魔王さまと保護者
魔王さまを預かって2週間がたった。
俺の今の仕事は魔王さまの教育係権保護者だ。
リアはとても頭がよく1度言ったことはある程度忘れない。
それにランバートがよく躾けたのか礼儀作法はちゃんとしている。
俺はただただ魔王さまと過ごすことしかやることがない。
だが大層な問題が出てきた。
リアは脱走癖があった。
ちょっと目を離すと探すのに苦労する。
前なんか山2つ超えた森の中にいた。
本人いわく「珍しい鳥が飛んでいた」そうだ。
......探すのに2日かかったぞ。
俺はリアが寝ているときにこっそり魔力制御石のチョーカーに追跡の魔術をかけといた。
これでどこにいるかわかるだろう。
実はあのチョーカーは魔力制御石ではない。
本来は字の通りに魔力を一定の所まで制御するものだ。
だが俺がリアに与えた石は魔力を吸い取るようになっている。
まぁ取れば元に戻るがな。
これで俺の命は保たれてるってもんだ。
あとリアはとても偏食だった。
臭い物や苦い物は絶対に食べようとしない。
どうやらランバートリアに甘いようだ。
無理やり食べさせようとしたら大泣きした。
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「嫌だ!!」
リアは朝から機嫌が悪かった。
「暴れんなよ」
俺はリアの手を片手で一まとめにした。
「や、やめろと言うておるのだぞ。この手を離せ外道め!!」
リアは必死に俺の手から逃げようとした。
「はいはい、外道で結構」
俺は気にせずリアの手を抱えなおした。
「そなたはこんな幼児にそんないたいけな事をする人間か?」
「......」
俺は無言でリアにもう片方の手を近づける。
「やめろ、その手を近づけるな!!我を誰だと思うとるのか。そなたなんか片手でプチっといけるぞ」
リアは涙目で俺を見る。
俺はピタッと手を止めた。
「お前は俺の片手でそんな顔してんだろ?」
笑いながら言うとリアとても悔しそうな顔をした。
「悪魔め!!」
「魔族の親玉に言われたくねぇよ」
俺はまたリアに手を近づける。
俺の手にはフォークが握られ先端には緑の野菜が刺さっている。
子供が嫌いな野菜ベスト3には入るだろう。
「さあ、お口をあ~んとしろ」
俺はリアの口元にそれを近づける。
だがリアは唇を引き絞り口を開かない。
俺はしょうがなく掴んでいたリアの手を放したがその手を今度はリアの鼻をつかんだ。
リアはしばらく我慢していたが我慢できずに口を開けた。
「はい、あ~ん」
俺は開いた瞬間を見逃さずにリアの口に緑のものを入れた。
リアは目を開きながら目のふちに涙をためた。
すぐに出そうとするが俺が顎をつかんでいるから出すに出せない。
しょうがなくリアは喉を動かし飲み込んだ。
飲み込んだ瞬間たまった涙が流れた。
「う~...」
リアはポロポロと泣きだした。
「わ、我は...こんな臭い物は...嫌い.....なのだぞ。それを..無理やり...なんて」
俺はちょっとやりすぎたと思った。
「.........。」
「.........。」
「悪かった。やり過ぎた。......これ口直しに食べるか?」
俺はちょっと反省しながら食後のデザートのチョコレートシフォンを取り出した。
大きいそれを切り分けようとしたら。
「......そのままで...よい」
「??」
リアは涙をぬぐいながらシフォンに目を向けている。
「わかったよ。けどちゃんと食べねぇと大きくならんぞ?」
俺はリアの顔ぐらいあるシフォンを目の前に置いてやった。
「......善処しよう」
リアはさっきの涙は嘘なのかと思うぐらいニコニコ顔でシフォンを頬張っている。
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あれからリアはイヤイヤながらもちゃんと食べている。
は~もう俺がこんガキにに振り回されるなんてな。
まぁ頑張って人間が滅ぼされないように俺もがんばんなきゃな。
俺もなんだかんだで甘いな。