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本当にやめろ






◇◇◇◇


銀色のドレスを身にまとい、色とりどりの煌く宝石を身に着ける。化粧をし、髪をセットし、ライアーは普段以上の仕上がりになった。侍女たちは、その綺麗さに息を呑む。


ファニマーン王国についてから、早いものでとうとう婚約パーティーが始まろうとしている。ただただ面倒で仕方ない。


「パーティーの間だけ、空からモンスターでも降ってこないかしら。中止になるし」


「なに縁起でもない事言ってるんですか」


数日の間で仲良くなった侍女のスミネは呆れた顔をした。横にいるミハネも苦笑いを浮かべている。この二人は、城に着いたときに起きたあの騒動の時の二人だ。


どこの令嬢も侍女を連れているが、ライアーは一匹狼よろしく連れ歩かない派。この城でも侍女は要らないと言ったが、ルイズに形だけでもつけておきなさいと言われ、それならと二人を指名したのだ。


といっても強制ではない、侍女とは普通の使用人より面倒くさい業務が増えるのだ強制するのはあまりに気の毒。しかし、二人は食い気味になると頷いてくれた。


ミハネもスミネも犬型の獣人で、頭を撫でると尻尾が千切れんばかりに振って可愛い。二回言うが可愛い。


どこかイアルを思い出すなと最終チェックに入る二人を見下ろした。


準備が終わりさて、頑張りますかと一歩足を出そうとした瞬間。バンッと荒くドアが開けられた。ミハネもスミネもギョッとしつつ扉のほうへと視線を向けた。二人の毛は完全に逆立っている。


「おねぇさまぁ」


あ、終わったわ。

ライアーは甘ったるく絡みつくようなその声に、遠い目をした。会いたくなかった、来なくていいのにと微笑んでやりたい。


「どなた様でしょうか!?!?」


「いきなり部屋に押し入るのは無礼ですよ」


ミハネとスミネは警戒しつつライアーより前に出て、声の主エリナを威嚇した。二人に自身の行動をとがめられたエリナの眉間にしわが寄る。


「なんですかこの毛玉。無礼なのはあなた方ですよ、私はライアー姉さまの妹です」


誰に向かって口利いてんだとエリナはギロリと二人を睨んだ。ライアーは、尻尾が内股に隠れこんでもなお威嚇する二人の頭を撫でて一歩前に出る。


「無礼なのは貴女ですよエリナ、この子達に向かってあのような発言は聞き捨てなりません。謝りなさい」


チッと大きな舌打ちをしたエリナは、ギリッと下唇を噛み今度はライアーを睨みあげた。


「次期王の妃になったからって、調子乗ってんじゃないわよお姉さま。あんたはそうやって使用人とつるんでるのがお似合いなのよ。王子の妻にふさわしいのは、品がって立場をわきまえた私のような人よ」


「そう、ならリチャード様に見初められてよかったじゃない」


「馬鹿にしてんの!?!?何が嬉しくてあんな奴と婚約なんて!!」


青筋を浮かべ激怒するエリナ。しかし、知ったことではない。お前が私から奪ったんだろ痛くも痒くもないけどとライアーは無表情を貫く。


「……いいわ、いつまでも余裕で居ればいいわ」


悪巧みをするように不気味に笑うとエリナはバンッと入ってきた時のように荒々しくドアを閉めて出て行った。

ちゃんとドア閉めれるんだねと小さく感動したのは、あまりにも馬鹿しすぎだろうか。まぁ、賢い子ではないな。


かなりの疲労感に、近くの椅子に座りなおす。ミハネとスミネが心配そうに近寄ってくるので、ライアーは微笑んで大丈夫だと二人の頭を撫でた。


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