帰り道
二人の家は近所にある。
そのため、一緒に帰ることが多い。
「そういえば、今日の部活レイナいなかったよな~。」と、夜空を見上げて話すケイスケ。
「あぁ、なんか用事あるって言ってたぞ。」
「へ~。…はあっ?!なんでお前が知ってんの?」と、なぜか慌てるケイスケ。
「なんでと言われても、部長だから当たり前だろ。」というシュンの言葉に、ケイスケは、(ハッ!)となり「そりゃそうだ…。」と言って、落ち着きを取り戻した。
なにかを察したシュンは「レイナって、彼氏いないらしいね。」と嘘を付いた。
そうすると、やはりケイスケは「マジで?!」と、食い付いてきた。
「ウソだよ!」と答えると、からかわれたことが分かったのか、ケイスケは「シュン!!」と叫び、冗談混じりに腕で首を絞めた。
「ごめんごめん。」とタップしているシュンに、「じゃあ、お前も好きな子を言え!」と迫るケイスケ。
「はあっ?なんで俺が言わなきゃいけないんだよ。」と慌てるシュン。
「じゃあ小学校のとき、お前が好きだったあの子に、伝えちまってもいいのか!」という言葉に、観念したのか「わかった!言うから。」と顔を真っ赤にして答えた。
ケイスケはシュンを解放し「じゃあ、教えてもらおうか。」と、ニヤニヤしている。
シュンは少し考えてから「別にいない!」と答え、走り出した。
「おいっ!!…逃がすかよ!」とケイスケも後を追った。