表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/16

プロローグ:「過去から来た教師」

俺の名前は、オリバー・ジョーンズ。

静かに本を読んでるだけの、ただの少年――って思われてた。

けど、実はちょっと面倒な血筋らしい。

ほら、あの“ジョーンズ博士”。そう、帽子かぶってムチ振るってる考古学者。

あれの末裔なんだってさ。知らなかったけど。


でも、この話はそんな血筋より、もっと変な“ご縁”で始まる。


舞台は、gifted学園。

遺伝子で選ばれた天才だけが集まる、ちょっと特殊な場所。

入学初日から、変な連中と出会った。


王族のくせに戦いたがりなマハラジャ。

花のことしか考えてない理屈屋のケイティ。

見た目は少年、中身は記憶喪失の兵士エミール。

それと……気高くて、ちょっと怖いけど美しいラファエラ。


俺たち5人に与えられた任務は――仮想遺跡で、転送装置の再起動。

でもそれは、ただの課題なんかじゃなかった。

過去と未来をつなぐ“扉”だったんだ。

気づいたときには、もう引き返せないところにいた。


友情、戦略、AI、神話、恋心、そして遺跡バトル。

ちょっとSFで、かなり壮大で……まあ、いろんなことが起きる。


これは、**世界を変えることになった俺たちの“最初の物語”**だ。


どうせ読むなら、最後まで付き合ってくれよな。


挿絵(By みてみん)


プロローグ:「過去から来た教師」


俺の名前は、オリバー・ジョーンズ。

海底に沈んだ国、聖トスゴーンの最後の継承者ってことになってる。

そしてかの有名なインディジョーンズ博士の孫の孫らしい。


王子って呼ばれたこともあるけど、まあ、どうでもいい。

肩書きで人が変わるわけじゃないしな。


けど、ひとつだけ確かなのは――

俺の人生は、あの日、彼に出会ったことで始まった。


夜のバミューダ海域。

月すら届かない、深く冷たい海の底にある都市に、

光も音もなく、一台のバイクが現れた。


水を燃料に走るハーレーダビッドソン。

時代の最先端だったけど、政治の闇に葬られて、

“そんなのあるわけない”ってことにされた技術だ。

だけど、確かにそこにあった。


それを復元したのが、サンクトム・ノクティス――

つまり、聖トスゴーンの科学者たちだった。


で、そのバイクに乗って現れた男が、バーンズダン。

褐色の肌に鳶色の髪、鋭いけど優しい青い目をした男。


あのときの俺は、まだ3歳だったけど、

彼の言葉は、なぜかすんなり胸に入ってきたんだ。


「オリバー・ジョーンズ。君が育てば、世界は変わる。

守るために、書け。戦わずに、伝えろ」


……今思えば、これが最初の使命だったのかもしれない。



出会ったのは、海底都市の洋館。

俺が暮らしてた、少し古びた家だ。


ハチコウ――俺の相棒のロボット秋田犬は、

部屋の片隅で丸くなって眠ってた。

見た目は完全に本物の子犬。でも、中身はAI。

両親が3歳の誕生日にくれたプレゼントだった。


「……君が、オリバー?」


「うん。おじさん、誰?」


「バーンズダンだ。君の“先生”をしに来た」


変なやつだなって思ったけど、

なぜか、安心感があった。

俺は、ひざの上の絵本に視線を戻した。


分子構造式の絵本。普通の子なら読まないやつだ。


「読めるのか?」


「うん。読むのは得意。でも、書けないんだよね。

だって、手が小さいから。まだ字は上手く書けない」


俺はわりと本気で言ったんだけど、ダンは笑った。

でも、バカにした笑いじゃなかった。

どこか嬉しそうな、そんな笑いだった。



そのあと、バイクを見て聞いた。


「これ、本当に水で走るの?」


「そうさ。かつて夢だった技術さ。

けど、忘れられてしまった。俺たちは、それを思い出した」


「バイクに乗るの、好き?」


「旅が好きなんだ。時間を越えて、君のところに来た」


「……じゃあ、おじさん、未来から来たの?」


「そう。未来といえば未来、過去といえば過去。

君に“書く力”を教えるために来たんだよ」



それから7年、俺とダンと父親のゼウスと母親のヘラは一緒に暮らした。

この洋館で、読み書きや戦術、思考の訓練をしてきた。

gifted学園に入るまでの準備だった。


……でも、それだけで終わるわけなかった。



俺が10歳になったある日。

聖トスゴーンのバリアが崩れ始めた。


地震、エネルギーゲートの暴走、侵入者――

混乱の中で、母・ヘラが、遺跡盗掘人に襲われて……命を落とした。


ゼウス――俺の父が駆けつけた時、彼女はもう静かに目を閉じていた。

でも、その顔には、不思議なくらい穏やかな笑みが浮かんでた。


「君を一人にはしない。この聖域と共に、私も残る」


そう言った父は、聖域の地下にある研究施設に残ることを選んだ。

そして、バーンズダンもまた――同じ場所に残った。


二人とも、母の眠る場所と、未来の記録を守るために。



俺は、脱出艇に乗り込んだ。

バーンズダンから引き継いだ、ハーレーと、ハチコウと一緒に。


あのとき俺は、泣かなかった。

強がってたわけじゃない。

たぶん、何かが“終わった”って感覚が先に来てたんだと思う。


海水に飲み込まれ始めた聖トスゴーンを、

俺は後ろ髪を引かれる思いで見ていた。


あそこが、俺の最初の“世界”だった。


でも、俺は行かなきゃならなかった。

伝えなきゃならないものが、できてしまったから。


隣には、ハチコウ。

小さな俺の手に、彼のぬくもりが重なっていた。


(この想いを、伝えていく。俺の言葉で)


後にこの日が、“神話の始まり”と呼ばれることになる――


……まあ、それは未来の話だ。





毎週、金土、連載です。


感想くれたらフェイ太郎が返事書くミャ!


あとがき:「過去から来た教師」


ここまで読んでくださって、本当にありがとうございます。


このプロローグは、“オリバー・ジョーンズ”という少年が、どんな出自を持ち、どんな想いを背負っているのか――その最初の一歩を描いた導入編です。


この世界では、科学と神話、未来と過去、現実とフィクションが幾重にも交差しています。

聖トスゴーンという海底都市、そしてバーンズダンという男は、その「交差点」で生まれた存在です。


読み書きを覚えるより先に「分子構造式を読む」少年。

そんなオリバーのもとに、未来からやってきた教師・バーンズダン。

彼らの出会いは、ただの教育でも運命でもなく、“人類の記録を未来に託す”という使命のはじまりでもありました。


このあと、オリバーはgifted学園へと進み、仲間と出会い、やがて世界と向き合うことになります。

けれど、どんなに壮大な冒険が始まろうとも――

その核心にはいつも「誰かから託された言葉」がある。


この物語が、あなた自身の“今をつなぐ言葉”になってくれたら、これ以上の幸せはありません。


それでは、また本編でお会いしましょう。

ありがとうございました。


──著者パンダより


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ