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Summer visit  作者: スカフィ
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006⇒ふ『し』ぎなチカラ

「うそ…」


バスはそのまま次のバス停を目指して消えていった。

わたしはただ呆然としていた。


「彼女は君を怨んでるね。気をつけた方がいい…」


「あなたにも見えるんですか…?あれはやっぱり本物の幽霊なの?」


「…さあ…」


「さあ…って見えたんでしょ?幻覚ではないのは確かだよね?」


「うん。そうだね。」


「ねえ…わたしはどうしたらいいの?どうすればあの幽霊から逃げられるの…?」


「さあ…?俺は見えるだけで何もできないからさ。」


そう言うと彼は歩き出した。

少し冷たい感じがしたが、同じ様に彼女が見えるという人がいるだけで

わたしは安心感でいっぱいになり、つい彼に甘えてしまった。

いつものわたしならそんな事はめったにない。

ましてや男の人に対しては…


「ねえ!お願い!家まで送ってもらえないかなー?」


彼はわたしを見ると二ヤけながら、


「……それってナンパしてる?」


「ち・違うわよ!何言ってるの!あなたも見たでしょう?ホントに狙われてるのよ!」


「あははは…冗談だよ。うん、わかった。いいよ」


「ありがとう…あ、私はナツキといいます。あなたこの学校の生徒?」


「ううん、違うよ。何か引き寄せられて来たんだ…。

俺の名前はナオキ。大友直樹っていいます。ナツキちゃんと名前似てるね。」


「あ・そうだね〜ナツキとナオキじゃ一文字違いだね!」


ナオキくんがニコリと笑うのでわたしもつられて笑った。


「ねえ、さっき何かに引き寄せられて学校に来たって言ってたけど、よくあるの?そういう事…」


「うん。たまにあるよ。例えば助けを求めてる霊だとか…怨みを持っているとか。

君みたいに助けを求めてる人間にも引き寄せられる事もあるよ。」


「へえぇ〜。なんか…大変だね。もしかしてあなたを呼んだのは私なのかな?」


「はは…有り得る話だよね。」


私はナオキくんのお陰でいつもの電車で帰る事にした。

もちろん家の近くまでナオキくんに送ってもらう事に…

そして、あの現場となった駅についた…。


「ここであの女の人とあったの?」


「うん!なんか強い怨念みたいの感じる?」


「……う〜ん。」


「たしか…この辺だと思うけど…」


「あまり感じないなぁ…。地縛霊ではないね。場所も移動できるから…。」


「……そう…」


「でも君と同じように助けを求めてる気配は感じるんだけど。それも近くに…」


「え?うそ!?どこに?それは同じ幽霊を見たって事?」


「さあ…とりあえず探してみようか。」


わたしは周りを見渡した。でもそのような人は見当たらない。

…ってか、ナオキくんみたいな力があるわけじゃないから見つけられるはずがない。


「…こっちだ…」


そう言った瞬間、ナオキくんはわたしの手を掴んで引っ張った。


「…え!?」


わたしはびっくりしつつもナオキくんのなすがまま引っ張られた。


「…あっ…あの…どこまで…」


「…あの人…」


ナオキくんは一人の男の人を指差した。


「え!?あれって…」


ナオキくんが指した相手はあの日いたチカンおじさんだった。


「知ってるの?」


「知ってるもなにも…あのオヤジのせいでこんな目に…」


「こんな目?」


「あ・いや…でも私…あのオヤジと話するのはちょっと…」


「…んじゃ、やめときますか。」


「え?やめるのー?何か話くらいは聞いた方がいいよー」


「どっちなの?君は…」


「あぁ!だって気になるもの…」


「あっ!あの人見てるよ〜ん。」


「え?うっそ!げっ!」


おじさんはわたしに気付くと勢いよく走ってきた。


タッタッ…


ガッ!


そして力強く肩を掴む。


「なあ!お嬢ちゃん!君を待ってたんだ!」


「きゃっ…!」


「ちょっと、おっちゃん怖いって…」


ナオキくんはすかさずわたしとおじさんを引き離した。


「あ・すまん…そんな事より君に聞きたい事が…

最近…君の周りで変な事起きてないか?」


その質問にわたしは嫌な予感がする。


「変な事って具体的にどんな…?」


「…信じてもらえないかも知れないが…出るんだ…」


「出るって?」


「…あの女の霊が…」


「………。」


「………。」


わたしとナオキくんは言葉を失った。


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