015⇒母の『結』末
どれくらい時間が経ったのだろう…
わたしは我に返った…。
そこにはもう母の姿はなく、
ちょうど日が沈みかけていた…。
わたしは放心状態のまま二人のいる教室に戻った。
ガララ…
「ナツキ!あんた今までどこにいたの!?お母さんと帰ったのかと思ったわ…」
「…うん…ちょっと…」
「…とりあえず私達帰るけど…ナツキも一緒に帰る?」
琴美は心配そうに聞いてきた。
だが、あかりは
「あたしはデートだからパスね!」
「わかってるって!」
琴美がすかさず突っ込んだ。
「…わたしはゆっくり帰るから先帰ってて…」
そう言うとわたしは椅子に座った…。
「じゃあ…帰るわね…」
「うん。明日ね…。あかりも楽しんでね…」
バタン…
「…………。」
静まり返った教室でわたしは必死にさっきの事を思い出そうとした…。
一体わたしは母に何をしたんだろう…?
何故、気付いた時に母の姿はなかったのだろう…?
あの女の人はわたしにとり憑いて何をしたんだろう…?
いくら考えてもわたしにわかるはずがなかった…。
そして、わたしは鞄からあの紙キレを取り出した…。
「今から行ってみよう…」
あのチカンおじさんからもらったある霊媒師の地図を見つめながら呟く…。
そして、教室を出た。
わたしはバス停へ向かった。
彼女はここにも現れる事があるから不安だったが
怖がってる場合じゃないのは百も承知だ。
あの霊は母にまで忍び寄ってきて一刻を争うのだから…。
バスの姿が現れるとわたしは何も考えず乗り込んだ。
そして学校と家の間の町にわたしは着いた…。
「たしか…この辺りだと思うけど…」
だが、なかなか見つからない。
この紙切れにかいてあるのは本当なのだろうか?
少しずつ不安になった頃、人とぶつかってしまった…。
「あ・すいません…」
「いえいえ、先程からウロウロしてるけど…どこかお探しですか?」
「…はい。あの、この辺に霊能者がいるって聞いたんですけど…」
わたしはその人に紙キレを渡した…。
「ああ!ここね…!でもここの霊能者はインチキよ…。行かない方があなたの為よ…」
「え!?そうなんですか!?でも…」
「…わかった。簡単にだけど私が診てあげる…」
「…え?」
「たぶん、ここに書いてる人よりは当たると思うわ…。やってみる?」
「…でも…」
「……わかった。今から言うから聞くだけ聞いてね…」
「………はあ。」
「……あなたはまず、何かに狙われてるわ」
それが、最初の一言だった。
「よく見えないんだけど…女の人だわね。」
彼女は目を瞑り、手を額の上に当てる。
「その人は今、わたしの近くにいますか?」
「…何かを感じるけどそこにはいないわ…
それから…あなたにとって悲しい事が起こるかもね…
それも近いうちに…あなたには
それを乗り越えなきゃいけない試練が待ち受けてるの…」
「それが何かはわかりますか?」
「ごめんなさい…わたしの能力ははっきりした形では現れないの…。
でもはずれる事はないのよ…。今のところはこれ以上はわからないから。
わたしの名刺を渡しておくわ…」
わたしは名刺を受けとった。
名刺には名前と電話番号、『霊能力』ではなく、『超能力』と書かれてる。
「私、今から用事があるので失礼するわね…」
「ありがとうございます。」
その女の人はそのまま歩いて行った…。
わたしは紙キレに書いてある霊能者の所にも行くかどうか悩んだが、結局行かない事にした。
そしてわたしは母の事が気になって急いで家に帰った…。
「ただいま…」
「………。」
家は真っ暗だった。母からの反応がない。まだ帰って来てないのだろうか?
「母さん〜!いないの?」
わたしは靴を脱ぐとゆっくりと居間に向かった。
テレビの音が聞こえる。わたしは少し早歩きになる。
「なんだ、母さんいるなら返事してよ!」
わたしは居間の電気がついてないのでスイッチボタンを押す。
カチッ。
「ひっ…」
わたしは一瞬息が詰まった。
居間で母が首を吊っていたのだ。
「…母さん…」
わたしはそれを見て静かに座りこんだ…。
そして思う。
ホントに独りぼっちなんだ…。
わたしの目からは涙がこぼれた。
むむ、とことん暗いですな。
感想お待ちしております。