいことに残り発動可能時間も表示されている。あと87559時間。
「はは、メルさんの言ってたアイテムだよ。世界にひとつだけのアイテム、ユニーク品」
「まじかよ。俺が最高の装備に魔法付加しても買えそうにないな」
「当然。召喚獣は死んでも一旦戻るだけで、魔力さえ込めれば再召喚可能なんだよ。倒したボス並の実力を持っていて、戦っていくともっと力をつける。それは再召喚しても変わらない」
「俺達って結構やばいものばっかだな...」
その後は二人共何も言わず、ハイウルフも空気を読んだのかおすわりして待機していた。
そのままベットに入って夢の世界へと旅立ち、ようやく次の朝に心が戻ってきた。
「とりあえず王都にもどろっか。ハイウルフの名前も決めないとね!」
「ん、召喚したままでいいの?」
ばれてしまっては今まで隠してきた意味が無いのではないか?
「大丈夫よ。どうせアイテムは盗めないんだし、魔法すら隠せば大丈夫」
「名前ね、お前が決めてやれよ。俺には才能がないからな」
俺が決めたら「ぽち」や「レイ」なんてそのまんまな名前になってしまう。
「ん、王都までに決めおくよ」
話をそこで終り、ウルフには部屋に残ってもらって急いで食事を食べた。
荷造りをし女将さんにあいさつをして王都への帰路につく。
往復でだいたい一週間。ダンジョン攻略に20日ほどかかっているのでちょうど一ヶ月だ。
王都に戻った頃には家ができていることを願いつつ、台車を引くウルフを見る。
体は小さくなったものの(スキル発動で元に戻った)、台車を引く力ぐらいは朝飯前のようで今も荒れた道を引っ張ってくれている。結構なアイテム量のため相当力が必要なのだが。
餌は必要かと遊び半分にウルフに聞くと、首を横に振ったので驚いた。狼がとても頭がいいのか、召喚獣だからかは分からない。
ウルフの綺麗な毛を触りつつ、何のすることもないので久しぶりにステータスを開く。
名前:レオン・カミシロ
所持金:3600
-職業-
魔法師(Lv132)
スキル:「火・水・風・土・光・闇・雷・空間」/ボール系/ウォール系/ストーム系/支援系/メテオ系/回復系
薬師(Lv9)
スキル:調合/薬鑑定/素材鑑定/素材発見
鍛冶師(Lv240)
スキル:アイテム作成/武器作成/素材鑑定/素材発見
ヒーラー(Lv6)
スキル:回復魔法/退魔魔法
-称号-
神の魔法師:知識の上昇。魔法の威力増加。魔法職の経験値アップ
加護を受けし薬師:調合の効率の上昇。薬の判別が可能。素材の判別が可能
親方鍛冶師:力上昇
見習いヒーラー:体力の上昇。回復系スキルの効果が上がる。魔法職の経験値アップ
「...増えてる」
俺のつぶやきが聞こえたのだろう。玲奈が俺のステータスを見る。
「鍛冶師にヒーラー?新しく職を得ることもできるみたいね」
そっちも驚きだが魔法師と鍛冶師のレベルおかしいだろ。こっちの方が気になるだろ!
「玲奈はどうなんだ?」
俺が言うまでもなくすでに玲奈は自分のステータスを開いていた。
名前:レナ・タカナシ
所持金:2565
-職業-
剣士(Lv96)
スキル:垂直斬り/水平斬り/剣風/突き/ガード
魔法師(Lv56)
スキル:「火・水・風・土」/ボール系/ウォール系/ストーム系/支援系
魔法剣士(Lv8)
スキル:「火・水・風・土」/魔法追加攻撃
-称号-
天才剣士:力の上昇。剣の威力増加。剣士職の経験値アップ
天才魔法師:知識の上昇。魔法の威力増加。魔法職の経験値アップ
見習い魔法剣士:力、知識上昇。剣、魔法の威力増加。剣士、魔法職の経験値アップ
「そっちは魔法剣士だけか。効果が結構多いな」
「たぶん連音の鍛冶師やヒーラーは特有のスキルを使ったからだと思う。鍛冶師は魔法付加、ヒーラーは回復かな」
ふむ。それなら色々なことをしてたくさん職を得られれば結構な補正になるな。
街に戻ったら色々試してみよう。
ちょうど目の前猪に似ているベルンが出てきた。
すぐにアースクエイクで倒し、ウルフが食べるか試してみる。
ウルフが少し嫌がったので、火を通して再度試してみたところ今度は美味しそうに食べ始めた。
「美食家かよ!」
意外なウルフの食事事情に突っ込みつつ、開いたままだったステータスを消そうとする。
一瞬みたステータスの欄のなかにおかしい部分があったので再度開き直す。
名前:レオン・カミシロ
所持金:3600
-職業-
魔法師(Lv132)
スキル:「火・水・風・土・光・闇・雷・空間」/ボール系/ウォール系/ストーム系/支援系/メテオ系/回復系
薬師(Lv9)
スキル:調合/薬鑑定/素材鑑定/素材発見
鍛冶師(Lv240)
スキル:アイテム作成/武器作成/素材鑑定/素材発見
ヒーラー(Lv6)
スキル:回復魔法/退魔魔法
召喚士(Lv1)
スキル:シンクロ/モンスター判別
-称号-
神の魔法師:知識の上昇。魔法の威力増加。魔法職の経験値アップ
加護を受けし薬師:調合の効率の上昇。薬の判別が可能。素材の判別が可能
親方鍛冶師:力上昇
見習いヒーラー:体力の上昇。回復系スキルの効果が上がる。魔法職の経験値アップ
見習い召喚士:召喚獣とのコミュニケーション能力の上昇
「...増えてる」
デジャブ!
またも覗きこんできた玲奈に召喚士の部分を指して教える。
「何したのよ?」
俺は考える。そして思いつくのはひとつしかなかった。
「ちょっと待ってろ」
周りを見渡すと少し離れたところにいるベルンを発見した。
それをまた一瞬で倒し、火をしっかりと通す。
「これをウルフに食べさせてくれ」
そう言ってこんがり焼けたベルンの肉を渡す。
「ウルフじゃなくてライトよ。レイから変換してライトね!」
俺と同レベル...もしかしたら俺以下だ。
ただウルフ...ライトも気に入ったようで嬉しそうに吠えている。もしかしたら貰ったお肉に喜んでいるだけかもしれない。
ライトに餌を上げた玲奈のステータスを確認すると、予想通り召喚士の職が追加されていた。
やはり条件すら整えば誰でも好きな職を得られるのだろう。
そのあと出てきたモンスターたちを狩りつつ、新たな発見をする。
「モンスターの強さが確認できるな」
召喚士のスキル効果だろう。だいたいの目安として数値が書かれている。
「レベルみたいな感じだね」
同じように発見したらしい玲奈がわかりやすい例えをだす。
もうまんまゲームじゃん。
そのあとは何の発見もなかった。
時々薬草を拾ったり、村でライトが騒がれたり、薬草を買い集めたりと忙しかったがおもしろい旅だった。
ゆっくり行ったためか王都まで8日もかかり、さらに王都の入り口でライトがモンスター扱いされたりと大変だった。
依頼していた建築家に行くと、すでに完成しているとのことなので早速新居へと向かう。
家具は自分たちで揃える予定だったので、家のなかは最低限のものしか置かれていなかった。
家の間取りとしては、3階建てだが、俺の付加魔法応用のおかげで倒れる心配は無い。
1階は大きめの物置とキッチンがある
2階には部屋が4部屋あり、トイレ用の部屋もここだ。トイレとお風呂は作るから考えておいてと言われていたのであとは俺が作るだけだろう。
3階は同じ大きさの部屋が2部屋で半分ほど使う部屋がひとつあった。大きい部屋は防水魔法もかけてお風呂にするそうだ。
結局のところできたのは家の骨格だけのような感じだ。
中の家具やら仕組みは購入か俺の作成じゃないか!
少しの間は冒険ではなくゆったりした生活にナリそうだ。




