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騒動は会場で


準備をし、急ぎ足で会場へ向かうライアー。一方の会場では、ある騒動が起きていた。


「イアル様は騙されておりますッ!!」


甲高く叫び会場中を騒がせる娘、エリナがイアルに縋りついて叫んでいたのだ。貴方は騙されている、姉は自分を陥れる悪魔だと。


腕を引かれるイアルは困ったように顔を引きつらせていた。


ざわつく会場。ルイズもロマードも会場に顔を出し、叫ぶエリナに近寄った。


「一体、何事です」


「母上、父上」


ルイズは扇子で口元を隠すと、エリナを見下ろした。イアルは、困ったようにルイズとロマードに視線を向ける。


「陛下、どうぞお聞きください。我が姉は私利私欲が強く、気に入らない婚約者を私に押し付けイアル様との婚約をしたのです。この国に似つかわしくありません!!」


イアルは目を見張った。自分が好いた女性はそんな人ではない事を知っているからだ。


「姉は言いました。「私にあのような男は似つかわしくない。王妃に私はなるの、お前にはあいつをあげるわ」と私の意見など無視して無理やり」


おいおいと泣き始めるエリナに、会場の目が不信感を帯び始める。そのような女性が後の王妃に相応しいのかと王妃になれば私利私欲のままに国民を窮地に陥れるのではないかと噂話がささやかれ始めた。


しめたとエリナは畳み掛けるようにイアルに縋る。


「イアル様と本当に婚約するのわ私だったんです。でもお姉様がお前には次期王の妻は似合わないって」


ずっと黙り込んだままだったイアルの顔に怒気が帯び始める。


まったくもって彼女のこの演技は無駄そのものだ。そもそも、イアルがライアーに求婚したのであってエリナに縁談話が行くわけがないのだ。


そのことをエリナは知らない。


根も葉もない話をベラベラとエリナは喋り続ける。そんな中、自身の知らぬ間に不穏な空気になった会場にライアーが登場。自然と不信感を帯びた来賓客の視線を浴びることになった。


何事だとライアーも、後ろで控えていたオリジやミハネたちも目を丸めた。


「ライアーさん、来るのが少し遅くはなくて??」


自分に向けられる視線は、お世辞にも良いものではない。ライアーが驚きを隠せないでいるなか、会場で一番に動いたのはルイズだった。


彼女が会場で控えるのはもっと早くなくてはいけない。彼女が指摘するのもわかる事だ、祝ってもらう身でありながら遅れてくるのは印象が悪い。そもそもかなり遅れての到着だ。


それはアクシデントがあったがためで、本来はもっと早くつくはずだった。しかし言い訳などすることではない。ならばそれを見越してもっと早く準備をするべきだといわれたら何も言えないからだ。


屁理屈かもしれないが、そうだとも思う。言い訳よりも先にするべき事があるなとライアーは腰を低くかがめた。


「大変申し訳ありませんでした。婚約を祝うため集まっていただきました来賓の方々、そして陛下やルイズ殿下をお待たせするなどあってはならないことです。」


ライアーはルイズ、ロマード、イアルへ、そして来賓客へと頭を下げた。ルイズは、扇で口元を隠しその姿を見下ろした。彼女の表情からは、感情が一切読み取れない。



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