表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ちょっとだけオチのある短編集(ここを押したら短編集一覧に飛びます)

辛いコウシン料

作者: よっきゃ

 世の中はスパイシーだネ。刺激的なものばかりで溢れてル。


 特にこのカレーなんてものはソレの代名詞ヨ。そう言ってもいいくらいだヨ。


 実にスパイシー。辛いコウシン料がこれでもかというくらいに入っていル。どうしようもないくらいニ。



 そして、ワタシはこのコウシン料という名前のものを甘く見ていタ。




「賃貸物件のコウシン料……まだ待っていただけませんカ?」


「いいや、ダメだ。もう三ヶ月だぞ。三ヶ月待った。それなのにお前は更新料を払えなかった。三度目の正直でもダメならもう諦めるんだな。世の中そんなに甘くないんだ。もう明日には出ていってもらうぞ」




 非情な言葉が耳に飛び込んでくル。



 突然家に押しかけた彼は、その非情で辛辣な言葉を言い残し帰っていっタ。




 ワタシはどこで間違っていたのだろうカ。



 やはり日本の高級な一等地でカレー屋を始めようと考えたあたりだろうカ。


 それとも、世界一激辛で誰も食べられないカレーを作ってしまったあたりだろうカ。




 今ワタシの鼻腔には、世界一スパイシーなカレーの匂いが立ち込めていル。



 だが、もうこの辛さとはもうおさらばダ。

 甘くやさしい家族が待つインドへと帰る時が近づいていル。


 しかし、最後にワタシには、やらなければならない辛い仕事が待っていル。



 この三ヶ月、日本で学んだ日本人の心。やさしい日本の心。それは、もったいないという日本独自の精神。


 ワタシはこの精神が大好きダ。だから、この精神をもって、ワタシが作った世界一激辛なカレーを全部食べるのダ。帰国するまでニ。




 そしてワタシは皿にカレーを盛ル。


 スプーンですくい、口に放り込ム。



「ああっ! 辛いネ! 辛いネ!」



 目から涙が出てきタ。辛すぎテ。

 もったいないはやさしくなかっタ。辛かっタ。


 それにしても、この量はとても一人では処理できそうになイ。ひと口であの辛さなのダ。

 ワタシは無事に帰国できるのだろうカ。行き先不安であル。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ