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Summer visit  作者: スカフィ
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001⇒突いたその『手』

ジリリリリリリリ…



「…ん…んん〜…」


ジリリリリリリリ…



バンッ!



「…もううるさい…この目覚まし…」


わたしは目覚ましを止めるとそのまま

頭を布団に潜り込ませた。



ガチャッ



「ほらぁ、ナツキ!朝だよ!起きて!」


母がわたしを起こしに部屋にやって来た。


「んん…もう少し寝かしてよぉぉ〜…」


「ダメダメ!学校に遅れるだろっ!ほらぁ起きて!」


「…ん〜…」


「起きなさいって!」


母は怒鳴りながらわたしから布団を奪った。






「行ってきまぁ〜す!」



タッタッタッ…




…やばいなぁ…このままじゃ電車に間に合わないかも…。



タッタッタッ…




あっ!あの人!…いつもこの時間にこの辺りを歩いてる人…

…多分、大学に通ってるのかなぁ…

いつ見てもカッコイイー!あーゆうタイプの男がうちの学校にはいないからなー……。




タッタッタッ…




…ふぅ。何とか電車には間に合いそうだナ…え〜と…サイフは…っと…。



「おじょうちゃん…」


突然、わたしの背後にいたおじさんが声をかけて来た。


「あ・はい?何か?」



「おじさんとイイ事しない…?」


「ヤ。」


わたしはすぐに無視して歩き出した。


「あ・ちょっ…こう見えてもおじさんさぁ…ウマイんだよ…」


「…でもイクのは早そうですね…」


「あっははは…じゃあ試して見る…?」


「だからさっき、イヤって言ったでしょ?急いでいるんで失礼します…」


「じゃあ、今度ね」


そう言うとおじさんはニコリと笑った。



何が“今度ね”よ!誰がお前みたいなキモイ親父とヤルかよ!

…ふぅ〜マジ暑いなー何で今年の夏は暑いのかな〜?



『間もなく電車が到着します。危ないですからお乗りの方は白い線より後ろに下がって下さい』


…ガタンガタン…



ん……?



やだ…誰かが、私のお尻触ってる…。


…ガタンガタン…

…ガタンガタン…



……これってチカン?…ウソ?

…私、チカンされた事ないからちょっと嬉しいかも。

…なんて言ってる場合じゃないか…




…プアァァァァァァァァァァァン…




…もう…とりあえず一発殴ってやろうかな?…。



わたしはムカつきながら、相手の顔を見た。



…げっ!よく見たらさっきの親父じゃん!…


わたしはムカつきのあまり反射的に手が動いた。



「ちょっと!人のオシリ…あっ!」



 トンッ。



 ん?




誰かに当たった?


殴ろうとした拍子に………


わたしの目はゆっくりと前を見た。


…あっ!…前の人倒れかけてる…

…あのまま倒れたらホームの下に…



…だっ…だめ…倒れないで!


…もう電車がっ!



女の人はびっくりとした顔で

こっちを見た。



 …ガタン…


 「ひっ…」


落ちていく女の人の顔が


一瞬にして


『鬼』の様な顔になって



 …ガタン…


わたしを睨んだ。



プアアアァァァァァァァァァーーン




いやあぁぁぁぁぁ!!




ガタンガタン…ガタンガタン

ガタンガタン…ガタンガタン

ガタンガタン…ガタンガタン

ガタンガタン…ガタンガタン




…………!!





「人が飛びこんだぞー!!自殺だ!自殺!」



「きゃあああああ…!」



「早く!駅員呼べぇぇ!」



…ドクン…

…ドクン…



「…………。」


…ドクン…

…ドクン…


「お嬢ちゃん…」


…ドクン…

…ドクン…



わたしは固まったまま動かなかったが、

おじさんの一声で我に返った。


…ドクン…

…ドクン…


「…え?あ・なに?」


…ドクン…

…ドクン…



「あんた…落ちた人に触れただろ?」


…ドクン!…ドクン!…

…ドクン!…ドクン!…



「……っっ!!」


おじさんの一言で私の耳は

自分の心臓の音しか聞こえない。


「ワシを振り払おうとしたから…」


…ドクン!…ドクン!…

…ドクン!…ドクン!…


「な・何言ってんですか…?

違いますよ…あの人…自分から落ちたんですよ!

変な事言わないで下さい!」



わたしは逃げるように走り出す。



タッタッタッ…



「あ・ちょっと…!」



 …違う…!


…ドクン!…ドクン!…

…ドクン!…ドクン!…


あの人が勝手に落ちたんだ!


…ドクン!…ドクン!…

…ドクン!…ドクン!…


…私は何も関係ない…!



…そうよ…偶然なのよ!



……そうよ……。




私はただ走った。



…ドクン!…ドクン!…

…ドクン!…ドクン!…


だが、まるで暗闇の中を走ってるみたいだ。


出口のない暗闇を。


これからしばらくお付き合い願います。

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