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「…ん………あれ…?」
「あ!灯也君おはようございます!」
「…あ、おはよう………って、俺寝ちゃってた?」
「はい!
体調はどうですか!?
少しでも疲れが取れてればいいんですけど!」
「大丈夫、ちゃんと休めたよ、ありがとう
結衣ちゃんは休めた?」
「私も大丈夫です!
この勢いで全力全開レッツエンジョイゴー!」
「…もしかして結衣ちゃん寝てない?」
「え!?なんでわかったの!?
灯也君エスパー!?」
「いや、なんかやけにテンションが高いなと思って…」
「そうですか!?
でも大丈夫です!さあ!元気に行きますよ!
…あれ、なんかフラフラする…」
「ほら、無理しないで休んで!」
促されて座った後、顔を上げると灯也君が微笑みながら口を開く。
「見張りはしておくから、ゆっくり休んで」
「…うん、ありがとう、とうやくん…」
そう言葉を返して、私は目を閉じた───。
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「…ん…」
「あ、起きた」
「あれ…とうやくん…?」
「うん、おはよう」
「あ、おはよう…
って、ええええええっ!?
なんで灯也君がいるの!?」
「いや今朝までの記憶の行方!」
…あ、そっか…昨日いきなり知らない所にきちゃって、灯也君に会って…鳥に追われた後この洞穴にきて…。
「思い出してくれた?」
「あ…は、はい…!」
そう返事をしながら立ち上がろうとして、服が私にかけられている事に気がついた。
「えっ!?」
「どうしたの?」
「これ…上着!ライブ衣装の!」
「 あ、そうそう
風邪引かないようにって思って」
「すみません!え、汚れちゃったかな!?
クリーニングに出した後、事務所に送ります!」
「いやいや、汚れてないし大丈夫だよ!
俺が勝手にやった事だし気にしないで!」
そう言いながら上着を羽織る灯也君…どこまでもイケメンすぎる…!
「ありがとうございます…!」
「いえいえ、お気になさらず!
体調はどう?」
「大丈夫です、ご心配をおかけしました!
行きましょう!」
そう返事をした私は、灯也君と洞穴を出た。
私が寝る時まだ顔を出したばっかりだった太陽は、今はすっかり高いところにいた。
お腹空いたな…。
そういえば昨日の昼からなにも食べてない…あ、そういえば…!
「灯也君、クッキー食べませんか?」
「え、いいの!?食べる食べる!
うわ、俺このクッキー大好き!ありがとう!」
昨日のライブの後に食べようと思っていたクッキー…持ってきておいてよかった…!
2人でいただきます、と同時に食べる。
「うまっ!」
「おいしいですね!
お腹空いてるからいつも以上においしい!」
「本当だね!
…あ、そういえば結衣ちゃんが寝てる時、洞穴の近くで木の実を見つけたんだけど…
色が青と紫と灰で、変な模様もあって…あれは全然おいしそうに見えなかったな…」
「変な模様…?」
「うん、八角形とかギザギザとか、変な模様の実
あんな実初めて見た」
それは確かにおいしそうに思えないかも…というか、食べて大丈夫なのかな…?
「だから結衣ちゃんからクッキーもらえて本当によか…ん?」
ふと遠くを見た灯也君が驚きの表情を見せる。
「どうしたんですか、灯也く…ん…」
灯也君が見ている方に視線を向けて、私は固まった。
…うそでしょ…あれは…!
そう思った時、灯也君が口を開く。
「あいつ…昨日の鳥だ…!」