陸上部トップ3
シュンとケイスケは先頭を引っ張っていた。
今日は軽めの練習である。
二人は気持ちいいペースで走っていた。
「シュン、今度はちゃんと連絡してくれ。」と、ケイスケが言った。
部活中のケイスケは常に真剣な顔であり、シュンですら、話し掛けづらい雰囲気を漂わせていた。
「ああ、ごめん…。」と、謝るシュン。
その話しに割って入るように「シュン先輩~、俺も連絡来てないっすよ~。」と、後ろから声が。
その声の主は、ユーマだった。
「はっ??お前にはマネージャーに頼んで…。」
シュンは途中で話すのを止めた。
ユーマが(どうしたのか?)と疑問に思っていると、「わるかったな、多分またあいつだ。」と、シュンが一言。
ユーマはそれだけで理解できた。
あいつとは、もちろんレイナのことである。
普段から天然っぽいところがあり、連絡が上手く行き届かないことも多かった。
「連絡方法また考えないとな~。」と、シュンが
嘆いた。
「それより…いいんすか?」とユーマが。
シュンは「何が?」と返す。
「後ろついてないっすけど…」と、言われた瞬間シュンは、「へっ?!」と、後ろを素早く振り返った。
集団とは20mくらい離れていた。
「やっちゃった…。」と落ち込むシュンに対し、ケイスケは「軽い練習だから、間違ってはいない。」と拡大解釈して正当化した。
シュンは(ケイスケを部長にしなくて正解だったのかも…)と、初めて思った。
こうして、今日の練習は終わった。
部室に入ると「いや~、あれは速すぎだろ~。」と、笑うケイスケ。
「じゃあ、(速くないか?)とか言ってくれよ。」と、反論した。
「それを言ったら、負けたみたいじゃん。」と、返されたので言葉に詰まった。
部員達は「いつものことなので、大丈夫ですよ。」と、言ってくれていた。
後に監督から聞いた話だが、二人が飛ばすことを見越して、堅実な走りができる二年生に、先導としての役目を任せていたようだ。
因みに、ユーマも先導を任されているらしいのだが…。
そして、シュンとケイスケは部室を後にした。