シンクロ
5分くらいだろうか。
シュンは机に伏せていた。
見かねた先生は、シュンの肩を揺すり「シュン!起きろ。」と声をかけた。
シュンはゆっくりと体を起こし目を擦った。
まだボ~ッとしていて、何が起こったのか理解仕切れていない感じだ。
先生が「お前授業中寝てたんだぞ!」と言うと、シュンはやっと理解したらしく、勢い良く起立し、「すいませんでした!!」と深々と頭を下げた。
先生は、シュンの普段の態度と部活の取り組みを考慮し、それ以上の言及はしなかった。
そして、授業を再開させようとしたとき、一人の生徒が手を挙げ、「先生~、ケイスケ君も寝てま~す」と一言。
先生は、呆れた顔でシュンと同じように、ケイスケも起こし、授業を再開させた。
二人はまだ寝たりないらしく、ウトウトしていたが、なんとか授業が終わり、昼休みに入った。
昼休みは決まって、シュンとケイスケは一緒にいた。
すると、後ろから二人を呼ぶ声が。
「シュンくん、ケイくん」
二人同時に振り返ると、そこには陸上部マネージャーの「レイナ」の姿があった。
シュンとケイスケはこれまた同時に「何?」と聞
いてしまい、顔を見合わせた。
「うわ?!いっしょだ!」と驚くレイナに、ケイスケは「そんなことより、何?」と、また聞き返した。
レイナは「…なんだっけ?」と一言。
どうやら用件を忘れたらしい…。
「おいおい…。」と、シュンが溜め息混じりに答える。
「あっ?!」と、思い出したらしく、スッキリした顔をしている。
「そう言えば、二人同時に寝てたよ!仲良いんだね。」と辛かわれた。
二人は、部活の連絡事項かと思っていたようで、「そんなことか…」と、真面目に聞いて損した気分であった。
午後の授業が終わり、やっと部活の時間である。
シュンが部室に入ると、ケイスケは既にジャージに着替え準備万端だった。
「シュン!今日も負けないぞ!!」と戦闘モードのケイスケに対し、「今日は軽めのランニングで終了だよ。連絡してなかったっけ?」と、軽く返すシュン。
「はっ?聞いてないって…。」と、ケイスケのテンションが下がっていくのを感じた。
そんなケイスケをしりめに、「みんな待ってるからいくぞ。」と言って、先にシュンが出ていった。
テンションが下がったままのケイスケも、グラウンドへと出ていった。