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Summer visit  作者: スカフィ
29/50

028⇒安『心』感

「…え!?なに?」


わたしは声を張り上げた。


「…だから村山先生は死んだわ。わたしはあの時…たしかに死ぬつもりだった。

でも彼が邪魔したの私を止めようとしたの…。見てたでしょ?」


「…うん」


「私、思ったの。なんでこの男は私がやる事全てを邪魔するんだろう…って。

…すると…だんだんムカついてね。…だから刺しちゃった。」


「…うそ…」


とても恐ろしい事を琴美はサラリと言ってた。


わたしはどうして良いのかわからず呆然としていると

琴美はわたしをジッと見つめていた。


「本当に覚えてないの?都合のいい記憶力ね。だったらその続きも教えてあげる。」


どこか遠くを見るような視線で話を続けた。


「…あの後、まだ息のある先生を…近くにあった小屋みたいなトコに運んだの…」


「………。」


「その時…先生が私を掴んでね…『頼む…助けてくれ…』って言ったの…。

私…可哀相になって…先生を家に帰してあげようよと思ったの。バラバラにして…」


「…−!!」


わたしはゆっくりと唾を飲み込んだ。


だがカラカラになった喉は唾だけでは潤せなかった。


「そこにノコギリみたいなのがちょうどあってさ。

ああ、ナツキはその時からボッ〜としてたね…たぶん現状が把握出来てなかったのかもね…」


「何を…何を言ってるの?琴美…」


「でもカン違いしないで。あの人が…あの人が私に指示するのよ…。

私はただ言われた様にしただけ。だから…私…先生を…先生の一部を切断して。

お家に帰す事にしたの。その方が喜ぶってあの人が…」


「……琴美…?あの人って…」


わたしの質問に耳を貸さず、独り言のようにポツリと言った。


「……今頃…家に着いてるわね…先生のおチンチン……。」


「………!」


琴美の肩を掴んでわたしは叫んだ。


「琴美なんでそこまでする必要があるのっ!なんで…先生を殺す必要があるのっ!」


「じゃあナツキは私が死ねば良かったと言いたいワケ?」


「違う…!なんで…もっと他に方法があったはずでしょ!?」


「そう言うナツキも共犯なんだからね!あなたも一緒にやったんだからチクろうなんて考えないでよ!」


「なんでわたしまで?わたしは何もしてないわ!!」


琴美はわたしの腕を振り払い笑いながら言った。


「記憶も何もないのに…してないって言いきれるの?幸せな人!」


「……だってしてないもの!」


「自分の服や手を見たでしょ?血がいっぱいついてたでしょ?」


「やめて…!!何も聞きたくない!」


わたしは琴美の前にいるのが恐くなって、その場を走り出していた。


タッタッタッ


「ナツキ!」


遠くからあかりのわたしを呼ぶ声がする。


わたしはすぐに足を止める。


「……あかり…」


「ナツキ…泣いてるの?」


びっくりしながらわたしの元へ駆け寄るあかり。


「ううん。大丈夫…」


「そう?あっそうそう!

どうやら村山先生は事件に巻き込まれたらしいよ!」


「ふぅ〜ん…そうなんだ?」


わたしは何も知らない振りをした。


「明日から冬休みだってのに物騒だね」


「…うん。そだね」



わたしが無理に微笑むとあかりはただ黙ってわたしを見ていた。


そして、終業式も終わり、わたし達はバラバラに帰った。




「ナツキさんですか?」


家に着くと家の前に二人の男が立っていた。


わたしは誰かわからず


「…はい…。」と、答えると。


「少し時間頂けますか?すぐ済みますから。」


そう言ってまだ少年のあどけなさが残る今風の青年は警察手帳を見せてきた。


まるでドラマのワンシーンみたいな警察の登場に思わず「はい。」と

返事一つだけすると


「ここじゃなんですから、家の中に入ってください」


ドラマのワンシーンの様にわたしは返事を返していた。





「どうぞ…」


わたしは二人の刑事にお茶を差し出した。


「あ・すいません。長居はしませんから」


「−それで…何の用ですか?」


「ああ、昨日…放課後に君が村山先生を探してたという情報が入ったモンですから…」


「村山先生がどうかしたんですか?」


「うん。実は殺された可能性があって…」


「え?……そうですか…。昨日は会ってません…。

ちょっと用があったんですけど…。結局見つかりませんでした。」


わたしもゆっくりとソファに腰を下ろした。


「いやに冷静ですね?先生が亡くなった可能性があるってのに…」


「ピンと来ないだけです。」


「とりあえず昨日は会わなかったワケですね?君はなんで先生を探してたんだい?」


「ちょっと用があったんで…」


「その用とは?」


「そこまで言わなきゃいけないんですか?」


「いや、じゃあ夕方は何してたのかい?」


「えっと…テレビ観てました。」


刑事さんはわたしの顔をしばらく見つめ口を開く。


「………。そうですか。わかりました。では失礼します。」


「もう終わりですか?」


「大体わかりました。まだやる事があるので…」


「そうですか。お疲れ様です。」


「では……」


こうして二人の刑事は帰って行った。


      バタン。


「………ふう。 …うっ! 」


   ダッダッダッダッダッ。


わたしはトイレに駆け込み 嘔吐 した。


「おええええぇぇぇぇ…」


気持ち悪い。


色んな事が起こり過ぎて身体が悲鳴を上げてるんだろうか?


便器の横で少し休んでいると奥から電話の音が聞こえた。


「もしもし…」


「ナツキちゃん?俺、ナオキだけど…」


「ナオキくん!!」


わたしは思わず大声を出してしまった。


まさかこのタイミングで電話掛ってる来るなんて


夢にも思わなくてただ嬉ししくて…


気付けば目からは大量の涙が零れていた。


「どうしたの?大丈夫…?」


受話器ごしのナオキ君が心配そうに尋ねる。


「ごめん…ちょっとびっくりしただけ。」


「大げさだなぁ〜!ははは…」


そして、わたしはそこで気付く事になる。



ナオキくんへの気持ちを。




安心感という存在を…。





いつも読んでくださってありがとございます!

まだまだ続きますので気長にお付き合い下さいませ!

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