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夜空を瞬く星など比ではないほど



両陛下との挨拶を終え、あてがわれた部屋へと無事たどり着いた。バフンッとベッドに倒れこむ。

くそ疲れすぎで、逆に眠れない。


「その前に、服」


さすがに自分の屋敷にいたときのようなグータラぶりは問題だろうと起き上がる。着替えは何処だろうかとあたりを見渡しふと視線が外へ向いた。

バルコニーに続くガラス戸の向こうはとっくに暗闇で、空には夜空を照らすランプのように三日月が輝いていた。


何があるわけでもないが、そちらのほうへと足が進んだ。


カチャリとガラス戸をあけ、バルコニーに出る。手すりのある場所まで向かうと、城へ来るときに通った町が見下ろせた。


まだ夜店でにぎわっている町は、キラキラときらめいて見える。


「どう??綺麗でしょ??」


ビクッと驚きで肩が跳ね上がった、バクバクと忙しない心臓を落ち着かせるために胸に手を置く。

普通にびっくりした!!


数センチ離れた隣の部屋のバルコニーからイアルが声をかけてきたようで、手を伸ばせば触れられるほどの距離で彼は笑っていた。


「普通にびっくりした。足音も気配も感じなかった」


「肉食獣にガブリと食べられるほど無防備だったね」


例えが笑えない、怖いって。


「この国って普通に野生のライオンとかヒョウもいるから気をつけてね、食べられないように」


いやだから笑えない。


町も城も、大自然に囲まれている。イアルが言うライオンやヒョウのような動物が本当にいたとしたら、サーッと顔が青くなっていく。いやモフモフはしたいが、お命頂戴は遠慮したい。


「ごめん冗談だよ」


あまりに血の気の引くライアーに、イアルがあわてて訂正を入れた。どうやら小さな悪戯心でやったらしい、許せない。


真顔のまま横目だけでその意を伝えるライアーに、イアルの肩がビクリと揺れた。


「……ごめん」


あからさまシュンとする彼に、真顔なんて仮面は剥がれ落ちる。


許さないというのは嘘だから、どうかその垂れ下がった尻尾と耳に栄養を上げて欲しい。隠しているつもりなのかもしれないが、滲み出ているのだ彼の落ち込みオーラが。


「……別にいいですよ、それに守ってくれるんですよね??ライオンが襲ってきても」


「!!……それは勿論、命に代えても」


月明かりに照らされる彼の微笑みは、目を疑うほど美しかった。銀色の髪は夜空を瞬く星など比でないほどキラキラと揺れている。


「……美男許すまじ」


「え!?」


グヌヌッとかなり儚く気品のあるという言葉からかけ離れた顔で、ライアーは手すりをギリギリときしませた。


本当、婚約者が自分よりも綺麗過ぎる場合どうしたらいいのだろうか。



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