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メロディー

作者: 秋葉竹


 


もう、

笑ってもいいんだよ

って云われた、

ような


笑っていないのは

すこし弱くみえるらしいし


ずいぶんむかしのことだが

たぶん白みはじめた鳥たち囀る早朝

いちばん悲しげな瞳のひとに

あたしの、

涙をこらえている

頑なな笑い声は

あたしらしくないって

云われた

ような


なら、悲しみって、なんだろう?


なぁんて、ね


嘘さ。



夢よりもあかるい

刻印のような嘘を

越えようとけんめいに

自然に笑ったつもりのとき

彼女のうっすらと笑うやさしい寝顔に

ずいぶんと癒されたような、


なぁんて、ね


嘘さ。



あたしは《あたし》を伝えたいと

この細いのども裂けそうになるほど

声を振り絞って


わかってほしい、とか


希ったことなんて、ないんだ



ギリギリまで切実に

ほかのひとに伝えたい

なんだか重たげな

悲しみなんて、ないんだ


金波銀波の人の群れのなか

なぁんだ、

そういうことか、って

すべてに納得ができて

だから

笑っちゃうしかない


すこし鈍い色の気持ちで、

淡い青空みたいなすきとおった世界を

口笛吹きながら


生きるのだけ、

好きさ。


風薫る、美しいメロディーを

胸いっぱいに

吸い込みながら、


くり返し伝えるのは

くり返し伝えるのは



深い山奥の

小川のせせらぎのことばかり


弱くったって

いいんだ、っていう

ゆるし、

のことばかり。







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