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Summer visit  作者: スカフィ
44/50

043⇒ニ『ュ』ースのセリフ

「本番は今からだよ…。そうだ、覚えてるか?君が道端で会った女性を…『あなたの後ろに“な”の文字が見える』って言ってた人。あの女は本物の力を持ってた。彼女は“奈津子”ではなく“直樹”の“な”の事を言ってた。おれは危険を感じ彼女を殺したよ。さすがの彼女も油断して死んだけどな。くくく」


「…もしかして…わたしの横にいつもいたの…?」


わたしがゆっくりと聞くとナオキくんは笑みを浮かべた。


「君が危ない目に遇った時、いつも俺が助けに来てたろ?常に君の傍にいたよ。」


ナオキくんはそう言い、また冷蔵庫へ向かう。


「琴美ちゃんの事だが…彼女の腹の子の父親は俺だ。村山先生はちゃんと避妊してた…」


「…! あなた琴美まで…」


びっくりして立ち上がるわたし。


「うん。琴美ちゃんは俺が村山先生に見えたと思うけどね。だから彼女はあとで狂暴になったろ?暗示のせいだよ…」


「…ナオキくん…あなた…ホントに何がしたいの?」


「うん!いい質問だ。うっ…すっぱぁ〜い」


ナオキくんは冷蔵庫から取り出した梅干しを一つ口にする。


そして、わたしに近づき人差し指をわたしの額に当てる。


「これで君は動けない。」


「え!?あ・嘘…」


確かに動けなかった。


立った姿勢のままわたしの足はピクリとも動けない。


「君をメインにしたシナリオはもう終わりを迎える

。君には何もないからね。これはあくまでも序章だよ。俺のホントの目的はね…」


♪ピンポーン♪


「ん?誰だ?」


わたしはすぐに誰が来たかわかり、大声で叫んだ。


「助けてえぇぇぇぇ!わたしは殺されるうぅぅ〜っ!!」


その声を聞いたナオキくんは舌打ちしながらわたしを見た。


「ちっ!静かにしろっ!!」


ドンッ!ドンッ!


ドアを蹴るような音が響いて来る。


「あの刑事か?」


ナオキくんはわたしを見つめながら問う。


ドンッ!ドンッ!


「じゃあ、最後に教えてあげよう。俺の目的を…実はね−…」


ガチャッ


ダッダッダッダッ


「はっ…はっ…ナツキさんっ!」


「………。」


刑事さんが中に入って来た時、わたしは呆然としてた。

ナオキくんは窓から逃げ、どこかに消えていた。


「おいっ!大丈夫か?奴は?」


「…え!?だれが?」


「来てたんだろ?大友直樹がっ!」


「……? ナオキ?知らないわ。そんな人。」


「ナツキさん、ふざけてるのか?

たった今、家の中から君の助けを呼ぶ声を聞いたんだぞ? 」


「わたし…何やってたんだろ。」


わたしは目を丸くしてポツリとそう言うと、刑事さんは首を傾げ、


「ホントに忘れたんですか?ナオキと言う人物を…」


拍子抜けに言った。


「……聞いた事ある気はしますが…わかりません。」


「困ったなぁ」


わたしはナオキくんの力によってナオキくんの存在を忘れる催眠をかけられた。


それだけでなく半年ほどの記憶もあいまいなのである。

わたし自身記憶がない事を自覚してるが、なかなか思い出せない。


「これじゃあ、解決へ進まない。どうしたら思い出す事ができるだろう」


刑事さんは思わぬ事件の展開に途方に暮れていた。


イライラのせいかさっき取り出した灰皿もギッシリと吸い殻が溜まってた。


「そうだっ!ちょっと電話してくる。待っててね。」


刑事さんはいそいそと奥の方へ消えて行く。

わたしはこれ以上思い出す事は不可能だと察し、

リモコンを取り出しテレビをつけた。


夕方のせいで、どのチャンネルも報道番組しかやっていない為、

諦めてローカルニュースを見ていた。


『今日、ο×町で一家による無理心中がありました。

この一家は父親と母親、そして3歳の長男と2歳の長女の4人家族でした。

近所の人の話によりますと何の問題もなく順調に見えてただけに自殺するのは考えられにくいという話も出ています。』


「…ふ〜ん。」


わたしは冷静に画面を見つめていた。


すると奥から電話を終えた刑事さんが戻って来てわたしに言う。


「…今、ナオキの父親の方に連絡した。

彼なら君にかけた催眠を解いてくれるはずだ。明日その父親と会うがいいかね?」


刑事さんはソファに座るとまた、たばこを取り出して火を付けた。


「いいですよ。」


わたしは何のためらいもなく一言返事した。


その夜、ナオキくんが現れる可能性があるので何人かの刑事さん達はわたしの家に泊まる事になった。

記憶が曖昧なわたしとしては複数の男の人が家にいるだけで落ち着かなく、気分は最悪だった。


「落ち着かないですか?」


刑事さんは気遣ってわたしに声を掛ける。


「…ええ、少し…」


「すいませんねぇ…でも用心しなきゃいけないんですよ。

相手は魔法使いみたいな奴ですから、多い方がね」


「…わかってます。」


わたしは部屋に戻りベッドへ横になった。


一体その『ナオキ』という男は何をやったんだろう。


わたしの記憶を消して目撃者を減らしたつもりなのだろうか?


それなら、わたしを殺せばいいのに。

色々な事を考えてるうちにわたしは深い眠りにつく。



そして朝になった。


「おはようございます。」


「おはよう。ゆうべは眠れたかい?」


「はい、記憶がないせいでしょうか…久しぶりに寝た感じです。」


刑事さんはタバコの煙を口から出し、タバコを灰皿にこすりつけると。


「君の場合は忘れた方がいい記憶が多いだろうな。」


気になるセリフばかり言う刑事さんにわたしは少しムカついていた。


『今日未明、ο×町の一家五人が住む家で火事がありました。

原因はまだわかっておりませんが−…』


「朝から嫌なニュースが続きますねぇ」


イライラしたわたしは話題を変える為、

話題をテレビニュースの方へ変え、洗面所に向かおうとした。


『これでこの町付近で5件も自殺に近い事件が起きております。』


「ん?」


わたしはふと足を止めた。


一瞬だが頭の中で言葉が聞こえた気がした。


「どうしました?」


不思議そうに刑事さんが聞く。


わたしはテレビの前へ歩き、座り込む。


「…自殺?」


突然、頭の中で顔の見えない男の声がはっきりと聞こえた。


「…うそ…」


「どうしました?何かわかったんですか?」


刑事さん達はゆっくりとわたしを囲みだした。

わたしはテレビに向かって指を指した。



「今、テレビで言ってる心中事件…もしかしたら彼かも…」


「…え!?」


わたしの発言にみんな顔を歪めていた。


「声が聞こえるんです。『まずはこの辺りから人を減らす』って…」

もう少しで終わりますよ〜!

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