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逃げも隠れもしない


「廊下は、いちゃつく場ではありませんよ」


「そうそう、自室でやりなさい」


「あなた!!そういう問題ではありませんよ」


テンポの良い会話をするルイズとロマード。お互い気まずく視線を合わせない二人にルイズは咳払いを一つした。


「話があります」





ロマードの書斎へと案内され、さてとルイズは扇子を机に置いた。


「ライアーさん手の怪我の方はどうでしたか??」


「あぁ、軽症でしたので治療していただきました。もう問題ありません」


そうと頷いたルイズは、ライアーの手を早く直りますようにと包んだ。ロマードもルイズも申し訳なさそうに目を伏せている。


そんな二人になんと声をかけようかと迷い言葉に詰まった。


とりあえず、もう絶対怪我しないようにしよう。


「先ほどの方、レオディール伯爵夫人とお話をしてきました」


「あちらはなんと??仰っているのですか母上」


イアルとライアー、ロマードとルイズは向かい合うように座った。


「ライアーさんとの婚約を取りけし、自身の娘マーガレットと婚約して欲しいと」


あの時といっている事は同じかとイアルは顎に手を当てた。


「あの、質問宜しいでしょうか」


イアルの横に据わったライアーが手を上げると、ルイズは頷いて了承した。


「そのマーガレット様は、元々婚約者候補の方だったんですか??」


いやと答えたのはロマードだった。


「婚約もなにもない、マーガレットは今年生まれた子だ」


「え??」


ライアーは吃驚して目を丸めた。レオディール伯爵夫人は、今年生まれた子とイアルを婚約させようとしたのか。


「言っている事も滅茶苦茶だ、婚約すると約束をしたではないかと声を荒らげるのだが。我々二人ともそのような記憶はない」


ロマードもルイズも、酷く困惑した様子だった。してもいない約束をしたと暴れまわられれば困りきってしまうのは仕方ない事だ。


「ずっと人間の子などより自分の子と、といい続けていて。今は落ち着かせるために休ませているのですけど」


そうですかとライアーは頷くしか出来なかった。


「反発はそれなりに覚悟していた。君もしてはいたと思うが」


「はい、婚約パーティーでの一件の事もありますが。それがなくても、反対する人もいらっしゃるかなとは思っておりました」


ロマードはうむと頷く。


「しかしだな、こんなにも早く君に危害が及ぶとは思っていなかった。完全にこちらの考えの甘さだったすまない」


ルイズとロマードが頭を下げるので、ライアーは焦りながら首を振った。


「気にしないでください」


「もし、怖いようならあちら家へ帰る馬車を出そう。残ってくれといった身としては、無責任な事かもしれないが今回以上に危険な目にあう可能性もある。今のうちに」


あちらとはクレフィング家の事だろう。ロマードは好意で帰るかどうか聞いてくれているのだ察したライアーは首を左右に振った。


「帰ったりしません。反対する声もあるでしょう、危害を加えてくる人もいるでしょう、でも王太子妃になる人間がここで逃げていては駄目だと思うんです。誰がなんていおうと、私はイアルの婚約者ですから」


逃げも隠れもしない、胸を張るライアーにルイズとロマードは目を丸くした。その瞳に少しの喜びがにじみ出る。


「イアル」


「はい」


「良き伴侶を見つけましたね」


ルイズは初めてライアーと対面したときイアルに言った言葉を、再び口にした。


ふわりと笑う両親に、イアルも笑って頷いた。



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