表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
97/234

95話 氷結地獄+氷の女王(1)

 月下美人の髪飾りがあった場所に流れる悪魔の血。腐敗した色をしたその血はルキフグスの美しい銀髪を汚していた。手で抑えていても流れる血はルキフグスの銀髪を伝いながら彼女の着物や氷の床を汚していた。



「このような不届き者に余るご慈悲……ありがとうございました」



 頭部の痛みに耐えながら笑みを浮かべるルキフグス。吹雪の座る氷の玉座の近くまで歩くと、ゆっくりと膝をつき、忠誠を誓う姿勢をとる。抑えていた右手をゆっくりと頭部から離し、自分の心臓の位置に移動させる。圧迫するものが無くなり、ルキフグスの頭部から先程以上の血が流れ、床を汚した。




「熾天使ごときにそこまでやられるとはなぁ。第一地獄も落ちぶれたもんだぜぇ」



 玉座に座りながらルキフグスを蔑みを含んだ目で見下す吹雪。サタンとしての魔力が彼から溢れ、床に置いてあった真っ白な角砂糖を闇と毒に近い色に染めた。


 そんな吹雪の魔力と威圧感に恐怖したルキフグスは震えながら俯き、謝罪の言葉を口にした。



「申し訳ございません。このルキフグス、第一地獄第三下層の地獄長として、相応しくない行動を取ってしまい、更なる禊を受ける覚悟は出来ております」



 震える右手を必死に心臓の元で抑えるルキフグス。和服を思いっきり握りしめていた為、その部分のみシワだらけになっていた。


 ルキフグスの震える右手をみた吹雪は口角をゆっくりと上げ、自分の左手首を自身の右手の爪を使い、切った。魔力が込められ強化された吹雪の爪はナイフのように鋭くなり、吹雪を傷つけた。そのまま床に置かれた皿に盛られた闇と毒に近い色をした角砂糖を一つ手に取り左手首から手や指を伝う血を含ませた。腐敗した血に近い悪魔の血が角砂糖にゆっくりと染み表面が若干溶ける。



ルキフグス(お前)は魔力を無限に使えるが、魔力そのものの火力は熾天使程度しかねぇ。だが、お前はオレたちと同じ第一地獄を支配する者だぁ。悪魔を統べる者として少しは自覚しろ。これはその罰だ」



 一度吹雪は、皐月に視線を送ると、皐月はゆっくりと立ち上がり、魔力と吹雪の血が混ざった角砂糖を受け取った。表面が若干溶けている角砂糖をそのまま皐月は自分の指から口へ移動させる。完全に口の中には入れず、歯と唇を使い、留まらせる。そのままルキフグスの前に簡単に膝を着くように腰を下ろす。ルキフグスの白い肌を一度舐めるように見ると、先程吹雪にされたようにルキフグスの顎を指先で固定させる。抵抗しないルキフグス。


 そのまま皐月は、角砂糖を含んだ唇とルキフグスの唇を重ねた。そのまま自分の舌を使い、血と魔力の混ざった角砂糖をルキフグスの口内に無理やり詰め込んだ。そのまま角砂糖を溶かすように自分の舌とルキフグスの舌を唾液を使い絡める。


 角砂糖により更に甘くなった二人の接吻は角砂糖が溶けきり、ルキフグスが溶けた砂糖と唾液が混ざった液体を綺麗に飲み干すまで続けられた。数分間の長い接吻が終わると、皐月はルキフグスの唇を一度隅々まで舐め、唇を離した。



「ごちそーさまー」



 Sランクで行われた接吻よりもより深く甘い接吻を楽しむかのように笑みを浮かべる皐月。彼の口元にも着いた砂糖を指で拭い、口に入れる。僅かに残る二人の唾液が混ざった液体が皐月の指先と口元を妖艶に照らす。



「いいか、お前はルキフグスだぁ。それ以上でもそれ以下でもねぇ。くだらねぇ迷いは全て捨てろ」



 氷の玉座から立ち上がる吹雪。そして口元から唾液を零すルキフグスの横を見もせずに通り過ぎた。それに続き、皐月も立ち上がる。既に彼の口元には砂糖も唾液も無くなっていた。




「ベルとアスタロトの進捗状況を確認しに行くぞ。ブブ」



「御意」




 ルキフグスの頭部の流血を指先でそっと撫で、血の着いた指先を舐める皐月。二人はそのまま第一地獄から去っていった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ