第1章 gifted学園、そしてバード邸へ
gifted学園ってとこは、“才能ある子ども”たちが世界中から集められてる特別な場所らしい。
選ばれた、って言われても、別に自慢にはならない。
だって、ここに来る子はみんな、“選ばれすぎてる”から。
俺の名前は、オリバー・ジョーンズ。
見た目は普通。中身もちょっと変わってるくらい。
でも、海底都市から来たって言うと、みんな少しだけ驚いた顔をする。
――そう。俺は、ちょっとだけ皆と違う世界の住人。
水を燃料にするハーレーで、沈んだ都市からやって来た。
この第一章では、
・入学式前の不思議な静けさ
・金髪で碧眼の、美しすぎる少年エミールの謎
・そして俺が、あの5人組の仲間になる、最初のきっかけ
そんな始まりの出来事が描かれてる。
最初は、俺もこの学園に期待なんてしてなかった。
だけど、気づいたら――変わってたんだよな、色んなものが。
ロボ犬・ハチコウの吠え声が合図みたいに、
あの日から、俺の物語が動き出したんだ。
ようこそ。少し未来の“才能”たちの世界へ。
……ま、肩の力は抜いて読んでくれよな。
第一章:「gifted学園、そしてバード邸へ」
青空の下、海沿いの道を走ってる。
見渡す限り、水平線まで続く海岸線。
太陽の光を浴びた砂が、風に舞ってキラキラしてた。
その中を疾走するのは、俺の愛車――ハーレーダビッドソン。
……って言っても、見た目だけ古典風で、中身は未来仕様。
水素燃料で走るし、浅瀬もバシャバシャ突っ切れる。
俺が10歳の誕生日にもらった、世界に1台しかない特別仕様さ。
ハンドルを握る俺の名前は、オリバー・ジョーンズ。
茶色い髪に緑の目――まあ、そこらにいそうな見た目だけど、少しだけ事情がある。
バイクの横には、サイドカーに乗った相棒。
精悍な顔立ちのロボット秋田犬、ハチコウ。
3歳のときに両親――ヘラとゼウスがプレゼントしてくれた。
本物そっくりのAI犬で、子犬から。10歳仕様で成長はストップってやつだ。
ロボットペットってのは、飼い主の仕様で色々変化するんだぜ。つまりペットは飼い主に似る。
「ワフ」
横から短く鳴かれて、思わず笑った。
「緊張してるのか? 俺もさ。新しい街、新しい学校……初日ってやつだぜ、ハチ公」
彼はチラッとこっちを見て、それから何も言わず前を見た。頼れるやつ。
向かってるのは、“バード邸”っていう豪邸。
gifted学園に入る俺は、普通なら寮生活らしいんだけど、理事長の親友の俺の父ゼウスの計らいでその家に住むことになってる。
そこには、同じ学園の生徒が3人住んでるんだって。
⸻
門の前にバイクを停めたら、花柄のエプロン巻いた男の子が出てきた。
エプロンって、お前……。
「よく来たね、オリバー。バイク、かっこいいじゃん。庭に停めていいよ」
「うん、ありがとう。……てか、植物多いね」
門の内側、鉢植えとプランターが所狭しと並んでた。名札つき。
「“レオナルド5号”に“ダ・ヴィンチ2世”…って、これ、全部名前あるの?」
「俺の大事なコたちだから。フェレットさえ来なけりゃ無事なんだけどな!!!」
その瞬間、なにか毛玉が転がり出てきた。
セーブルミットっていう、顔がパンダみたいな白黒模様のフェレット。
ラファエラのペット、フェイ太郎ってやつ。
「コラァァァァ!!また“ミケランジェロ3号”掘ったな!!」
ケイティが叫んだかと思うと、フェイ太郎が「クックック」って変な笑い声(?)出して戦闘モード突入。
ハチコウがすかさず前に出て、「ワフッ!」って睨みきかせた。
「やらないよ、もう」とフェレットは拗ねた声で言いながら、ケイティの足を甘噛み。
「なんなんだよコイツは!ラファエラにやれよ!俺にばっか絡んでくんな!」
「優しいから、ラファエラにはやらないんだよ」
って、今フェイ太郎しゃべった!? ……それにしてもよく喋るイタチだな。
⸻
そこに、玄関から彼女が現れた。
クリーム色の髪をゆるく編んで、青い瞳がまっすぐ俺を見てくる。
天使みたいな女の子――ラファエラ。
「はじめまして。あなたが、オリバーね?」
「うん。よろしく……ラファエラさん」
「“さん”はいらない。年、同じでしょ?」
あの瞬間、俺は……たぶん、恋をした。
静かな声で、綺麗な目で、なんていうか――完璧だった。
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夜。バード邸のリビング。
ソファに寝転がってたのは、金髪碧眼のすっげぇ美少年。
名前は、エミール。年齢は9歳……って聞いたけど。
中身はたぶん、全然9歳じゃない。
昔は黒人でボディガードだったらしくて、任務中に死にかけて、脳だけ日本製のクローンボディ(しかもHONDA製)に移されたらしい。
今は記憶を失ってるみたいだけど……動きとか視線とか、完全にプロって感じ。
「君がオリバー? これで全員そろったね。よろしく」
あの笑顔。完璧すぎて、何か裏があるんじゃないかって疑いたくなるレベル。
でも、悪いやつには見えなかった。
きっと何か、訳ありなんだろうな。
俺も人のこと言えないし。
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こうして、俺の新しい生活が始まった。
gifted学園への入学、寮の監督官との再会、
そして――あの運命の男、マハラジャとの出会い。
このときはまだ、自分が神話に巻き込まれていくなんて思ってもなかった。
でも……確かに、始まっていたんだ。全部の始まりが、ここに。
【あとがき:第一章を読んでくださったあなたへ】
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!
バミューダ諸島小さな海底遺跡で産まれ育ったオリバーは新世界を目にします。
おそらく、こんなgifted学園は他にないと思います(笑)
第一章では、
・無口な天才オリバー
・フェレットロボットの暴走
・ロボ犬ハチ公の“実力派登場”
など、主要キャラたちの“最初の出会い”を描きました。
一見バラバラな彼らが、ここからどう“5人組”になっていくのか。
そして、リリカやエミール、ラファエラといった他の仲間たちが、どう物語に絡んでくるのか――
それはまだ、もう少し先のお話です。
オリバーの旅は、ここから加速していきます。
次回、第2章ではマハラジャ誘拐救出劇や、gifted学園の内部事情も少しずつ明らかに……?
⸻
【次回予告】
「君は、才能をどう使うべきだと思う?」
次回も金・土の夜に更新予定です!
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読んでくれて、ほんとうにありがとう!