010⇒違『和』感3
「ナツキ、おはよー」
「おはよ。あかり…」
「どうした?元気ないじゃん。」
あかりはわたしが元気のない事にすぐ気づいた。
「…うん、ちょっと気になる事があって…。
うちの母がね、最近顔にアザがあるんだけど そのアザがなかなか消えないの…。
まるで、毎日誰かに殴られてるみたいな…」
「うそ?そんなに凄いアザなの?−で、お母さんは何て?」
「たいした事じゃない…って、必要以上話してくれない…」
「ふぅ〜ん…よくわかんないね!そういえば今週で夏休みも終わりね…。」
そういうと、あかりはひとつ溜息をこぼした。わたしはニヤリと笑い、
「…その間に少しでもナオキくんと想い出でも作っちゃえば?」
「え…!?ちょっ…ちょっといきなり何言うのよー」
「あぁ!また顔が赤くなった!あかりにはそういうキャラクター似合わないよー!」
「…それどういう意味よ!」
「あはははは…」
ガラララ…
「よっ。」
振り向くとそこにはナオキくんが立っていた。
「ナオキくん、どうしたのー?」
わたしは会釈をした後、そう言った。
「あたしが呼んだのよ…。ごめんねー。いつも来てもらって」
「…あ・いや…俺、ヒマだしさ。」
ナオキくんは頭をポリポリしながら言った。
「全く…積極的なのよね…あかりって結局は…」
琴美が小声で私にそう言っていた…。
「うん。そーだね」
わたしも笑いながら小声で答えた。
そして、昼。
「あたし、ハラ減ったぁ!弁当買ってくるー。ナオキくんは?」
「俺はそこまでハラ減ってないよ。買って来たら?」
「そうしよっかなー?ねぇ、琴美やナツキは?」
「私も行く。朝ご飯抜かしてきちゃったから…もう、死にそ」
「ナツキは?」
「わたしは…今、イイトコだからここが終わってから食べる。」
「そう。じゃあ、ちょっと行ってくる…」
そう言って二人は教室から出ていった…。
わたしとナオキくんは二人きりになった…。
カリカリカリ…
「…………。」
わたしは意識しない様、絵を描き続けた。
すると、
「…ナツキちゃん…」
直樹くんの方から声をかけてきた。
わたしはドキドキしながら返事をする。
「え?はい?」
「あれから…彼女は出てこない?」
「…うん…はっきりとしたカタチでは…。でも、まだ恐い…」
「……うん。俺にはまだ見えるんだ…君に黒い影が…。
ちゃんとした人にみてもらった方がいいんじゃないかな?
俺は見える事しか出来ないから…」
ナオキくんは心配そうに言ってくれた。
けど、わたしは触れて欲しくないのが本音だ。
「…うん、ありがと。ちょっと探してみようかな…。
でも、それよりも最近…うちの母がおかしいの…」
「それは、彼女のせいで…?」
「…わからない。でもあの後だから…」
「…俺にはよくわからない…。
いったい…なんであの人はナツキちゃんに近づいてくるの…?」
カリカリカリ…
「…それは…」
わたしが返事に詰まってると。あかり達が帰って来た。
ガラララ
「たっだいまー」
わたしは助かったと思いながら、あかり達を見た。
「思ったより早かったね。」
わたしより先にナオキくんが口を開いた。
「あ!それってもっとナツキと話したかったって事でしょ?」
あかりの突っ込みにナオキくんは動揺する。
「いや…そういう意味では…」
「そうよ、あかり…なんでそんな発想するわけー!?」
「ま、いっか。いっただきまーす!」
「なんじゃそりゃ。」
わたし達はその日楽しく過ごした…。
「ただいま」
「…おかえり…」
母はいつものようにご飯を作っていた…。
「着替えたらご飯にするわよー」
「…うん。」
ガチャ…
「ふぅ…」
わたしはベッドに倒れ込む。
「………。」
部屋はひっそりと静かで少し肌寒い気がした…。
「………ぅぅうう!」
「…うううぅぅっ!」
「うあぁぁぁぁぁぁああああ…!」
「はあ…はあ…」
わたしは恐い夢で目が覚めた…。
だけどその夢の内容は全然覚えてない。
「はあ…はあ…何で覚えてないんだろ…」
わたしは汗びっしょりだったので服を着替えようとしたら
カーテンから日差しが見えるのに気付いた。
「え?もう朝?わたしまた寝ちゃったんだ…。」
わたしは急いで着替え下へおりた。
「うぅぅ〜っ」
ん?泣き声が聞こえる…。
まさか!あの女の人!?
わたしは周りを見ながらゆっくりと歩いた…。
「うぅぅぇぇ…」
だが、声の主は母だった…。
「どうしたの?母さん…。」
「えっ!」
母はすごいびっくりした顔でわたしを見た…。
「…あ!ナツキ…起きてたんだ…。今から朝食作るから待ってな…」
母は顔を隠すように言った。だが、はっきりと見えた。
母の頬にまたアザが増えていたのだ。
「ねえ…そのアザは誰にやられたの?」
「これは母さんが自分でやったんだよ。気にしないでって言ったでしょう?」
「…嘘よ!どうして教えてくれないの…?」
わたしは母の腕を掴もうとした−…
「触らないでっ!!!」
「…!」
瞬間的に叫ぶ母。わたしは凍りついた。
「…あ、ホラ歯を磨いて来なさい!」
「……うん…」
母は思ったより警戒心が強い…。
一体誰に…?
やはりあの女の人の霊にヤラれてるのだろうか…?
もし、あの霊の仕業ならちゃんとした人にお祓いをしてもらわなければ…。
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