表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/33

シュナ、真理より帰還す






 ぱい!














「はっ」


「お、目が覚めたようじゃぞ!」


 目が覚めると、辺りはすっかり明るくなっており、私はルヴルフとアイシャちゃんに心配そうに見つめられていた。


「え……もしや、私……」


「うむ、急に鼻血を出してぶっ倒れよってな」


「だいじょうぶ?」


「じゃ、じゃあ、まさか……私……」


 な、な、な、なんてことなの~っ!

 まさか、乳の圧に負けて倒れるだなんて!

 一介の女子として、それはちょっとどうなのよ!?


 確かにすごかったけども。

 やばかったけども!


 と思ってたら、そのヤバイ級のブツをお持ちの方も私を覗き込んでいた。


「大丈夫か?」


「ひゃっ!」


「む。まだ、どこか悪いのか?」


「い、いえ。違くて。……ええと、私、どのくらい寝てました?」


「なに、大したことはない。さっきまでは暗かったのが、明るくなっていてビックリしただろうが。単に、朝陽が昇り始めただけのこと」


 そう言って美人のお姉さんが指さす方を見ると、確かに、ちょうど朝陽が昇る頃だった。


「ご迷惑をおかけしました」


「よい。無事で何よりだ。……それより、少し体が冷えてしまった。そろそろ出る予定だったが、もう少し浸かっていくとしよう」


「あの、ごめんなさい。私、クリシュナって言います。パディナ村から来たクリシュナ。冒険者をやっています」


「ルヴルフじゃ」


「アイシャ……です……」


 三人ともお辞儀をして挨拶した。

 すると、キツめの顔が嘘のように、美人は朗らかに笑った。

 そのお顔がまた……私が男だったら、心臓が止まってしまうぐらいで。


「私は……フェンレッタと申す」


 こんな笑顔に会えるなら、モグ竜にひと晩歩かされたのも吹っ飛んじゃうね。


     :

     :

     :


 至福。

 至福だ。


 朝っぱらから露天温泉に浸かれるなんて、これ以上の贅沢があろうか。

 竜にとっても同じみたいで、ルヴルフがため息を漏らしている。


「はぁ~。極楽じゃのう」


「あれっ、ルヴルフ。こんなところにおっぱいがもう一つあるよ?」


 メインのほうは、手のひらに収まるサイズ。

 だが、同じようなのがさらに脇の下にもう一組ある。

 ちっちゃーいけど、ぷくっと膨らんでいる。


「ほぁ? そりゃあ、あるじゃろう。そなたはないのか?」


 ないよ、んなもん。

 私はお湯をバシャバシャやりながら、ルヴルフの脇の下に手を入れる。


「やめいっ、こらぁ」


「人間ではあまり見ないなぁ。ある人もいるのかも知れないけど。ん、あれ? ルヴルフってどうやって産まれたの?」


「ふゎっ? そ、そりゃ当然、卵からに決まっておろう。さ、触るのをやめよ」


「え~。不思議。じゃ、やっぱり、地竜って卵生なんだよね? なのに、おっぱいがあるの? あ、それとも、人間の姿をもらったときについてきただけで、お乳は出ないのかな」


「っひ、う! そこは……。んんっ、っち、乳は出る。われらはみな、母の乳で育つからのぅ。ひゃっ、ひゃめっ」


 やっぱり不思議だ。

 卵生なのに、母乳で育つなんて。

 その辺り、竜だからか、他の生き物とはまた違うのかなぁ。

 どうにも気になって、ルヴルフの乳首を撫でまわしていたら、ルヴルフの声の調子が段々おかしくなってきた。


「んっ……。んっ、んっ、んあっ、んふぁっ」


「人の姿だからかも知れないけど、ここからお乳が出るようには、やっぱり思えないんだよなぁ。乳首も小っちゃくて、小麦の粒みたいだし」


「はぅっ、あっ、あっ、あっ、やめっ、あっ」


「う~ん」


 とか言いつつ、こりこり。

 なんてやってたら――、


 ぽんっ!

 と音でも鳴りそうな勢いで、モグ竜の鼻が飛び出した。


「……ぅ、う、ぷゎははははは!」


 こらえきれず、笑っちゃった。


「んあっ……ふゎ?」


「ルヴルフ、鼻! 出てる、鼻! あはははは」


「ぁ……あっ……」


 ルヴルフの顔がみるみる真っ赤になっていく。


「ぉ、おのれ……! おのれ! シュナ殿とて許せぬ! このぉ~!」


「あはははは。ごめん、ごめんって!」


 涙目のルヴルフがポカポカ殴ってきた。

 今のは私が悪い!

 ごめん! ごめんよ、ルヴルフ!


「あ、あの……フェンレッタ……さん?」


「どうしたのかな? お嬢さん」


 私とルヴルフがじゃれていると、アイシャちゃんがフェンレッタさんのほうに近づいて行った。

 フェンレッタさんのブツはお湯の波間に浮かぶ島みたいだ。


 アイシャちゃん、くっ、と唇を引き締める。

 何か重要なことを、聞こうと……。


「あの……、その」


 もじもじしながら、一歩踏み出した。そして……


「いいよ。ゆっくりでいいから、言ってみなさい」


「そのっ! どうしたら、そんなに大きくなれますか?!」


 ……ああ~~っ!?

 ああ~っ?

 あああ~~~っ!!!


 なんだそれ、なんだそれ!

 私、そんなこと聞かれたことないんだけど!?


「ふむ、小さいのを、気に病んでいるのか?」


 く、悔しい~っ!

 私だってロロナッドにいた間はいつも、一緒にお風呂に入ってたのに!

 そりゃ、戦力差は歴然だよ?!

 でも、私だって多少は……


 そういうのは、まず私に聞くべきじゃないかなぁ!?

 なんか、女として負けた気分だ。


「人それぞれ、器というものがある。私と同じようにして、同じように育つとは言えないが……よく食べ、よく遊び、よく学び、よく寝なさい。冒険者とは不安定な職業だとは思うが、ご飯は、ちゃんと食べさせてもらっているかね」


「うん。シュナちゃん優秀なのよ」


「それは重畳」


 人にはそれぞれ器がある、かぁ……。

 私の器は、ここまで、ってことなのかなぁ。


 いやでも、私だってまだ十六歳だし!

 まだ膨らむ可能性も。

 がんばれ、膨らんでくれ、私のパン種……!


「彼女の役に立ちたいのか?」


「うん。早く大きくなって、一緒に冒険に行きたいの」


「なら、風呂から上がったら、少し剣を見てやろう。むろん、剣ではなく魔法で戦うという選択肢もあるが、剣を覚えておいて損はあるまい。魔法が尽きたときに身を護る術となる」


「ありがとうございますわ。シュナちゃんったら、全然教えてくれないのよ」


「保護者殿はあなたを危険な目に遭わせたくないのであろう」


 って、あれ、もしかして。

 大きくなりたいって、身長的なあれのこと?

 確かに、フェンレッタさんは身長も高いもんな。


 あ、なんか、バカな勘違いしちゃって、ちょっと恥ずかしい。

 へへ。

 私もフェンレッタさんのもとへ、つつつと泳いでいく。


「あの、私からも質問してもいいですか?」


「構わないが」


「肩、凝りませんか?」


「は?」


 フェンレッタさんはちょっと面食らったような顔をした。


「こんなに大きいと、色々不便じゃないですか?」


「あ、あぁ。……いや、クリシュナ殿は冒険者であったな。私も、実は戦闘を生業とする職業なのだが、確かに邪魔なことは多い。いっそ、切り取って捨ててしまいたいと思うことさえある」


「え!」


 それを捨てるなんて、とんでもない!


「だから、この温泉は私にとって至福の時だ。日頃の重荷から解放される」


 確かに。

 その重荷とやらは今ぷかぷか気ままに浮かんでいらっしゃる。


「ちょっと持ってみていいですか?」


「はっ?! ……あ、あぁ、構わないが」


「ふぅおおぉおぉ……! このずしっとくる重み。確かに、これをつけたまま戦うなんて大変そう。指が……指がどこまでも沈んでいく……!」


「や、た、確かに。戦う際はサラシで充分に潰し、その上で鎧を着こんでいる」


「うへぇ。それは窮屈そう」


 と話しつつも、ふよふよ。

 いつまでも触っていられるな、これ。


「あっ、んぅ。もう少し、優しく……」


「鎧ってことは、もしかしてフェンレッタさん、騎士様なんですか?」


 鎧なんて着るのは、基本は騎士様だけだ。

 あんな高いもん、冒険者で着ているやつなんて、そんなに見かけない。


「んっ! あ……あぁ。王都にて、魔戦将軍を拝命している。……実は今日、私と同じ悩みを持つ同僚を、鼓舞する意味も込め、ここに呼んであるのだが。まだ着かぬようだ」


 へぇ~。魔戦将軍かぁ。

 って、エリート中のエリートじゃん!

 っていうか、最近、どっかで聞いた気がするんだけど……。


 と、その時、風呂場の入り口に新たに小柄な影が見えた。

 そのサイズ感、つい最近までよく見ていたような。


「え、が、ガラダさん?」


 ぽよぽよっとしたシルエットの持ち主は、ドワーフの受付嬢ガラダさんだった。

 あれ、なんで?

 ロロナッドの町にいるはずなのに。


「あれ~っ、あんたたちも来てたんだ? いいわよね、ここの温泉」


 ガラダさん、子供みたいに見えるけど、十六歳。

 私とタメだ。

 ちなみに、ちょっとふくよかなお子様みたいな体つき。

 あるんだか、ないんだか……ないんだか……ってぐらいかな。

 これは……私の勝ちと見ていいでしょう。


「あ、そういえばね。さっきそこで、すごい人に会ってね。私、たまたま王都でお見掛けしたことがあって、声かけちゃったのよね~」


 ガラダさんが嬉しそうな声を出す。

 その後ろから、長身の女性が風呂場に入って来た。


 その人は……もちろん、私も見たことがある。

 私が剣を折っちゃったあの……


「お、おぉ。着いたか」


 フェンレッタさんが新たな人影――ヴァレンシアさんに声をかける。

 私はアイシャちゃんを掴まえて、岩の陰に飛び込んだ!

◇今回はなんかめっちゃ筆が乗ってしまい、長くなってしまいました!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
面白かったら是非是非、拡散にご協力いただけると助かります!
感想や評価、レビュー等も、随時お待ちしております!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ