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新たなライバル

「やっとついた~。」

ケイスケがバスから降り、体を伸ばす。


シュンも体を伸ばした。

「一年ぶりだな。」


シュンは去年を思い出していた。


去年ガチガチに緊張していたシュンに、部長が声をかけてくれた。

「なんだシュン?緊張してんのか。他校なんか気にするな。お前はケイスケに勝ってくればいい!」


(去年は部長に救われた。今年は俺がみんなを引っ張る!)

シュンはそう心に誓った。


「よし。行くか!」とシュンの声が響くと、皆がシュンの後に続いた。


「おっ!気合い入ってるな~。」

ケイスケが茶化す。


「ケイスケも少しは緊張感持ったらどうだ!」と、シュンは軽くケイスケの方を向いた。


「?!…ケイスケ?」

シュンは驚いた。


さっきまで笑顔が見えていたケイスケが、急に引き締まった顔になっている。


ケイスケの目線の先を見てみると、そこには龍騎中学校陸上部の姿があった。


去年、シュンとケイスケは、龍騎中の「悠斗」に負けていた。さらに、去年ケイスケに惜しくも負けた「晃」(アキラ)もいる。


シュンやケイスケにとって、最も恐い存在だ。


シュンの顔にも緊張の色が見えた。


(落ち着け!今年は勝てる、堂々としろ。)

シュンは自分に言い聞かせる。


「ケイスケ行くぞ。…?!あれ?」

さっきまで隣にいたケイスケの姿がなかった。


「よっ!悠斗久し振りだな~、晃も。」

ケイスケが挨拶をしていた。


シュンは、彼らと挨拶をしているケイスケに気づき「おいっ?!」と叫んだが、ケイスケは無視して、話しを続けた。


「あぁ、確か…誰だっけ。」と悠斗が返すと、「悠斗くん?!ケイスケさんですよ。ほら去年も大会で争ったじゃないですか!」と晃が説明した。


「そうだった…かな。俺より遅いやつの名前は覚えてない。」

悠斗は言葉で、ケイスケをバッサリ切り捨てた。


「お~言うじゃね~か。」

ケイスケは苦笑いを浮かべた。


「ケイスケさん、ごめんなさい!悠斗くんもそんなつもりで言ったんじゃなくてですね…」と晃が謝っていると、ケイスケが言葉を遮った。


「あぁ、気にすんな。今年勝てばいいだけのことだ。」


「?!…結構な自信だな。」と悠斗が答えた。


「当たり前だろ!今年はシュンと俺が1位2位貰うぜ!」

ケイスケは、宣戦布告した。


「面白い!」とだけ答え、悠斗は歩いていった。


晃もケイスケに別れの挨拶をした。「じゃあケイスケさん、今度は勝負の場で。…ここだけの話し…悠斗くんは、シュンさんよりケイスケさんの方がずっと恐い存在だって言ってましたよ。」


「?!」


「ぼくも簡単には負けませんよ。ではまた!」

晃は仲間の元へ走っていった。


(晃のヤツ意味深なこと言いやがって。去年俺はシュンに負けてるんだぞ。)


「ケイスケ、何話してたんだよ!」

シュンが質問してきた。


「ん?あぁ~、俺らには負けないってさ。」

それだけ言うと、ケイスケはゆっくりと歩き出した。


シュンは、ケイスケの微妙な変化に気づいたが、問い詰めることはしなかった。


そして、シュン達は応援席に向かっていった。

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