プロローグ
読書好きが高じてか、なんとなく書いてみました。
まだ、推敲をしていませんので、ぽつぽつと修正していきます。
本当になんとなく書いているだけですので、読んでいただいた皆さんの反応が少なければ、話の途中で自然消滅の可能性大です。
続きが気になると、思っていただける場合は、なにかしらの痕跡を残していただければ、それがやる気になります。
よろしくお願いします。
ロベリア城、西壁の上。月明かりだけが照らす中、従服の老婆が不安そうな表情で語りかけた。
「姫さま。どうかご無事で」
「ありがとう、エマ。必ずやり遂げて見せるわ。それまで待っていてね」
姫と呼ばれた、年頃16,7の少女。薄暗い闇の中でも、なおその肌は色白く、鼻筋は通り、ふっくらと肉感的な唇に、眼色にいくぶんの愛嬌とすごみを帯びて、少女のかわいらしさと、淑女の色香のどちらも持ち合わせた、またとない美女だった。
エマと呼ばれた老婆が城壁にロープを括りつけ、紐先を外に下ろし引っ張っては安全を確認する。
「よさそうね、エマ。それでは行きます。事後処理に迷惑をかけますが、お願いしますね」
そういって頭をさげた。
「姫さま、お止めください。姫さまのなさることは、お国のためでございます。なにもお謝りなる必要などございません。無事にお帰りになりますようお祈りいたしております」
その言葉に、少女は言葉を返すことはなく、ただやさしく、ただいとおしく、老婆をそっと抱きしめた。抱擁を解くと、顔を俯かせたまま、まるで顔を見られまいとするように城外へ降りていく。
月下、一輪の菫が地上に咲いた。