魔王さまとダメダメ男
「ふぁ~」
見上げる空は青い。
視界の隅から徐々に赤くなっているが自分の見上げている空は青かった。
道から外れた草むらで寝ころびながら空を見るのが。
このやる気のない気分を優しく包むかのような時間がまたいい。
何時間ぐらいここにいるだろうか。
時間の感覚のないぐらい自分は呆けていたのだ。
自分の名は"ルイト・リリケルド・ジョン・フォースランド"
知っている人からはルイトと呼ばれている。
職業は雇われ用心棒だ。
いや"だった"がいいか。
数時間前まである貴族の用心棒として働いていたが。
ほんの些細なことでクビになった。
報酬は半額、逆に慰謝料として3分の1を持って行かれた。
「あぁ~あ」
まぁギルド照会に入ってるから日雇いの仕事はたくさんある。
だけどいい仕事先だったからなんだか惜しいことをしたなと思った。
報酬も期待していたのにもう少ししかない。
早めに新しい就職先見つけないと生活に困ってしまう。
頭の中で手持ちの金でどう過ごすか考えていると思わずため息が出てしまう。
もう段々と日が落ち群青色になる空を眺めていた。
やる気がなさ過ぎてなかなかこの場から立ち上がれない。
「きゃ~!!」
「んぁ!?」
なんだか遠くで騒がしい声が聞こえた。
「魔族だ!!魔族が逃げたぞ!!」
「子供が浚われてる!!」
「誰か!!兵士を呼べ!!」
向こうから騒いだ声を引き連れて赤い髪の魔族が走ってくる。
その魔族は何かに追い立てられるように時折後ろを振り向きながら必死にこちらに向かってきた。
「...なんだアイツは?」
......脇に何か抱えてるか?
さっき子供がどうとか言っていたので人質として連れてきたのだろう。
抱えている魔族に乱暴に扱われていたのか子供はピクリとも動かない。
最悪な事をふと思った。
だがもう意味のない人質を抱えるバカはいないだろう。
魔族は個体差があり大小様々で種族も多い。
こっちに近づいてくる奴は人型の魔族で緑色の舌が長く肌が赤かった。
若干気持ち悪いと思いつつ近くに置いてあった自分の剣に手を伸ばす。
「......」
正義ぶっているわけではないがあの顔を見ていると吐き気がする。
見た目で人(魔族)を判断するのは良くないが...。
ガキを抱えながら走ってる所でもうこいつはアウトだろう。
たとえそいつが赤い肌で緑の舌がチラチラ見えていて気持ち悪いって理由じゃない。
昼間の事で少しは気持ちは収まったがちょうどいい。
実はさっきからはやる気が出なかったのはイライラを表に出さない為だ。
少し気分が高揚してきた。
「よいしょっ」
草むらに座っていた腰を上げた。
魔族は後ろを気にしていたのでいきなり草むらから出てきた彼には気づかない。
そいつが前を振り向いた時には遅かった。
シュッ
「ギャ!!」
魔族は丈夫だが首と胴を離されたらさすがにダメだ。
ルイトは一瞬で魔族の首を刎ね飛ばした。
どさっ!!
魔族の体が目の前に倒れ首がポンっと草むらに落ちた。
「...あちゃ~ ちょっと切れ味が悪くなってるな」
剣の切れ味が若干悪くなっていたので血を被ってしまった。
まぁいいや、スッキリしたし。
顔に血を浴びながら笑う姿はどっちが魔族かわからない。
「よし!!もうこうなったらしょうがないか」
周りは唖然としながらルイトを見ていた。
さっきまで騒がしかったのに今は静かになっていた。
魔族の体はとても固い。
魔族は特殊な剣じゃないと切れないのだ。
なのに先ほどの男はいとも簡単に魔族の首を飛ばしたのだ。
ルイトはもうこの場には用がないとばかりに街に向かい歩いていった。
「そうだ!!久しぶりにアイツの店にでも行こうか」
ルイトは笑いながら呟いた。
顔や服に魔族の血がついて笑ってる姿はすごく不気味だ。
その場にいた人たちはそんな明るく言うルイトの背中を奇妙な目で見ていた。
......そして小さな目も背中を見ていた。
魔族が倒されたときに気が付いたのか、そいつの死体の下からはい出てきた。
体は魔族の血でベトベトだ。
「....ふん」
魔族の死体は一瞬に燃え上がると灰にもならずに消えていった。
「人間か...」
文章能力低くて済みません。
ちょくちょく変えながら頑張っていきたいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。