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シュナ、クエストを探す

「で、あんたらどうすんの? ここじゃ依頼なんてほとんどないか、あるとしても常連優先で回してるから。一見さんが出来る仕事なんて、ロホロ鳥狩りか、ダンジョン探索ぐらいよ」


 ロロナッドの町の冒険者組合で、ガラダさんがふんぞり返っていた。

 まぁ、そりゃ常連優先だよね。

 いきなり来て割のいい仕事を回してもらおうだなんて、都合よくはいくはずない。


「ここのダンジョンに出るモンスターと、魔石の買取価格ってどんなもんですか?」


「うちはほとんどバウンドエイプ。魔石は屑だから買取値はそんな高くないよ。一個につき銀貨2枚くらい。ちなみに教えておいてあげるけど、ここの宿の相場は最低のところで一泊銀貨10枚ね。すきま風が入らないそれなりのところに泊まろうと思ったら25枚」


「う~ん。渋いですねぇ……しかも、バウンドエイプか。爪もないし体も小さいから攻撃自体は大したことないけど、ぴょんぴょん飛び跳ねて狩るのがめちゃくちゃ大変なやつ。ここって一階層だけですか?」


「うん。しけてんでしょ? あんな狩りにくいモンスター、一日粘っても五匹も狩れればいいとこだし。誰も狩らないわ」


 銀貨2枚かぁ。

 スケルトンは魔石のみでも銀貨は5枚くらいだった。

 しかも、結構狩りやすいので人気もあった。


 スケルトンが落とすブロンズソードが銀貨15枚。

 プラスがつくと買値は跳ねあがる。

 スコンプの町のほうが多少物価が高いから、宿も普通クラスで30枚くらいしたけど……。

 それにしてもショボい。


「ロホロ鳥ってのは?」


「あんたもここに来るまでに見かけなかった? まん丸くて嘴の長い、黒い鳥がいたでしょ。あれよ。気性が荒いから家畜化できなくてね。大きくなりすぎて飛べない代わりに、足が速いの。しかも、〈透明化〉と〈すり抜け〉で逃げ出しちゃうのよね。身はつまってておいしいし、ランガドゥからわざわざ食べにくる金持ちも多いから、捕まえて売れば銀貨15枚くらいにはなるんじゃないかしら」


 それでようやくブロンズソード一本分かぁ。


「どっちも割と安全な仕事ですね」


「この私が危険な仕事を、あんたたちみたいな、か弱い女二人連れに紹介するわけないじゃない」


「ってことは、危ない仕事もあるんですか?」


「聞いてどうすんのよ」


 ガラダさんが怪訝そうな顔をする。

 多分、私なら狩れるんだけどね。

 あんまり目立ちたくもないし、それらしい言い訳を並べておく。


「いやぁ、はは。念のため。知らずにそっちに近づいたら危ないじゃないですか」


「それもそうか。……ここで一番危険といえば、魔王ルヴルフね」


「ま、魔王!? 魔王なんているんですか?」


 魔王なんて言ったら、下位神が出張るレベルの脅威だ。

 魔王の中でも上位に位置する七災王なんて、神々と今も争っているらしい。

 お互い、戦いが忙しくて人間たちの世界にほとんど手出しできないというのが不幸中の幸いだけど。


 なんて思ってたら……


「いや、いないわ。自称よ。本人がそう言ってるだけ」


 自称かよ!


「長年、町を広げたくて開墾しようとしているんだけど、町の南の平地がルヴルフのテリトリーなのよね。あの辺りは土がいいから、きっと肥沃な農地になるはずなんだけど」


「そんなに強いんですか?」


「魔王を自称しちゃうようなバカだけど、強いは強いのが悩みどころなのよ。そもそも、言語を解すのも強い魔獣である証だしね」


「あ、人族じゃないんですね。魔獣でそれだけの知能を持つってことは、確かに結構厄介かも。領主に討伐部隊を出してもらわないと」


「領主も、一度は討伐隊を出したのよ。だけど、長男の初陣だったのに、惨敗しちゃってね。おかげでもう知らぬ存ぜぬを決め込んでいるわ」


「あちゃー」


「シュナちゃん」


 と、話し込んでいると、アイシャちゃんが私の袖を引っ張った。

 何かと思ったら、さっき話していた、あれか。


「あ。そっか。アイ……じゃなかった、リリちゃんも一緒にできる仕事って言ってたもんね。なら、ダンジョンに潜ってみようか。リリちゃんがすっぽり隠れるような盾を買ってさ」


「いいの?」


「うん。バウンドエイプの攻撃は大したことないから、むしろ、ダンジョンに慣れるには持って来いかもしれない。ガラダさん、この子でも持てる盾を作ってもらいたいんですけど、この辺りで武具屋さんは?」


「なら、うちの実家が裏手にあるわ。ダダラム武装具店ってとこ。一本裏に入ればすぐに見えるから」


「じゃ、とりあえず、明日にでもダンジョンに繰り出してみます。魔石はこちらで買い取っていただけるんですよね?」


「組合協定があるからね。仕方なくだけど」


 ま、屑の魔石なんて買ってもこの町じゃ使い道もないもんな。

 麻袋にいっぱいにつめて、本部か行商人に、測り売りすることになるんだろう。


「色々ありがとうございました。あと、普通のレベルの宿の場所って……」


「それは広場を挟んで組合の反対側。せいぜい、町の人の迷惑にならないよう、がんばんなさい」


「はいっ」


 挨拶は基本なので元気よく。

 私はいい返事で、その場を立ち去った。

本日も、皆さんの応援のおかげでハイファンタジー日間13位に入ることができました。

このまま10位以内を目指したいです!

最新話のすぐ下「ポイント評価」という欄から評価を入れられます。

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