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Summer visit  作者: スカフィ
35/50

034⇒ホントの気持『ち』

「…何か飲む?アルコール類だってあるよ?」


あかりがビールを冷蔵庫から取って見せていた。


「ダメだよ。仮にも未成年でしょ!紅茶ある?」


「ふふ…マジメだね。ナツキは」


笑いながらわたしに紅茶を差し出した。


「琴美…いなくなっちゃったんだねぇ…」


「うん…。」


あかりはまた目に涙をうかべ、わたしもつられて泣いていた。



そして、琴美の事を思いながら夜を明かした。


−朝−


わたしは何気に目が覚めた。

時計をみるとまだ朝の五時半だった。


「ちょっと早く目が覚めたな〜…眠れそうにないから散歩でも行こうかな」


わたしは服を持って来てないので昨日と同じ服に着替えた。


事務所とはいえ来客用の為の部屋なのか、服以外はみんな用意されていた。


「直樹くん家ってかなり金持ちだろうね」


わたしは独り言を言いながら静かに外へ出た。



「寒い〜…」


外に出るとかなり空気が乾燥していて気温は低く。

すぐに手がかじかんできた。

近くには大きな公園があって、わたしはそこを歩いた。


「…空気はキレイ。都会とは違うのね〜」


深呼吸をし、田舎の綺麗な空気を味わう。

空を眺めるとまだうす暗く夜は明けてなかった。


「………。」


わたしは空をじっと眺め、ある決意をした。


それはしばらく、あかりやナオキくんに会わない事を。


そして奈津子さんの事をもっと調べてみること。


「ナツキちゃん」


「−え!?」


わたしは思わずびっくりして声をあげてしまう。


「ごめん。俺だよ」


「ナオキくん…」


「昨日、あれから眠れなくて…」


「え?うん」


「俺、自分でもよくわからなかったんだ」


ナオキくん何かを話し出した。


「わからないって…何が?」


「自分の気持ち。」


「………!」


「最初に会った時からそうだった…君はずっと何かを隠し続けて来た。

誰にも真実を語ろうとしなかった。俺はそれが不思議でならなかった。

あかりが傍にいても君が苦しんでいる姿が浮かんできて…君の事いつも心配してた。」


「………。」



「君の事考え過ぎたのだろう。気付いたら君は俺の心に住みついてたんだ。」





衝撃な告白だった。





「ナ・ナオキくん…もうやめよ…?」


わたしは話をそらせようと笑った。


だってこれ以上話したってどうにもならないし。


「俺はここ最近ずっと変なんだ。自分が自分でないような気がして…」


「ナオキくん!もういいよ。」


「言わせてくれ!俺はずっと我慢してきたんだ!

あかりの前では嘘の自分を演じなければいけない!多分あかりも気付いてる…」


「やめてよ!」


わたしは大声をあげた。


「俺はただ−」


「わたし…許さないから!あかりを傷つけたら いくらナオキくんでも…」


「じゃあ、君はなんで俺に泣きながら抱きついて来たんだ!」


今度はナオキくんが真剣な顔で怒鳴った。


「………!」


「あれを見て俺は気持ちがはっきりしたんだ。君を守らなきゃ…君を守りたいって…」


「直樹くんはわたしに同情してるのよ。好きとは別な気持ちなのよ」


「ああ。最初はそうだったのかも知れない。でも同情から変わる愛だってあるだろ?」


「…でも…」


「君の気持ちはどうなんだい?俺はそこが聞きたい」


「わたしは……」


♪チャラララ〜♪



いきなりナオキくんの着メロが鳴った。


わたしはハッとしてナオキくんに背を向けた。


このままだと自分の気持ちを言ってしまいそうだったから。


それだけはどうしても避けたい。


「もしもし…

ああ、今外に散歩に出てる…。

ナツキちゃん?…知らないなぁ…

いないの?じゃあ散歩がてら探してくるよ。

わかった、後でな…」


ナオキくんは携帯をポケットにしまった。


「今の…あかり?」


わたしはごまかす様に笑顔でナオキくんを見た。


「ああ、君とは会ってない事にした。だから君も一人で散歩した事にしてくれ。」


「うん…じゃあわたし行くね」


「ナツキちゃん!」


ナオキくんはわたしの腕を引っ張り強く抱き締めた。


「きゃっ…」


「俺は本気なんだ…これだけはわかってくれ!」


「…痛いよ…ナオキくん…」


わたしは否定しながらも内心はすごくドキドキして離れたくないと強く思っていた。


ナオキくんの力強さが心地良かった。


…けど、


「もう…やめて…!」


わたしは力いっぱいナオキくんを振り払った。


「ナツキちゃん!」


「…ありがとうナオキくん…気持ちだけ頂くわ…じゃあね」


わたしはその場を走った。


ナオキくんが見えなくなるまで走った。


「ハア…ハア…」



今度はどんどん堪えていた涙が溢れて来た。



「…ハア…ハア…!」



   …ザッ…



「ズルイよ…そんなの…だって…ナオキくんはあかりの…あかりの恋人だモン…

わたしにはナオキくんを好きになる資格なんて…

…ううぅ…うううぅぅぅぅぅぅ…うううううううう〜っ!!」


わたしはやり場のない怒りと苦しさにその場で泣き崩れてしまった。




「おかえり〜ナツキ。長い散歩だったね。」


わたしはしばらくしてあかり達の元に戻って来た。


「なんか知らないうちに遠くまで歩いていたみたい。ごめんね心配かけて。」


「いいけど。あたしとナオキは先に朝御飯食べちゃったよ?」


「あ・うん…」


わたしはテーブルに腰掛け、目の前にあった朝食のパンを取り、


「いただきまぁ〜す」


と言って食べ始めた。


「ナツキ、御飯食べたら帰る支度してね。今夜、琴美の告別式やるみたい」


「…うん。」



そしてわたし達はあっという間に地元に戻って来た。


その帰り道の間、ナオキくんとも目を合わす事無く、話すらしなかった。


「じゃっ、後で」


わたし達は駅で別れ、一旦家に戻り、琴美の家でまた集まらなければならない。


わたしは色々と考えながら家に向かった。


だが、家に着くと家の前にナオキくんがいた。



「…あれ?なんで…」


いきなりナオキくんはわたしのトコに駆け寄り、キスをして来た。


「……んっ!」


わたしはびっくりしてナオキくんを思いきり突き放しビンタをした。


 バシッ…!


「いい加減にして!」


「こうでもしなきゃ…俺の気持ちは通じないだろ?」


そう言うナオキくんの顔がとても寂しそうだった。


「頼む…君の気持ちが知りたいんだ…教えてくれないか?」


「どうして?今更そんな事知って何になるの?」


「君が俺の事を好きならあかりと別れようと思う。」


「駄目よ!じゃあ、はっきり言うわ…!ナオキくんの事何とも思ってない!ただの友達よ!」


「……なあ!本当の気持ちを言ってくれ!」


「本当の気持ちよ!」


「………!」


「わたしはナオキくんの事…友達以上に思っていない。」


「それが君の本音か?ただの俺の思い過ごしか…?」


「…そうよ…。だから…あかりの傍にいてやって!もう…帰って!」


わたしは大きな声で言った。

なんか、韓国ドラマみたいになってるね(笑)


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