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異世界に捨てられました  作者: 乃愛
異世界生活の始まり
7/17

待機-冒険

 「家は一ヶ月ぐらいで完成する」と言われ、家具を買うためにもお金を稼ぐことにした。

 王都ダンジョンでも今なら少しは収入が出るのだが、どうせならもっと強い敵と闘いながら稼ぎたいので、新しく発見されたというベルメト近郊のダンジョンへと行くことになった。

 王都を出て4日目。

 さすがに魔法を使っても食料を出すことはできない。

 そのため食料は俺が台車を引いて運んでいたのだが、めんどくさくなったので車輪を風魔法で回し、自動走行の台車を作った。

 それに乗って直線の道は進み、曲がるときだけ自分で引いて進んだ。

 時々モンスターをエンカウントし戦ったのだが、ダンジョンに比べて明らかに強敵だった。

 10Fのボスまでとはいかなかったもの、それに近いモンスターが街道付近を徘徊しているのである。ダンジョンと違って精霊の加護のない場所では、モンスターを狩っても消えることはない。残るのは生々しい死体だ。

 アイテムを取るためにも死んだモンスターを解体しないといけないのがつらい。

 時々止まっては薬の材料になるものも拾った。


「たまには台車引いてくれよ!」


 もうやってられない!なぜずっと俺なんだ。


「女の子に引かせるなんて、恥ずかしいと思わないの?」


 剣士の補正に加え、魔法で力の上がっているお前じゃないなら言わないよ!

 もちろん言えるわけもなくただの愚痴を返すことになる。


「ずっと俺じゃないか。もう4日も俺が引いてるぞ」


「ほとんどは真っ直ぐな道だから自動走行じゃない。なにが『ずっと俺じゃないか』よ」


 魔法も俺のだと言いたい。固定化してるから最初以外必要はないのだが。

 4日目、歩き出してすぐ森の中に入った。

 3日目は村の宿に泊まったので疲れは少ないが、森の道を延々と台車を引きながら歩くのはめんどくさい。それがもう9時間ほど続いているのだ。

 不満を考えてはそこから新たな不満を作り出す。その作業を意味もなく延々と続けていた。

 そんな俺に当然と言えば当然の出来事が起こる。


「キュピ!」


 そんな声が聞こえた瞬間、俺の腹に「普通」なら強烈な一撃が与えられる。

 魔法装備なのでダメージは全くといってないのが自慢だ。


「っ!アースクエイク!」


 最近お気に入りの自慢だ。普通なら地面に向かって使い、相手の足元に地震を起こして使う魔法だが、俺は地面ではなく相手自身、もしくはその周りの空気に使用する。この時に空間魔法を併用すればこっちに被害が来ない。

 空間魔法は何にでも合うので最も重宝する魔法だ。

 でもこの魔法を使えるのは現在確認されていないそうだ。

 俺のように隠しているのか、または本当にいないのだろう。

 俺の魔法によって死んだモンスターは揺れだけの攻撃だったのできれいなままだ。

 名前はベルンで、猪をもっと可愛くしたような小型モンスターだ。

 これを焼いて食べると結構美味しいのだが、自分で処理をしなくてはいけない。

 昔習った料理の知識をフル活用し、ようやく食べれるまでになったが、まだまだ時間がかかるのであまりしたくはない。せめて自動走行できれば暇なのでいいのだが...


「今解体できないし台車に載せといて。もしかしたら売れるかもしれない」


「さいですか。今日か明日で着くんだっけ?」


 昨日の街では徒歩でも1日でいけると言っていたが、念のため2日分の食料を持っている。


「地図ではあと少しだと思うけど...」


 魔法による軽量化、移動魔法の使用で現在俺達の歩く速度は走ってる人並みに速い。

 これでも使う体力が変わらないところが魔法の神秘といったところか。

 玲奈の言ったとおり10分ほどたつと森が途切れ、奥に村らしき影が見える。

 途中までは自動走行で大丈夫だろうと考え、10分ほどは休む。

 村から5キロメートルほどの場所から自分で引き出し、怪しまれないようにする。

 村は小さく、ベルメトと言うらしい。人口500人もいるかいないかぐらいの村だ。

 周りを森と湖に囲まれ、比較的魔物の多い場所らしい。

 色々と狩っていた魔物を売り、宿を借りる。

 長旅で疲れていたのか、ベットに入った瞬間には寝てしまっていた。

 

「おはよう。昨日は疲れてたみたいだね」


 声をかけてくるのはプームさん。この宿屋の主だ。

 

「王都から歩いてきたんです。結構きつかったですね」


「王都かい。それは長旅だったね。やっぱり新ダンジョンに入るのかい?」


「そのつもりです。何か知ってることはありますか?」


 結構人がいるものだと思っていたが、この宿屋には俺達意外に冒険者らしき人がいない。


「調査結果では全24Fのダンジョンらしいよ。まだ難易度が公開されてないから人も集まってない。お前さんたちで7組目ぐらいじゃないかな?」


 王都ダンジョン以外、ほとんどのダンジョンは何階まであるか測定することできるそうだ。

 王都ダンジョンは精霊王が特別に作ったの聞くし、何らかの秘密があるのだろう。

 他のダンジョンは精霊が作ったものとされ、一番先にクリアしたものには相当な褒美がもらえるそうだ。それを得るために俺達も来たのだが、同じようなことを考える人は少ないのだろうか?


「7組ですか?少ないような気がしますが」


「狼の牙が手こずってるって噂だからね。普通のPTじゃ難しいと思って皆来ないのさ」


 もっと来てくれないと商売にならないと愚痴りだすプームさん。

 狼の牙は王都でも有名なギルドで王都ダンジョンの140Fあたりを探索しているらしい。

 ギルドと言えば冒険者ギルドがあるが、これは冒険者ギルド連合の略で、普通ギルドと言えば個人で作るものを指す。登録には2人以上いれば十分で、名を上げれば依頼が舞い込んでくるという仕組みだ。多い所では100名以上のギルドもあるらしい。

 俺と玲奈も作ろうと考えたのだが(面白半分で)、グッと来る名前が見つからず現在はギルド未加入となっている。

 狼の牙が手こずってるのなら相当な難易度のダンジョンなのだろう。

 念のため回復アイテムも持って挑まなくてはいけない。


「ポーション30個とエリクサー10個ください」


 ポーションもエリクサーも結構な金がかかる。金が羽を得て飛んでいくかのごとく。

 素材があれば作れるのだが、家ができるまでは大量に保存できないので今回は仕方なく買うことになった。持ってくるのも一苦労ですし。

 玲奈がポーションを20、エリクサーを3個とり、後は俺が使う分になる。

 ポーションは体の傷を、エリクサーは魔力を回復できる優れものだ。

 ダンジョンの入口に触り中へと入る。

 初めての強敵とのバトルができそうで、心がはずんでいる。

 最初に出会ったのはサンダーバード。その名の通り雷を身にまとう雷鳥だ。

 玲奈が飛んでくるサンダーバードに剣で牽制し、俺が後ろからアースクエイクをお見舞いする。鳥だけあって揺れには弱いらしく、死ぬことはないものの体勢を崩す。いつぞやのネイドリと同じパターンだ。

 玲奈も同じ事を考えたのか落ちてきたサンダーバードに自分の魔法で炎をまとわせた剣で切りつける。

 それでもサンダーバードを倒すことはできず、さらに俺がウォーターボールと空間魔法を併用した自作魔法アイスプリズンで凍りづけにする。

 後は待つだけで勝手に死んでくれる楽な魔法だ。

 まだ中で反撃を試みているらしく時々光っているように見えるが、数秒後にはあっさりと倒すことができた。

 アイスプリズンを振動で破壊し、中のアイテムを取り出す。

 この分ならやって行けそうだと思い、早速二人で扉を探す。

 20分ほどで11体エンカウントしたが、多くても4匹しか一斉に来なかったので、火・土属性メテオ系魔法メテオストライクで一気に屠っていった。

 一気に14個まで隕石のようなものを落とせるので、範囲魔法の中でもお気に入りのひとつだ。

 ようやく見つけた扉を開け出てきたボスモンスターを見ると、やはりサンダーバードリーダーという名前だった。

 リーダーモンスターに対して初めて格好良いという好印象を持ったが、倒すべき敵であるため手加減はしない。メテオストライクを発動し、攻撃をする隙を与えない。

 その間に玲奈が自分を更に魔法で強化し、常人には真似できないジャンプでバードリーダーを攻撃する。

 その衝撃で吹っ飛んだバードリーダーは更にメテオに当たり、結構なダメージを与えることができた。

 次の魔法を発動した時にはバードリーダーも攻撃を開始していて放った瞬間にこちらも攻撃に当たってしまった。

 7メートルほど後ろにあったドアにぶつかり息が止まる。

 しかし別に痛いわけではないのですぐに起き上がる。

 装備と支援魔法で防御面でも相当な強さを持っている。

 一度自分についた支援魔法を空間魔法で固定してみたらなぜか動けなくなったという面白話があるが、今は関係ないだろう。

 俺の攻撃であるエアーカッターが直撃したらしく、バードリーダーの右羽が切断されている。

 飛べなくなった敵相手に玲奈が容赦なく攻撃を仕掛け、合計1分もかからずボスを倒した。

 その後も順調にダンジョンを攻略し、14日目まででようやく攻略最先端20Fのボス部屋までたどり着いた。

 ギルド狼の牙はここで止まっていると聞いたので、相当な強さであると判断し、念のため明日行くことにした。

 すでに死亡者も出ているのだから安全第一で行ったほうがいいだろう。



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