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第三王子の魔法訓練は順調です

「あ、ホントに来た」


 翌朝、アルディオの部屋を訪ねると、少し驚いたような声に迎えられた。心なしか声が弾んでいて、私は彼に待たれていたんだろうな、と苦笑する。


 母親と二人のささやかな生活から、その親を亡くした後孤児院に身を寄せるでもなく、スラム街で他の孤児達とどんな生活を送っていたんだろう。今回の暴動には、どうやら巻き込まれたらしく、他の孤児達は皆孤児院に送られたという。

 この部屋に独り、誰も知った顔もいない。世話はしてくれるが、平民として育った少年を若干持て余し気味な、他人行儀な大人ばかり。家族である陛下や王子や王女達も最初に顔合わせしただけだという。魔力暴発の可能性が判明してしまったので、仕方のないことではあるけれど。

 そこに来て、勉強だ、作法や行儀を覚えろ、などと教師をよこされても、混乱するに決まっている。

 陛下達には後ほど進言するとして、とりあえずは、アルディオの心身のケアと魔力制御と訓練だ。


「今日からビシバシやるって言ったじゃないですか」


 私の少し呆れたような声に、アルディオはほっとしたように笑う。

 でもそれから、少し迷うように視線を彷徨わせ顔をうつ向かせると、躊躇いがちに口を開いた。


「うん。あの……昨日は、ごめん」


 出てきたのは、昨日の私に対する謝罪の言葉。うん、素直ないい子じゃない。


「いいんですよ。お母様を亡くしたばかりでここに連れられてきて、寂しかったですよね」


 私も首を横に振って、気にしてないとそう答えた。アルディオは、私の返事に安心した様子で、顔を上げた。


「…………で、何からやるんだ? 俺も魔法、使えるようになるんだろ?」


 期待のこもった視線に、私は思わず笑ってしまう。


「まずは魔力を感じるところからですよ。両手を出して」


 アルディオの前に移動して立つと、私は素直に出された彼の手を軽く握る。彼の右手は私の左手と、逆の手もそれぞれ握って、私達は輪を作った。


「今私の魔力を流してみますね……どうです?何か感じますか?」


 私は自分自身の魔力を、ほんの少しだけ彼に流してみる。違和感が強すぎたり、気分が悪くなるようなら、他の方法を考えなければならない。


「あったかくて、なんだか気持ちいい」


 うん、よかった、大丈夫そう。


「そう。きっと魔力の相性が良いんですね。で、貴方の中にも感じませんか?これと同じような何か」


 アルディオは目を瞑ると、集中して身体の中に意識を向ける。一生懸命探っている様子に、私は彼の邪魔をしないように、じっと待つ。


「う〜ん…………あ。なんか奥に溜まってる感じ?」


 やがて顔を上げると、窺うように私を見た。

 どうやら、彼の魔力溜まりを感じられたようだ。こうして手をつなげて、彼の身体に集中していると、なんとなくどこに魔力器官があって、どのくらいの魔力があるのかよくわかる。前世の私にはない感覚なのだけれど、幼い頃に、父様に手を取ってもらって同じように訓練した私には、自然にそれが理解出来た。

 私はアルディオに一つ頷くと、


「では、回路……魔力の通り道を開いてみますよ?」


 彼の表情の変化に注意しながら、私の流す魔力量を増やし、彼の魔力溜まりを刺激して後押しして動かしながら、アルディオの循環回路を慎重に開いていく。


「どうです?辛いところはないですか?」 


 無理やりだったり、一気にやると、相手にかなりの苦痛や負担を伴う作業だ。


「大丈夫……」


 アルディオに辛そうな表情はない。汗ばんではいるようだけど、このまま続けていく。結構な時間をかけて末端まで開いたところで、休憩は入れず、私は言った。


「じゃあ今度は、今広げた回路に魔力を流すイメージで、アルディオの右手を通して私の手の方に流してみて下さい。やりやすいように少し手伝いますよ? そして、左手から戻す感じで」


 彼の魔力を溜まりから引き出すようにして回路に乗せてやる。アルディオも自分で意識して動かすように身体に力を入れたようだ。


「う〜ん、これで良いのかな?」


 ぎこちなく、不要な力も入っているようだけど、なんとか私の左手に彼の魔力を感じることが出来た。うん、悪くない感じ。私は、それをそのまま右手の方から、彼の左手に戻してやる。


「そう、上手です。もっと増やしてみて……これが魔力を循環させる感覚です」


 流れる魔力量が少し増えたところで、彼がはぁ〜と大きく息をついて、私の手を離した。

 そして床に座り込むと、肩で大きな息を繰り返す。

 私は側仕えの侍女に目配せし、「水を」と用意を頼む。

 コップを受け取ったアルディオは、一気にそれを飲み干した。侍女は黙って二杯目を注ぎ足した。今度はゆっくり飲みながら、アルディオは言う。


「きっつ。アンタはこれを平気な顔でやってるけど……」


 まあ、一番最初はキツイよね。でも結局は慣れるしかないのだ。魔力が多い人間は、これが出来ないと、二次性徴のときに更に増える魔力を上手く逃すことが出来ずに、魔力暴発を起こしてしまう。3歳のとき既に今の父様同様の魔力量だった私も、想像だけでヤバいことを実感し、必死で頑張った。お陰で、初潮がきた時も特に問題なく乗り越えられたのだ。

 10歳という年齢で初めてこの訓練をしたアルディオは、幼い子どもと違ってやりにくそうではあるけれど、ここから先は、自分自身で頑張るしかない。


「私も大抵の魔力持ちも、3歳位からこの訓練をして、身体に感覚を叩き込まれますからね……とにかく、普段から意識して、魔力を身体の隅々まで行き渡らせる感じで、常に続けてください。そのうち息をするように自然に出来るようになりますよ」


「いつも?」


「そうです。血液と一緒ですよ。そうしないと魔法を使うときに、上手く魔力を乗せることが出来ないので」


 アルディオは、うんざりしたような顔を見せたけど、嫌だとは言わなかった。コップを侍女に返すと立ち上がる。


「さあ、今度は一人でやってみて」


 今度は、彼の右手と左手を合わせるように握らせて、促してみる。

 さすがに実際に一人でやってみるのは大変だったらしく、時々彼の腕に触れて、助けてあげる。それでもなんとか一人で出来るようになったのは、3日目だった。




「次は、魔法を使ってみます。と言っても実際にはちゃんと魔法の勉強をして正しい使い方を覚えてもらうのですけど、あんまり余裕もないので、並行してやっていきますね」


 ここ1週間程で、魔力循環がなんとか形になってきたので、次は放出だ。

 本来なら、魔法の概念とか理論とかの基礎を学んでから、魔法を覚えていくのだけど、初期の簡単なものはそんなに深い知識も要らないので、実践と一緒に進めていく。


「アルディオの属性は、火と闇ですね。見事に私と一つも被ってないなあ。ええっと……じゃあイメージしやすい火から行きましょう。この蝋燭の火を灯すとこから始めますよ」


 私は、父様の厳しい教育の賜物で、どの属性に関しても、一応の知識は持っている。子供に教えるくらいなら、自分の属性外でも問題はない。


「火を灯すって、どうやって?」


 アルディオがきょとんと首を傾げて、私を見る。普段、真剣な表情で一生懸命話を聞いているけど、時々こうやって無意識に可愛らしい顔を見せる。

 私は右手の人差し指を立てると、やり方を説明する。


「貴方の右手の指先をロウソクの芯に近づけて、魔力を出しながら、マッチを擦って火を点けるのをイメージしてやってみて。やり難かったら、イメージを言葉に出して言ってみるのも、効果的ですよ?」


 このイメージを言葉にすると言うのは、実は結構な魔法師が行っている。言葉にすることで、イメージを固定化して魔法を発動しやすくするという。確かに、幼い子どもにそうして教育するのは良いのだけれど、成人して詠唱のクセがつくのは、発動までに時間がかかるので避けたいところ。イメージの固定化が脳内で自由にできるのなら、そちらの方がいい。


「う〜ん……うわっ!」


 アルディオも人差し指を立て、睨みつけながら唸っていたが、いきなりぽっと火が着いた。慌ててロウソクから指を離している。


「あら、お見事!」


 思わず感心して手を叩く。予想より、ずいぶんとスムーズに発動出来た。


「これが魔法……」


 アルディオは呆然と呟いて、自分の指先を見つめていた。


「そう、それが魔法で火を点けるってことです。魔力が抜けた感じはしませんか?」


「うん、ちょっと疲れたかんじ?」


「魔法の使い方を学んで、もっと効率よく使えるようになれば、その疲れも感じなくなりますよ。大事なのは、成長期に増える魔力を、上手く循環させて程よく使うことが必要なんです。魔力が一箇所に溜まったまま発散出来ないと、暴発するんですよ。だから、循環と発散を意識して繰り返して下さい。日常的に簡単な魔法を使っていけば、発散にも慣れて、成長期の魔力増加にも対応できます」


「うん。わかった」


 そう素直に頷いて練習に取り組むアルディオは、最初の頃の緊張や荒れた感じは落ち着いてきていて、周囲の側仕え達との関係も少しずつ改善されていた。


 アルディオと出会って、この10日程は、それこそ父様と朝一緒に家を出て、夕方帰宅するという感じで、文字通り朝から夕方までアルディオの魔法の訓練に付き合ったけど、とりあえずは魔力暴発の危険性が無くなったので、今後のスケジュールを相談することにした。


 昼食を一緒に取りながら、アルディオと向き合う。

 私は彼にテーブルマナーについてアレコレ言ったことは無いけど、彼は私をじっと見て、わからないことは素直に聞いてくる。尋ねられれば、丁寧に教えてあげた。


「とても上手になってきましたね、カトラリーの使い方。でも今は、マナーよりもしっかりと食べることですよ?」


 アルディオは、出会った頃よりは少し体重が増えてきたと思うけど、まだ細めだ。魔法は結構体力使うし、これから剣術なども学んでいくだろうから、もう少し体重を増やした方がいい。


「うん。でも働かないで豪華な食事が出るのは、慣れないな」


 ぽつりとこぼれたアルディオの言葉に、私は思わず顔を上げる。今まできっと、労働することが当たり前の環境にいたのだろう。

 前世でも、子供が働かざるを得ない国はあったけれど、今はもっと身近に起こっていることに、私は胸が痛んだ。


「子供は本来、学ぶことと遊ぶことが仕事なんです。健やかに育ちたくさん学ぶことで、貴方は将来王族として、この国の民のためにその肩にたくさんの責任を抱えて働く事ができる。貴族や王族は平民とは違う視点で、国の為に働いているんです」


 学んで知識を持って、世界のことをたくさん知らなければ、国や民は守れない。王族にはその義務がある。いつまでも、平民と同じ立場ではいられない。


「……知らなかった」


 しばらく考えるように目を伏せていたアルディオは、やがてそう言った。


「ふふっ。これから学んでいきましょう。私も本当は、来月から学園に通う予定だったんです。後期からにずらしましたけど、その分アルディオと一緒に勉強出来ますね」


 私の魔法の講義と訓練は午前中の3時間程度として、週6日約半年間を目安に行うことにした。

 その他の授業も、今のアルディオならきっと前向きに取り組めるだろうと思う。必要なことから勉強を始めてみたい、と言い出した。


 だから、午後からは自習にしていくつか課題を出すと、私は陛下のところに向う。

 先触れは出してはいたけど、執務室にはなんと王太子のセドリック殿下もいて、


「やあ、シルヴィア、久しぶり。聞いてはいたけど、斬新な格好だね? アルディオのことありがとう。様子はどうだい?」


 と、キラキラした笑顔で迎えられた。


 陛下に促され、お茶の準備がされた応接スペースに誘われる。

 この従兄弟殿は、クロード兄様と同じ歳の、金髪碧眼の美形な王子様だが、結構な策士で私よりもよっぽど人生2周目感がある。そして、身内に遠慮がない。

 私も遠慮なく腰掛けると、早速お茶をいただいて答えた。


「セドリック殿下、お久し振りです。お見苦しくて申し訳ありません。関係者以外の方々に意外と身元がばれないもので、結構助かっていますわね。アルディオ様は順調ですよ。今日は魔法の発動も出来ましたの。暴発の危険は、これで大丈夫ですね。ですので、今後の教育についてご相談に参りました」


「そうか!シルヴィア、ありがとう。君に頼んで正解だったな。で、相談とは?」


 陛下の顔が明るくなり、声が弾んでいる。陛下なりに、アルディオを心配はしていたのよね。魔力暴発の危険があるうちは、この二人をはじめ王族は、アルディオに近づくことは出来なかったから。

 私の報告に、セドリック殿下もほっとしたように息をついて、視線で話の先を促される。


「週明けからは、私の魔法の講義と訓練は、午前中3時間程度いただければ充分ですわ。週6日、半年間を目安に行って、学園の中等科入学レベルまでは引き上げます。

 空いた時間は、他の授業を組んで下さい。今、結構前向きになっているので、良い教師に当たれば伸びると思いますよ。体を動かすのもお好きなようなので、剣術なども興味がありそうですね?」


「すごいな!どんな魔法を使ったんだい? 随分と大変そうだと聞いていたけど」


 セドリック殿下が目を瞠って、私に言った。純粋に驚いている感じだ。

 私は首を横に振って答える。


「特に何も。ただ、母親を亡くしたばかりで、生きていくことにも苦労していた、孤独な10歳の子供に、従姉妹として寄り添っただけですよ。

 陛下、殿下、もっと家族として、アルディオに寄り添ってあげてください。ユリウス様やエリザベス様も。複雑な気持ちはあるかもしれませんが、あの子には何の責任もありません。生い立ちに振り回されている、かわいそうな子供です」


「確かに、元は父上の行いのせいだね。アルディオの立場は、私達と何も変わらない。シルヴィアは達観してるなあ。前世持ちだから? 君の精神年齢はいくつなんだろう?」


 セドリック殿下は、本当に身内に遠慮がない。外面はいいのに。クロード兄様とは大違いだ。

 彼の私への質問は、笑顔で流す。

 陛下は気まずそうに眉を下げると、私達に申し訳無さそうに言った。


「セドリック、悪いとは思っているんだ、私も。だから、勘弁してくれ。シルヴィア、確かにアルディオには必要なことだね。魔力暴発の危険も無くなったことだし、彼との時間を増やしてみよう。手始めに、家族揃っての茶会でもやるかな。今なら、ユリウスやエリザベスも冬の休暇中だからね」


 そうして、家族の都合を合わせて、家族内で茶会を催すことにしたようである。まあ、茶会位なら、今のアルディオでも大丈夫かな?

 私は後を任せて、アルディオの部屋へと戻っていった。




「え〜、めんどくさっ……ていうか、向こうからしたら、俺は父親の浮気相手の子供ってことだろ? 俺は、平民の卑しい子で下品だって」


 真面目に自習をしていたアルディオの成果を見てから休憩に誘い、私は先程の陛下との話を早速彼に知らせると、今ひとつ反応が悪いのはともかく、聞き捨てならないセリフがアルディオの口から飛び出した。


「は?平民の卑しい子?誰が貴方にそんなことを言ったんでしょう? 陛下の浮気といっても正確に言えば王妃様がお亡くなりになった後ですし、だいたい貴方には全く非があることではありません。むしろ貴方のことを放置していた陛下の方が……」


 本当に腹が立つ。一体誰がアルディオにそんなことを吹き込んだのか!思わず魔力が冷気になって流れたことに気がついたのか、アルディオの顔が若干引き攣っている。

 すると後ろから、ちょっと前まで執務室で話していた陛下の声がした。


「頼むから、そのくらいで許してくれないかい? シルヴィア」


「あら、陛下。早速こちらにいらしたんですの?」


 振り返ってそう返した私だったけど、アルディオは顔色を無くして、慌てて私と陛下の間に入り込むと、私を庇うようにして必死で言った。


「あの!シルヴィアは悪くなくて!」


 ああ、陛下への不敬を働いたと思って、庇ってくれた? 本当にこの子は、優しい。

 陛下もそれがわかったのか、アルディオに優しく声を掛ける。


「良い、アルディオ。わかっている。シルヴィアを咎めることはしないから。この子もちゃんと時と場所を考えて言っている。心配しなくていい」


 それを聞いたアルディオが、あからさまにほっとした。

 でも、私の怒りがおさまったわけではない。


「それでも、アルディオの耳にとんでもない言葉を入れた者がいると言うことは、許しがたいですわね」


 陛下も、ため息をついて頷きながら続けた。


「しばらく前に近衛から報告があってね。それもあっての茶会への誘いだ。アルディオ、魔力の制御訓練が順調そうで良かったよ。

 それと、テレジアの息子や娘達もシルヴィアと同じ考えだよ。だから、安心して参加して欲しい。どうかな?」


「俺……私は、その……」


 アルディオの視線が迷うように、陛下と私を交互に見る。


「アルディオ、テレジアとの子供達同様、お前も大切な私の子だ。兄弟共に仲良くして欲しいと思っているよ?」


 陛下が膝をついてアルディオに視線を合わせ、肩に手を置き、微笑みながら言った。

 私も彼に理解してもらえるように、と目を合わせて伝える。


「アルディオ、よく知らない者が、貴方を貶めることを言うのは、貴方が王家にとって取るに足らない者だと思われているからです。貴方は今、自分の問題にきちんと向き合い、毎日努力をしています。全く異なる環境に、たった一人でやってきた子供が、ひたむきに頑張っている。王家の皆は、ちゃんとわかっていますよ。だから、こういう形で貴方を守ろうとしているんです。

 貴方は大切な王家の一員で、貴方に対する暴言は許さないと、家族で守ってくれているんです。だから、貴方は甘えていいんです。もっと素直に家族に甘えていいんですよ?

 それに茶会の話を聞いて、貴方に理不尽なことを言った者は、肝を冷やすでしょうね」


 少々意地悪く笑った私に、アルディオはちょっと引きながら頷いた。


「わかりました。行きます。あの……シルヴィアも来る?」


 遠慮がちに問われたが、私ははっきり首を横に振った。


「いいえ。家族の集まりです。邪魔はしませんよ」


「別に邪魔じゃないぞ?」


 陛下が口を挟んだが、そういう問題ではない。


「私も明日は予定があるので。来週には新年度が始まりますし、大好きな兄様達とゆっくり過ごします」


「そうか。エレノアによろしく伝えてくれ」


 私の答えなんてわかっていた陛下は、あっさりと私を解放してくれた。


「はい。では今日はこれで。アルディオ、また来週お会いしましょう。よい週末を。失礼します」


 不器用な親子に、今度は敬意をもってカーテシーをして、私は父様のもとへと向かったのだった。


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