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異世界に捨てられました  作者: 乃愛
異世界生活の始まり
8/17

生-死

 アイテムは限界まで持った。

 全部に軽量化をかけ、しっかりと安全の確認をする。

 今までのように適当に行って倒せるようなモンスターだとは思えない。

 もしかしたらこの世界に来て初めての「死」を身近に感じるかもしれないからだ。

 3日前の攻略を始めて11日目に20Fに到着し、モンスターの強さが1Fのボス並みに強いことが判明した。

 そのためボスモンスターへの挑戦は先送りにし、フロアモンスター相手に何度も何度も攻撃をくりかえした。

 理由は簡単だ。倒し続けたハイウルフの進化版が出ることが決まってるからだ。

 もちろんボスモンスターなので大きさや違うスキルでの攻撃もしてくるが、基本的な行動は同じだ。

 20Fという危険な10の倍数エリアなので、たぶん王都10Fやここの10Fのボスモンスターのように「属性スキル」を使ってくるはずだ。

 この属性スキルは、上の階にいけば王都の通常モンスターでも使ってくるらしいが、威力が大幅に違うらしい。

 俺と玲奈は初めての対属性スキル持ちモンスターだ。もちろん他の二体のボスも持っていたはずだが、使う前に倒してしまったために、どのようなものなのかは確認できていない。

 一応属性抵抗が火、水、風、土、光、闇、雷という確認されている属性全部ついている。空間はどうやっても付けられたか確認できなかったので今は抵抗なしと考えたほうがいいだろう。

 俺の魔法すら(ボール系のみ)防ぐ装備を二人共つけているため、もしかしたら属性攻撃は防げるかもしれないが、モンスター特有の属性があるかもしれない。

 用心に越したことはないのだ。

 初めてドアを開けた時以上の緊張した面持ちで、もしかしたら初めて真面目に開けたドアがゆっくりと開く。

 ビクビクしても仕方がないので、魔法陣の出現が始まる位置まで堂々と歩く。

 突然青い魔法陣が光を発しながら出現。光がモンスターの形を作り、一気に光が散っていく。

 幻想的な光のダンスの中に、これもまた神秘的とも言えるハイウルフが見える。

 王者の風格すら感じるハイウルフレイ。全身は光を表すかのごとく真っ白だ。

 名前にレイが付いているのだし光属性と見ていいだろう。

 これは予想通りとも言えた。ハイウルフは今までで一番動きが早く、切れがあった。

 それを表す属性なら光以外にないと思っていたのだ。

 ウルフが吠える。

 前回同じような攻撃をしてきたボスもいるが、あの時は何も効果を感じなかった。

 だが、今回は違う。


「ッ!威圧!?」


 聞いた情報の中に「威圧」というボス限定スキルがあるのは聞いていた。

 効果があるのは相手が自分と同等のレベルをもつか、弱い時に発動するという。

 俺達に効果があるということは、あのウルフは同等かそれ以上の力を持つということ。


「玲奈!作戦のまま攻撃をするぞ!」


 基本行動が同じなのだからハイウルフ相手に何度も練習しておいた戦術がいくつかある。

 それを効果の有りそうな順に並べ、先制攻撃をしなくてはいけない。


「グラビティ!」


 新しい自作魔法。相手の体から5センチメートルほどの空間を固定し、重力を10倍にまで上げる。

 相手自身にかけることもできるのだが、剣で攻撃した時により重くなるよう考えた結果だ。

 今回玲奈は突いて攻撃するよりも、上から切りつけて攻撃の重みを増やす。

 重力が10倍になったウルフは、本来の動きを見せることもできずにいる。

 それでもハイウルフの2倍ほどの速さを持つのだから恐ろしい。

 体長が絶対5メートル以上もあるウルフがこの速さを持つためには、一体どれほどのバネと力を持っているのか。


「目をつぶれ!フラッシュ」

 

 今度はスキルをそのまま使った攻撃。光属性魔法の目潰しだ。

 これで少しは視界が悪くなるはずだ。

 光が消えた瞬間、玲奈が初の攻撃を開始する。玲奈の自作攻撃、フレイムカット。

 その魔法に合わせ俺が更に光属性の魔法を付加する。速さが5秒ほど4倍になる魔法だ。

 さすがにボスだけあって反応も早く、フレイムカットはウルフの足を少し斬りつけるだけに終った。

 一旦後ろに下がったウルフが反撃を始める。

 近くにいた玲奈に風のような速さで突進し、大きな体で体当たりをしてくる。

 玲奈も負けじとギリギリで横に避け、お返しに攻撃をプレゼントする。

 これは当たること無く無駄に終わった。

 ウルフは避けられた瞬間から対象を俺に変えていたのだろう。

 勢いを殺すこと無く俺に向かってくる。


「ッチ!」


 まだあの技をバラすわけにはいかない。

 攻撃を回避すべく新たな魔法を発動する。

 まだ開発途中の俺だけの魔法が発動する。

 俺とウルフの間に現れる魔法陣。その魔法陣にウルフが干渉した瞬間、ウルフはその真上に現れた魔法陣から仰向けの状態で落ちてくる。

 転送魔法、いわゆるテレポートだ。まだ一瞬で好きなところへ送ることはできないが、自動的に発動したポイントの上へ出現させるように魔法陣を組み込んである。

 落ちてきたウルフは機敏な動作で体勢を戻すが、空中では動けないのでそんなのも意味が無い。


「ダークフレイム」


 火属性と闇属性の効果を合わせた魔法。ホーミング性能などはないが、光属性へのダメージが一番期待できる魔法だ。

 俺だけでなく玲奈も魔法を発動している。


「バーストショット」


 玲奈は闇属性が使えないため得意な火魔法を使っているようだ。

 しかも自作魔法のようで俺のあとに斬りつけた玲奈の攻撃は当たって体の中に剣が刺さった後爆発の効果を発揮してる。

 内部からの爆発か。俺も何かを媒体に同じ魔法ができるかもしれないな。

 二人の攻撃を直撃したウルフは、まだまだ戦えるようだ。今までならこれだけ攻撃すればほとんど瀕死の状態にまでなったのに。

 ウルフは再度玲奈に向かって飛んだが、玲奈は何十回というハイウルフとの戦闘で感覚が鍛えられている。条件反射のような動きでさっきと同じようにウルフの攻撃軌道から外れる。 


 ウルフが笑ったように思った。


 軌道から外れた玲奈をウルフは「スキル」で追撃した。

 ウルフの口から発射される光の魔法、レーザーだ。

 気づいた玲奈は避けようと体を捻ったが、レーザーは玲奈の脇腹に容赦無い攻撃を加える。

 今まで幾度と無く鉄壁の守りを貫いた魔法鎧リブロスはとうとうその伝説を守れなかった。

 脇腹を貫く光線。玲奈は顔に苦痛を浮かべるも、なんとか体勢を立て直す。

 薬を出す時間がもったいない。俺は隙を見せることも構わず玲奈に回復魔法を唱える。

 ウルフはやはり俺の隙を見逃さない。俺に向かって再度レーザーを発動する。


「間に合ってくれ!」


 回復魔法を唱え終わった俺は、自分を守るために思いついた魔法を瞬時に発動する。

 口の位置から攻撃箇所を判断する。今回は心臓を狙っているようだ。

 それを一瞬で確認した俺は対光魔法を完成させる。

 光速で、文字通り光の早さでやって来るレーザーは俺の体に前に作られた「水」を通過する。

 空気中から水へと侵入した光は、光の屈折の原理のまま直進方向を変える。

 ギリギリ外すことのできたレーザーを無視し、今度はこちらの攻撃を加える。

 火属性最大攻撃魔法メテオストライク。その魔法に闇属性の魔法を固定し出来る限りのホーミング機能をつけ発動する。

 360度全方位からランダムに全24個の隕石がウルフに襲いかかる。

 ウルフは最初の4個を避けたものの、次の攻撃に3連続で当たる。残りの全部も当たるかと思ったが、ウルフは避けた隕石が戻ってくるのに気づいたようだ。それを利用して残りの全弾を隕石同士でぶつけることによって回避に成功した。

 だが俺の攻撃が終わってもまだ玲奈の攻撃が残っている。

 俺の光魔法を付加した玲奈の剣は、玲奈の魔法と効果を合し、光の早さでウルフに殺到する。

 5秒間の光の演武。玲奈はその間に15発の斬撃を浴びせる。

 ようやくウルフも弱ってきた。

 俺の魔力はまだまだ持ちそうだが、玲奈の魔力はそろそろ切れてしまいそうだ。

 そろそろ終わらせなくてはいけない...


「ラストアタックだ」


 そうつぶやくと、玲奈にもしっかりと届いたようでアイコンタクトを交わす。

 俺が戦いが始まってすぐ発動した魔法。一度限りの絶対回避魔法。

 俺はその魔法を信じ、攻撃魔法を組み上げる。

 ウルフが俺に攻撃をする。テレポートを警戒したのだろうかスキルを使っての攻撃だ。

 その効果は高速移動。光をまとった、まるで流れ星のようなウルフの一撃は俺の体を「通り抜ける」。

 絶対回避魔法ミラージュ。空間魔法と火属性魔法の応用だ。

 ウルフの攻撃は俺の創りだした「蜃気楼」を通り抜けたのだ。


「「インフェルノ」」


 現在できる唯一のユニゾン魔法、思いつきで作った最高の魔法だ。

 二人の火属性魔法と俺の空間魔法で対象の空間を地獄に変える。

 何も残さなない灼熱の地獄。生存を許さない空間。

 

「ワォーーーン」


 断末魔の叫びか、死への悲しみか。

 20Fボスモンスターハイウルフレイの心臓はようやくその活動を止めた。

 死んだあとの光のダンスが消えるまで、俺達は目を離すことができなかった。

 ウルフの死後残ったのは指輪だった。

 アイテム名はハイウルフの魂となっている。

 今はただ疲れていたので何も考えることをせず、二人は魔法陣に入った。

 すぐダンジョンを出て、休むために宿屋へと急ぐ。

 二人の頭のなかには、最後の気品あるハイウルフの姿がずっと思い浮かんでいた。

始めてのバトル長編ではないか!?

書き方がいまいちわからないのでそこはおいおい成長することを期待してください。もしかしたら伸びしろ0なんてこともありそうで怖いです。

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