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プロローグ
以前短編で投稿した作品の長編バージョンです。
最初の方はそちらベースに書き直しつつ投稿しようと思いますのでよろしくお願いします。
ハッハッハッ短い息遣いでその小さな獣は、命からがら森の中を逃げていた。
追いかけてくるモノたちは、ギラギラとした瞳で小さな獣を捕らえようと手をのばす。
草むらを抜け、木々の間を走りぬけ、気づけば追っては居なくなっていた。が、体中傷だらけになっていた。何処を見ても血が滲んでいる。
呼吸をすると体が痛みに悲鳴を上げた。パタリと力なく倒れ込む。
このまま、命尽きてしまうのか??……あぁ、それもいいかもしれない。
死を覚悟し目を閉じた獣に、ふと小さな手が触れた。
「いたい、いたいね。……だいじょうぶよ」
高く、聞き心地の良い声。体をさする手、小さな獣は痛みに震えつつもその手に身をゆだねた。




