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Summer visit  作者: スカフィ
36/50

035⇒ホントの気持ち、『望』んでいた事。

「…わかった。急にキスしたりしてごめん。

俺はただ…自分の気持ちに嘘をつきたくないんだ。

それはもちろん君やあかりに対しても…だ。」



「わかってる」


「…じゃあ…あとでな…」


「…うん。」


わたしはゆっくりと玄関のドアを開け中に入った。



…バタン…



ドア越しにナオキくんが遠ざかる足音が聞こえる。



「……う。」


わたしは必死に声を殺しながら泣いていた。


「…うぅぅぅ」



口を両手で押さえながら…ナオキくんに聞こえない様に。




「…ううううぅぅぅ〜っ…」




わたしはシャワーを浴びていた。


浴びながらさっきまでの出来事を思い返す。


本当はナオキくんの事好きでたまらないのに受け入れる事のできない自分に腹が立つ。


でも、あかりを悲しませたくないのも事実だ。


わたしはシャワーを終え、洗面台の前に立った。


このままじゃ…いけない…今…直樹くんに会うとわたしはあかりを裏切る事になる。


わたしは制服に着替え、琴美の家へ向かう準備をした。



琴美の家に着くと、既に2人の姿があった。


「ナツキ…」


あかりはもう既にボロボロになり、涙で顔はぐしゃぐしゃになっていた。


わたしは琴美に線香をあげ、あいさつをした。


琴美の母親の話によると、

部屋には遺書があり村山先生との事件の罪を認める内容になってるらしく事件は解決した事になった。


もちろん彼を好きになったのは彼女の意志だが、

その心の隙間に入って来た奈津子さんをわたしは許せないと思った。


そして、絶対あかりやナオキくんに近づけさせない…と決心をした。


わたしは2人には会わず、そのまま自宅に戻った。


そして、年が明け冬休みもあっという間に終わり3学期が始まった。


学校が始まってもわたしはなるべくあかりを避け、ナオキくんとも会わない日々が続いた。

このまま行けば、わたしは直樹くんに深入りせずに済む。



あかりを傷付ける事もない。


そう自分に言いきかせた。


だが、うらはらに孤独感が日増しに強くなり直樹くんに会いたい気持ちだけが大きくなっていた。




…そう…



きっと待っていたに違いない。




彼女、奈津子さんは…





わたしの心に隙間ができる瞬間を!!





………。




 ………。




 「………。」 




 「…う。」



「……気づいた?ナツキちゃん…」




「ん?」


「おはよ。」


「ナオキくん…?」


「なんで驚いてんの?」


わたしはゆっくりと身体を起こした。


「え?」


わたしは自分が服を着てない事に気づいた。


「きゃっ」


「あはは…何だよ。今更照れるなよ」


「…なんで?……」


「なんでって昨夜、君が会いたいって俺を呼んだじゃないか…」


「まさか」


わたしは全てを把握した。


奈津子さんがわたしに取り憑いてナオキくんを誘った事を!


「…ナツキちゃん…何で黙ってるんだ…やっぱり俺とこうなった事後悔してるのか?」


「…ナオキくん…ごめんね…あなたを巻き込んで…わたし…」


「…ん?」


ナオキくんは優しい目でわたしの話に耳を傾けた。


目が合うと言いにくいのでわたしは向こうを向いて言った。


「わたしじゃないの…ナオキくんを誘ったのは……」


「何言ってんだよ?君しかいないじゃないか…。現にこうして二人で朝を迎えているのに?」


「…そうだけど…だから本当のわたしじゃないと言うのかな…」


「じゃあ…ノリで?」


「違う!身体はわたしであって心はわたしでないと言うか…」


「…まさか…あの女の人とでも?」


「………。」


わたしは「うん」と言う代わりに首を縦に振った。


「そうなのか?あの女の人が君にとり憑いて…俺と寝たのか?」


「…うん。」


「そうか…そうだったのか…」


「…だから…だからゆうべの事は忘れて!あかりの傍に戻って!」


わたしは声振り絞って言った。けど、ナオキくんは


「俺はね…何となく気づいてたよ…ゆうべの君は君じゃないって…」


「…え!?」


「そりゃあ…俺は君の事見て来たつもりだし。好きだし…」


「気づいててわたしと寝たの!?信じられない!身体はわたしでも心はわたしじゃないのよ…!」


わたしは立ち上がり服を着た。


「悪かったとは思う…でも、俺はそれでも良かった!

君に触れる事が出来るなら…君に少しでも近づく事ができるならっ」


「勝手な事言わないでよ!わたしの気持ちはどうなるのよ!!

それに…わたしにとっては初めての…」


すると、ナオキくんは後ろからわたしを抱き締めた。


「…ごめん…確かにズルイとは思う…


でも俺は君の事が気になって仕方ないんだ…好きなんだよ!君だって本当は俺のこと…」


ナオキくんは抱き締めてる腕を更に強くした。


「…好きよ!わたし…直樹くんの事好き!」



わたしはとうとう直樹くんに自分の気持ちを打ち明けた。



「…だからわかって欲しいの…

あなたもあかりも巻き添えにしたくないの…好きだから…わかって…」


わたしは胸の内から込み上げてくる感情を抑える事が出来なかった。


このまま隠し続ける事が

真っ直ぐに向かってくるナオキくんに悪い気がしたから。


いや…彼を好きだと気づいた時点でわたしは待っていたのだ。


この日が来る事を…。



本当はあかりが羨ましかった。



嫉んでた。



許せなかった。


わたしだけを見て欲しかった。



「…うっ…」



わたしは一気に力が抜け、ナオキくんに寄り掛かった。


涙が次から次へと溢れて止まらなかった。


わたしは自分が愚かな人間だと言う事に今更ながら気付いたのだ。


結局は心の狭い人間だという事を。


「ナツキちゃん…何も怖がらなくていいんだよ…君は俺が守る…守ってみせるよ!」


そういってナオキくんはわたしの目を見た。



「…うん…」



わたしは目をゆっくり閉じ、キスをした。


そして、わたし達は本当に結ばれた。



「ねえナオキくん…あかりはどうなるの?」


「大丈夫。近いうち俺からちゃんと言うよ。だから君は心配しないで…」


「すごく怒るだろうな。きっと許してくれない

あかりはああ見えてもすごい一途なトコあるから」


「…わかってる…」


「………。」


わたし達はベッドの上で天上を見つめながら寄り添っていた。


「ねぇ…なんでわたしがあの女の人に狙われてるか教えてなかったよね?」


「それって君がずっと秘密にしてた事?」


「そう…実はね、あれは確か夏休みが始まってまだ間もない頃に」


こうしてわたしはナオキくんに全てを話した。

ますます韓国ドラマに(笑)

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