部活始動
シュンがグラウンドに出ると、陸上部員が集まっていた。
陸上部員は10人くらいしかいないが、和気藹々とした雰囲気が漂っていた。
部長の姿が見えても、その雰囲気は一切変わらない。
遅れて、ケイスケがやって来ると、雰囲気は一変した。
さっきまで騒いでいた部員が、静かになり部活が始まる雰囲気へと変わった。
ケイスケは恐い先輩というわけではない。日頃は、どこか緩いイメージがあり、怠けていることも多い。
しかし、シュンとの勝負になると、雰囲気が一変する。
今日は、勝負の日ではないし、先程までテンションも下がっていたのだが、ちゃんと気持ちを高めてから、グラウンドに来る。
ケイスケはそこが凄い。
部長としての資質は間違いなくケイスケの方がある。そこが、シュンには堪らなく悔しかった。
ただ、シュンは一つ勘違いをしていた。
部員はケイスケが来たから、静かになったのではない。
ケイスケとシュンが揃ったことで、この雰囲気を造り出していた。
シュンは、気づかぬうちにケイスケを意識し、戦闘体勢に入っていたのだ。
この二人の負けん気が、相乗効果のように部員にいい効果を与えていた。
シュンはみんなを集め練習を開始した。