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異世界に捨てられました  作者: 乃愛
異世界生活の始まり
5/17

危険-安全

読んでくれるだけでもありがたいのに誤字脱字まで教えてくれて本当にありがとうございます。

これからはしっかりと確認して行きたいと思います。

 待ちに待った朝がやってきた。

 夏休み初日以上の開放感がある。隣の玲奈もいつも以上に笑顔だ。


「今日は狩りを控えて上を目指すんだよな?」


「それ以外に選択肢がなさそうだしね。今の1Fじゃ実力も測れないし、何よりお金もたまらない」


 本当は強い敵と戦いたいだけじゃないだろうか?


「昨日のアイテムもあるし、飯食ったらすぐ行くか?」


「ん、念のため光玉は買っとかないといけないよ。昨日の魔法が発動してるかも分からないし」


 さっき確認した所付加自体は残っていたが、効果のあるなしは別ということだろう。

 計画が決まった所でロレシアさんが昨日残ったシチューを運んできてくれたので、話を中断して食べることに専念する。結構な量があったのだが、二人とも10分もかからず完食した。

 昨日行った雑貨屋で光玉を補充し、ダンジョンへと入る。

 暗視効果付加のお陰で光玉を使わなくても昼間のように見ることができた。

 このぶんなら他の付加効果も発動していそうだ。

 昨日行った道とは別の道を辿り、次へと進むためのワープホールを探す。

 途中何度かモンスターをエンカウントしたが、気づいた瞬間には魔法を撃って屠っているので時間も全くくわない。

 30分ほど歩いていると、無駄に豪華な扉を発見した。


「罠か、それともワープホールの一種かな?どっちだと思う?」


 玲奈はどうやら豪華な扉の意味を知らないらしい。めったに無いことだし少しぐらい偉そうに言ってみよう。


「分からないのか?これはボス部屋の入り口に決まってる」


「どうして分かるの?誰かこんなこと言ってたかな」


 っふ。こんなの聞かなくても分かるじゃないか!


「豪華な扉と言えばボス部屋。そしてどの階にもフロアボスがいると言ってたじゃないか!」


「ほとんど勘じゃない。怪しいところなら他にも結構あったでしょ。聞いた私が間違ってた」


 ま、たしかにそうだけどね。


「開けないことにはわからないだろ」

 

 ほらほら、そう言いながら扉を開けていく。

 開ききった扉の中は、他よりも大きい小部屋になっていた。


「何も...ない?」


 二人で用心しながら入っていく。ただゆっくり歩いただけだが...

 部屋の中央より少し手前に行った所でようやくモンスターが出てきた。

 後ろの扉が突然閉まり、中央には魔法陣が発動したのだ。

 魔法陣から出てきたのは...


「レメス?大きさがあまりにも違うけど...」


 そう、姿は明らかにレメスだ。しかし名前はレメスリーダーと変わっていた。

 呆然としてる間にリーダーが動き出した。

 可愛らしい兎でも、ここまで大きいと気持ち悪いものだ。

 しかも大きいくせにもとのレメスより明らかに速い。レメスの強化版ってことか。

 リーダーは俺ではなく玲奈に狙いをつけたようで、うさぎ跳びの様なジャンプからキックで攻撃してきた。

 不意をつかれたため玲奈は避けることができず、なんの回避もできないままキックに直撃する。

 4メートルほど飛ばされたものの、次の攻撃に備えてすぐに起き上がった。


「大丈夫か!?」


「派手に飛ばされた割に痛みは少ないよ。たぶん攻撃力が低いんだと思う」


 あのウサギキックは相当痛そうだが...タフなのか、それとも装備のおかげなのか?

 さすがにずっと攻撃されるのはだめなので、今度は俺の方にきたウサギキックを余裕を持ってかわす。モーションもあってわかりやすいし、何より支援魔法で普通の攻撃ぐらいじゃ簡単に避けられる。

 俺が避けて攻撃が無駄になったリーダーに、玲奈がお返しにと垂直斬りで攻撃する。

 リーダーも間一髪で回避したものの、完全に避けることはできず剣先がギリギリ足を切りつける。

 ただかすっただけなのに、リーダーの足からは結構な量の血が流れている。

 どうやらこのボスも俺達の敵ではなさそうだ。リーダーは明らかに瀕死状態だ。

 リーダーは玲奈の攻撃が危険だと判断したのだろう。ジャンプで玲奈から大きく距離をとった。

 だが俺がいることを忘れてもらっては困る。

 昨日はファイヤーボールを撃っただけで満足したが、今回はそれ以上のダメージを与えたい。

 ファイヤーボールを発動すると同時に、空間魔法、風魔法も発動してファイヤーボールの周りに酸素を集める。完全燃焼のファイヤーボールは赤から青へと変わり、より高温となってリーダーに襲いかかる。リーダーは避けることができずに、熱によってこんがり肉どころかただの灰となり、光の粒となって消えた。

 中央からまたも魔法陣が発動したため戦闘態勢を維持したが、ただワープホールが出現しただけだった。


「やっぱボスだったじゃないか」


「...ありきたりすぎてつまらないわ。モンスターハウスでいいじゃない」


 それも結構ありきたりでは?と思うものの、わざわざもっと不機嫌にするのもめんどくさい。

 それよりもリーダーのドロップ品が気になるものだ。

 リーダーのドロップ品は水晶のようなもので、アイテムの名前は魔水晶となっていた。

 神々の窓でモンスターの名前とアイテムの名前は分かるのだが、それ以外はまったくわからないので情報収集をしなくてはいけない。

 魔水晶をポケットにしまい、何もないことを確認する。

 そして二人でワープホールに入ると、入り口の時と同じように気づいた時には別のフロアに進んでいた。

 1Fの時と同じように最初は用心していたのだが、あまりにも敵との実力差があるため結局次の階層まで行くことにした。

 2Fのボスはフルルリーダーで、1Fに生息し2Fの主要モンスターであった猿モンスター、フルルの強化版だった。どうやら各フロアのボスは最もそのフロアで多いモンスターの強化版と見て間違いなさそうだ。

 今度はしっかりと玲奈が斬りつけることができたので一撃で屠る事ができ、難なく3Fへと足を薦めた。ちなみに落ちたのはリングだけだった。

 3Fから8Fまで何の苦もなく進め、夜の鐘まであと1時間切ったので今日はこのへんで終わることに決め、8Fからのワープホールでダンジョンから抜けた。

 見つけた素材から薬の材料になるものを分け、バックに入っていたいらないものは全部ギルドに売却した。

 

「あの、フロアボスについて教えてもらえませんか?」


 さすがにあまりにも弱いので、玲奈が情報収集を始めた。

 ギルドの受付さんが前回の人と同じだったからか、すんなり情報が手に入った。


「フロアボスですか。もう1Fの攻略の終盤まで行ったんですか?」


「いえ、今日で7Fのボスまでは倒せましたよ」


 何気ない答えに、受付嬢の方はまたも大きく口を開ている。だから女性としてどうなのよ...


「8Fまで行ったんですか!?あまりにも速すぎます。誰か上級者の手伝いでもいましたか?」


 首を振る玲奈。

 お手伝いか、そこまで強くなかったというか、一撃で殺せてしまうのだから苦戦することもないのに必要ないだろ。


「さすがと言うか...ここまで才能があると経験が無くても強いってことでしょうか」


「それはわかりませんが、フロアボスについて教えてくれませんか?」


「あ、そうでしたね。フロアボスは次の階層に行くために絶対倒さなくてはいけない敵です。ここまでは初めて入るときにダンジョン受付の方から聞いたと思います」


 頷いて先を促す。


「フロアボスはその階の最も多い敵の強化版、いわば親の様な存在です。もちろん大きさや実力、攻撃の仕方なども変わるので相当実力が変わります」


 それはとっくにわかっている。技の種類が変わるのは知らなかったな。

 だって一瞬で屠っちゃうし...攻撃なんてさせません。


「ちなみに10F、20F、30Fなどの10の倍数のフロアはボスがそれ以外の階層よりに大幅に強くなります。普通のモンスターも強さが大きく変わるので、10の倍数のフロアへ新しく行くときは注意しなくてはいけません。ボスの落とすアイテムには一般アイテムとレアアイテムがあります。レアアイテムはボスによって違いがありますが、共通してでるのが魔水晶です。とてもドロップ率が低く、なかなか手に入りにくいですが、水晶をもってモンスターを狩ると魔力を水晶に保存できます。魔力の溜まった水晶は売却することができ、買取はこちらで行なっています」


 魔水晶か、1Fで出たじゃないか。まあ今言うことでもないし魔力が溜まったら売りにこればいい。


「ちなみに魔力の目安としては白、黄、水、緑、青、赤、黒、金の順番で多くなっていき、値段も0、50、500、2500、125000、1250000、2500000ユールと高くなって行きます」


「あの、ユールってなんですか?」


「ユールは銅貨1枚の単位のことです。銅貨何枚、銀貨何枚といっても良いのですがめんどくさいのでこちらの単位を使う人が多いですよ」


 ボスについてはあまり情報がなかったのに別のポイントで良いことが聞けたな。


「わかりやすい説明ありがとうございました」


「いえいえ、ボスは持っている魔力も多いので普通のモンスターよりも多くの魔力を得られますよ。頑張ってためてくださいね」


 再度お礼を行って宿へと戻る。ポケットに入ったままの魔水晶はすでに黄色になっていた。


 

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