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星も見えぬほどに眩く  作者: 星川過世


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3/11

3

 空きコマ。俺は空いているベンチに座って友人とチャットをしていた。カズが好きなことを共通点にインターネットで出会い、何度か一緒にイベントへ行った仲だ。最近はめっきりカズの話をすることも減ったが、趣味もノリも合うので未だに連絡を取っている。大学生になってからはよくリアルでも会うようになった。そういった友人が複数居て、間接的ではあるがカズのもたらしてくれたものだなと思う。

 『そういやカズ、最近どうしてるかね』

 思わず肩がビクッと跳ねた。ながらくカズの話なんてしなかった癖に!

 まさかリアルで会っているだなんて言えないので、『元気にしているといいね』と無難な返しをする。

 『健康が一番だよな。元気にしててくれればそれでいい』

 親や祖父母のようなセリフだが本当にその通りだ。よくネットで好きなアーティストに対して親の様な心境になるオタクの話が流れてくるが、俺たちもそうかもしれない。

 その後も何往復か言葉を交わした。大学のこと、バイトのこと、試験のこと。一時期不登校気味だったこの友人と学校の話をするのはなんとも不思議な感じであった。でもよかった、と素直に思う。

 大学の友人が歩いてくるのが見えて『リア友来たのでスマホ閉じます』と打ち込む。閉じる前に返事が見える。

 『ホヤにリア友が居るって不思議な感じ。でも安心するわ』

 思わず笑いそうになった。向こうも同じことを考えていたらしい。

 相変わらずいい奴だなと思いながら閉じたスマホをポケットに入れた。俺とコイツの当時のもう一つの共通点はネットを介さない友人がほとんど居なかったことだった。別に大した理由があったわけではない。クラスメイトから避けられた記憶もない。ただ明確に学校の人間と自分が分かり合えないという変な確信があった。

 だからこそ仄暗いカズの曲の雰囲気に、カズ自身の纏う雰囲気に惹かれたのだろうなと思う。漠然とした生きづらさにカズはいつだって寄り添ってくれる。

 カズの曲は、今でも好きだ。でも例えばカズの曲に初めて会ったのが今の俺だったとしたら、きっとファンにはならなかっただろう。世界は思いのほか広く、小中学校という狭い場所を出れば友人を作るのは簡単だった。

 「よぉ、堀江」

 「おー」

 大学の友人が向かいに座る。影など落ちない、平凡で楽しい大学生活。

 例えば暗い場所で迷子になったら、星が命綱だ。でも、明るい場所だったらそんなものはいらない。

 明日が暗ければかけがえのない道しるべになったカズの曲も、明日が明るければ必要ないのかもしれない。

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