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推しと私の異世界生活  作者: 桂日
5/25

5

昨日の夜に私達を襲ってきた鳥が、こっちに向かって飛んできている。


また私達を襲う気…!?


「結衣ちゃん走るよ!」


「うん…!」


灯也君が私の手をつかみ、走り出す。


…ん?て?


「手ええええええっ…!?」


「え、なに!」


「いや、て、手、てっ…!」


「て…?

うわ、もうそこまできてる…!」


後方から迫りくる鳥、推しと手をつないでいる現状───鈴川結衣、いろいろな意味で大ピンチです。


ううう…気をしっかり持たないと本当に倒れる…!


その時、突然後ろから強風がふいてきて押し飛ばされる。


地面を転げ回り、その痛みに私は顔をしかめた。


灯也君は大丈夫だろうか。


そう思った時、誰かに抱きしめられている事に気がつき、はっと顔を上げる。


目の前の灯也君は、私よりもたくさん怪我をしていた。


「灯也君…!」


「…結衣ちゃん、大丈夫?」


「私は大丈夫です!それより灯也君が…!」


私をかばってくれたんだ…それでこんなに怪我を…!


「俺も大丈夫…動けるよ」


灯也君がそう言った時、また風がふいてきた。


振り返ると、大きな羽を動かしながら3つの顔がこっちを見ている。


強風を起こしたのはこの鳥のようだ。


ふと、羽になにかがついているのが見えた。


あれは…昨日持っていかれた灯也君のうちわの…とってだけ、だった。


「…っ…なんでそういう事するの…

灯也君を傷つけるし…うちわも壊すし…いい加減にしてよ!」


そう叫ぶと、鳥が私に向かって飛んでくる。


「結衣ちゃん!」


灯也君の焦ったような声が聞こえる。


どうしよう…どうすればいいの…!


思わず足元を見ると…青い色をした少し大きめの実のような物が転がってきた。


さっきの強風で飛ばされてきたのかもしれない。


鳥が目の前まできてる───もうやるしかない…!


私はその実を手に取ると、鳥に目掛けて投げた。


両端の顔が奪い合うように実を食べはじめる。


今のうちにどこかに隠れられれば…!


「灯也君…!」


「うん、行こう!」


この場から離れようと鳥に背を向けた時、後ろから大きな音が聞こえてきた。


思わず振り向くと、あの鳥が倒れていた。


どういうわけか両端の顔が寝ていて、真ん中の顔が怒声を上げている。


どうなってるの…?


目の前の光景に戸惑っていると、鳥に食べられて小さくなった実を見て灯也君が口を開いた。


「…あれ、あの実…朝に俺が見たやつと同じだ」


「え、さっき話してた変な模様の木の実の事…?」


「うん

ほら見て、ギザギザの模様がある」


「…本当だ」


さっきは気がつかなかったけど、よく見たら確かにギザギザの模様があった。


「…もしかして、あの実が関係してるのか…?」


「え…灯也君それって」


どういう事?と聞こうとした時だった。


「おい、大丈夫か!」


声を上げながら男の人が走ってくる。


人だ…!


灯也君と顔を見合わせて喜び、男の人に視線をもどして───ある事に気がついた。


男の人は鎧姿で、その手に剣が握られていた。


…コスプレですか?

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