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Summer visit  作者: スカフィ
22/50

021⇒叔母の『告』白

「ナツキ!」


わたしは琴美に呼ばれた。


「…どうだった?」


「ちょっと屋上へ」


わたし達はまた屋上へ上がった。


「あれから病院行って来たんだ。」


「−で?結果は?」



「うん。妊娠してた。」


琴美はあっけらかんとして言った。


「…あ…村山先生はなんて?」


「…堕ろせって…」


「……!」


「…はあ。どうしよう〜」


「琴美はどうしたいの?」


「…産みたい。」


「でも、それで苦労するのは琴美だよ!」


「でも産みたいよ!この子を殺すなんてわたしにはできない!」


「……!」


その時、わたしの頭の中にある光景が浮かんだ。




「三ヶ月…?」


「…はあ…私にはこの子を殺す事は出来ない…!」


「よし!あの人が断っても私ひとりでこの子を育てる!」




映画のようにひとつひとつ場面が流れ、光景の中のわたしは独り言を言っていた。



「…ナツキ?」


…はっ!…


「アレッ!?」


わたしは我に返った。琴美が不思議そうにこっちを見てた。


「大丈夫?」


「あ・うん。ごめん…ボッ〜としてた。」


「やっぱり産む事は許されないかな?

世間でいう不倫だし…この子も幸せになれないだろうし…」


「でも好きなんでしょ?先生の事…」


「うん。」


琴美は少し涙を浮かべて言った。


「つらいなぁ…」


その村山先生というのは顔立ちが元々良い為、女子にはかなり人気があった。

政治・経済の先生だが話しもわかりやすく親しみやすいカンジがした…。


(あんな…愛妻家みたいなイメージしてるのにな…)


正直、琴美とそういう関係になったなんて信じられなかった…。

まあ、わたしは恋をした事はないが、男と女なんてのは理屈じゃないんだろうな〜…なんて思ったりもした。


家に帰ると母の姉である叔母が中でわたしを待っていた。


「…おかえり。」


「叔母さん、どうしたの?」


「あなたが心配だから見に来たのよ」


言い忘れたが、今のわたしの生活費を出してくれてるのは叔母なのである。

いつも叔母はキラキラした服を着てる。それが彼女のこだわりなのだろう。

だから見た目はかなり性格がキツそうに見えるが、面倒見がよく、わたしが母の次に心を許してる親戚の一人なのだ。


「とりあえずは元気そうね?妹が死んだ時のあなたったら普通じゃなかったから」


「…何とか落ち着きました。あまり考えないようにしてます。」


「そう…。それがいいわ。」


そう言って叔母はタバコを取り出して吸った。


「叔母さん…わたしに何か話したい事があったんじゃないの?」


「………うん」


叔母は吸っていたタバコを消しながら言った。


「…もう少し時間が経ってから言った方がいいかな〜?って思ってたんだけど…」


「…うん。」


少し間をあけ叔母は続けた。


「ナツキと父さんの事なんだけど…」


「うん。」


「父さんの顔みた事ある?」


「うん。写真でしか見た事ないけど」


「……その写真の父さんはナツキのホントの父さんじゃないの」


「え?うそ!?」


「ナツキのホントの父さんは誰かわからないの。」


「どういう事?」


「…はっきり言えばね。あんたの母さんは若い頃、レイプされたのよ。

その時出来た子があなたで、その写真の父さんはあなたを承知で後から結婚した人なの…。」


「そのレイプした人は誰なの?」


「……それは誰かわからない。顔は覆面を被ってたらしいわ。もしかすると、知り合いだったかもしれないわね。」


「………!」


わたしはあまりのショックで言葉が出なかった。


しかし、何で突然そんな事を?



わたしは不安で仕方なった。



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