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花は体の一部ですか??


あぁ良かった誰も怪我はなさそうだと安心するライアーに、イアルは無言で近づいた。その気配に、顔を上げると彼は何も言わず肩に頭を乗せてきた。


「守るって言ったのに」


馬車から出てきたことを言っているのだろうと一瞬で理解する。確かに、男性を立てるのなら馬車の中でジッとしていて守られるべきだったのだろう。結果出てしまったが。


「イアル様が危険な目にあっているかもしれないと思ったら、無意識に出ていました。申し訳ありません」


ごまかしても仕方ないと正直に話すと、イアルは手で顔を覆った。


「それは反則ッ」


反則となんだろうかとまったく彼の意味を理解できないライアーは首をかしげる。そんな二人のやりとりを遠めで見ていた騎士たちは、顔を寄せてコソコソと話し出した。


「なぁあの二人が最初に会ったのって、大体一週間前だよな??」


一人の騎士が、隣にいた騎士の腕をつついた。


「あぁ、そう聞いてる」


仲良すぎじゃね??と二人の騎士はそれぞれ思った。イアルとライアーは出会ってかなり日が浅い、しかし二人の雰囲気は数年単位の長い付き合いで、互いのことをよく理解した仲の良い間柄に見える。


「平和だな」


二人の姿を見て一人の騎士が呟くが、平和とはかなりかけ離れたトラブルに巻き込まれたばかりだ。馬車にイアルとライアーが乗り、再び動き出す。騎士たちも気持ちを切り替え、馬の背に乗った。




再出発した馬車の中、ライアーは自身の隣で落ち込み中のイアルをどうしようかと考えていた。

怒っている様な雰囲気はないが、かなり落ち込んでいるようで耳と尻尾が今あるのであれば、ヘニョッと力なく垂れ下がっているだろう。


「イアル様、落ち込まないでください。私は、イアル様がいて心強かったですよ」


チラリとライアーに視線を向けたイアルだったが、再びそっぽを向く。


「イアル様元気になってください」


元気付けねば萎れてしまうぞ!!とライアーは一生懸命に声をかける。


「……あのさ」


どれだけ声をかけてもリアクションの薄かったイアルがやっと口を開いた。


「なんですか??イアル様」


「ずっと考えてたんだけど、イアル“様”ってやめない??」


むしろずっとそんな事考えていたのかとツッコミを入れたくなった。必死に元気付けようとした数分前の自分が滑稽に思える。元気付けようとした相手は、落ち込んでませんでした。


「……何を藪から棒に」


「イアル様って呼ばれるたびに、なんだか距離を感じて寂しい」


シュンッとする姿に、普通に可愛いなこの人と真顔になる。ライアーはえーっとと口をもごもご動かした。


「イアルさんとお呼びすればいいんですか??」


「……さん」


呟くイアルの声は、今にも息絶えそうなほど小さく掠れていた。顔も、この世の終わりなのかと問いたくなるような顔をしている。

あぁすいませんでした私が悪いです!!と半ばやけになりつつ、ライアーは頭を抱えた。


「イアルとお呼びしますが異論は御座いませんね」


「うん、そうしよう賛成」


ふふッとイアルの周りに花が具現化される。これは貴方の体の一部ですか??と花を触ろうとするが、掴める筈もなくライアーの手は宙を空ぶるだけだった。



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