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デジャブ



バタバタと騒々しく屋敷の自室に帰り、早々に布団にもぐりこんだ。少し開いた窓から柔らかな風が、寝室の中に流れ込んでくる。フワッとカーテンが揺れその隙間からは月明かりが入り込んできた。


窓が開いたままだと気づいたもののライアーは起き上がる事はせず、うつぶせに倒れ込んだ体を反転させた。


「なにはともあれ、ミッションクリアよ私。明日からものんびりライフが私を待ってるわ」


フフフと不気味な笑い声を出しつつ目を閉じた。気分は良い、明日は外でお茶をしてメイドの子達と世間話をしてと予定を考えつつゆっくりと眠りについていった。


その眠りについたその時まで、上手くいっていた。




が、そんな上手くいく人生などない。


早朝、いつもの様に朝食を取っていると入ってきた情報に、ライアーは青筋を浮かべた。持っていたグラスがミシリッと本来なるはずのない音を立てる。


近くに立っていた使用人がビクリと肩を震わせたことに気づき、いつも通りの笑みを貼り付け安心させるように微笑みかけた。


食事を終え、その足で父であるデレクの部屋へと向かった。鬼のような形相に、すれ違った使用人が二度見をするがそんなことを気にしている暇もない。


「お父様、開けますね」


「いやノックして!?デジャブ!?デジャブなの!?」


ノックもなしにドアを開ける。鋭いツッコミが入るがそれは完全にスルーを決め込み、ライアーはデレクの書斎机に拳を振り下ろした。


「お父様、いえサンドバッグ様」


「何で言い直したのお父様だよ!?あってるよお父様で!!そんな物騒な名前で呼ばないで!?」


ため息混じりに咳払いをしたデレクは、手を組んでライアーを見上げた。


「君に恥をかかせてしまったね、昨晩はすまなかった」


「別に気にしてませんよ??」


そんな事どうでもいい、それが用件ではないと話を変えようとするがデレクの口がとまることはなく、ベラベラと言葉は続いた。


「エリナも反省しているんだ。父としては、この婚約を祝ってほしい。身勝手なのは重々承知だが」


「気にしてませんよお父様。聞こえませんか??年ですかね、耳掃除でもしましょうか??右から左に棒が貫通させれば良く聞こえるようになるかもしれません」


「あ、すいませんでした」


サササと後ずさりしたデレクは、この子ならやりかねないと顔面蒼白で両手を挙げ頭を下げた。



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