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シュナ、魔王を斬る

「なんなんです、あなた! その剣は!? 我が刃には〈鋭利化20〉相当の魔力を込めたというのですよ!?」


〈鋭利化20〉か。

 国一番の汎用武器であるスケイルスラッシュが〈鋭利化13〉だから、それ以上……ということは神の賜物、伝説級の武器にも届きうる魔力が籠められていたということになる。

 伝説級の力を簡単に生み出せる、って実はすごくない?


「そなた……われを助けてくれたのか」


「言ったじゃん。危なくなったら助けるってさ」


 疲れてはぁはぁ言ってるモグ竜の肩を優しく叩く。

 と、魔王ランドールが青筋を立てて叫んだ。


「この場所で力を研ぎ、私は七災王に挑むのです! 今でこそ従属魔王なんぞやっていますが……七災王にすら届きうる伝説級の武器、それと同じ鋭さを、一時的にとは言え付与するこの技を! どうやって、うち破ったというのです!?」


 なんか悪いことしたなぁ。

 私の〈鋭利化120〉の前には何もかも霞んじゃうよね……。

 私もちゃんと覚えておこう、〈鋭利化20〉は伝説級の域って。

 ついこの間折ったばかりなので、いまいちピンと来ないけど。


「あの、ごめんね。モグ竜も憎めないやつだからさ、情が湧いちゃって。ケンカを売ったのはこっちからなんだけど、ここは引かせてもらえないかな? モグ竜のことは後で私がしばいとくから」


「そんなことはどうでもいいのです! あなたの、その剣! その剣は何だと聞いているのですよっ!」


 ランドールが唾を飛ばし、激昂する。

 その時、


「そういうことじゃったのかああああっ!」


 いきなり、ドワーフのお爺さんが奇声を上げた。


「な、なに? お爺ちゃん」


「うおおおっ、わしはっ、わしは勘違いしておったのじゃ! 粘土じゃ! 粘土にこそ、魔力を固着させる秘密があったのじゃ! 長年使い、親しんできた粘土こそが、確実に狙った効果を付与するポイントであったのじゃあっ! そこな魔王のおかげで、わしは気づけたぞいっ!」


 そういえば、ガラダさんが言ってたっけ。

 お爺ちゃんが、武器に狙った魔力を付与する秘密にあと一歩のところまで来ているって。

 王立研究院と同等レベルの研究結果って、何気にすごくないか?


「なんか……おめでと?」


「こうしちゃおれん! 早う帰って、技術を確立せねば!」


「逃がすと思いますかっ!?」


 突然、目の前に巨大な土壁が出来る。

 あぁ、これは確実にめんどくさいやつ……!


「クハハハハ。その剣の秘密、聞かせてもらいますよっ!」


「う~ん、秘密も何もなぁ」


 すると、ルヴルフがかっこつけた。


「ぐっ。ここはわれがあやつを引きつける。おぬしも見たじゃろっ? あやつのあの力を……さっきのようなマグレが、二度もあるとは思えん。地竜の底力、しかと見せてくれる」


「でも、ルヴルフ、満身創痍じゃない。何か、結構強い魔王だったみたいだし」


「私をそこらの雑魚魔王と思ったのが運のツキよ! 七災王グランディアズに仕えし四大王が一人、地のランドールとは私のことだ!」


「……うん。えと、その、そうなのね」


 申し訳ないけどあんまり強そうに聞こえないのは、多分、頭に『地の』がついてるからだと思うんだけど。

 そこはスルーしよう。

 多分、実際の強さとは本当は関係ないと思うし。多分。

 今みたいに、土を自在に操るのは脅威だしね。


 モグ竜みたいに、地竜って聞くとタフで強そうなんだけどな。

 なんでだろうな?


「秘密って言われても、単純にこの剣があなたのやつより強いだけなんで。大人しく、帰らせてもらえませんか」


「クハハハハ! そんなチンケな銅の剣が、私の生み出せる最高の力をも圧倒するというわけですか? ……何たる愚弄! 良いでしょう、もはや秘密を聞き出そうなどとは思いません! あなたを殺して剣を奪い、じっくりと調べさせてもらうことにしましょうっ!」


 わ~、やっぱり、こうなるよね~。

 なー? んー、それなぁ?

 まぁ、こうなったほうが逆に、話が分かりやすくていっか。


「んじゃ、ほいっと」


 私はブロンズソードを一閃させて、ランドールを斬り伏せた。

 だが……、


「なるほど。切れ味だけは確かに鋭いようですね」


 さっきのルヴルフとの戦いのときのように、別の場所からランドールがにゅっと現れる。

 あ、あれれ?

 これって、もしかして無敵じゃないの?


 ルヴルフが言った。


「これで分かったじゃろう。あやつに攻撃は効かんのじゃっ。そなたがいかに腕に覚えがあろうと、あやつには手も足も出ぬはず。われが退路を作る! そなたは逃げよッ」


 そう言って、ルヴルフは巨体を活かして土壁に体当たりした。

 土煙をあげて、壁はがらがらと崩れる。

 ひええ。


「逃がさないと言ったはずでしょう!?」


「おのれ、させぬっ」


 土くれの剣を投げてくるランドール、それに炎を吐いて対抗するルヴルフ。

 スペクタクルだわぁ。


「あのね、シュナちゃん」


「あ、危ないよ。アイシャちゃん」


 モグ竜とハゲ魔王が戦っていると、アイシャちゃんがとことこ私のもとにやって来た。

 背伸びして、私の耳に顔を近づける。

 そして、ごにょごにょ。


「……ね、だから、……じゃない?」


「ふむふむ」


「……でしょ。……だから」


「ほうほう……」


「……ってことは、……で、……じゃないかなって」


「……なぁるほど! アイシャちゃん、賢いっ!」


 私はアイシャちゃんを全力でハグして、ほっぺをすりすりした。

 アイシャちゃんは少し体をこわばらせて、むーっとしている。

 むーっと。


 アイシャちゃんと離れ、私は宣言する。


「おいっ、ランドール! 私を殺そうとしたこと、今なら許してやるぞ!」


「クハハハ。何を言い出すかと思えば。そこまで私を愚弄いたしますか。先ほども見たでしょう!? あなたの攻撃が効かないところを!」


「ならば、この剣を受けてみろっ!」


 私はランドールまでの距離を一息に跳んで、ブロンズソードを振り下ろした。

 ランドールの右半身を斜めに斬り裂く。

 さっきは、このあとランドールがどろっと溶けて、別の場所からにゅっと出てきたのだが……


「な、バカな……!」


 ランドールは斬られた体も治せないまま、硬直していた。


「ハァッハッハ! 見たか! お前はさっき、ルヴルフの攻撃はすべて受けて見せたが、ルヴルフが炎を吐いたときだけは、先に地面に潜って炎をかわしていただろう! あれを見て、お前の弱点は炎だと、私は気づいたのだよっ!」


 そのため私は、〈魔法発動〉によって、剣に炎の魔力をまとわせた上でランドールを切り裂いたのだ。


「……いや、どう考えても、気づいたのはそっちのチビっ子のほうでねーか?」


 お爺さんが余計な茶々を入れてくる。

 ううう、うるさいなぁ。


「よくも……! 確かに私は、熱せられると泥の体が固まってしまって、地面に潜ることが出来ない……! そのことに気づかれるとは!」


 ランドール、説明ゼリフでの弱点の吐露、ありがとう。

 では、ここから、私のターンだ!


「もう地面に潜り、この炎をかわすことはできまい! ゆくぞっ!」


 気分が高まって、ちょっと騎士様みたいな口ぶりになる私である。

 ぐぐっと腰を落とし、矢をつがえるように、剣を引く。

 実はこんな動作なくても〈魔法発動〉は出来るんだけど、気分よ、気分。


 私は剣を突き出しながら、コマンドワードを叫んだ。


「ほやぁぁっ! メガファイヤァァ――ッ!」


 瞬間、巨大なホールを埋め尽くすほどの凄まじい炎が、剣の先から噴き出した。

 業火はランドールを黒焦げにし、焦げた先から吹き飛ばしていく。


「こ、この熱量……われの炎の、何倍も……!」


 モグ竜がなんか言っている。


「あ……が、ば、バ……かな……」


 やがて、ランドールの体表のほとんどが焼失し……、半分ぐらいの大きさになったところで、炎は弱まっていった。

◇引き続き、ご相談中です。現在、今作の書籍化に向けて企画進行中です。

私自身あまり詳しくないものでお願いなのですが、感想や割烹などで、お好きなイラストレーターさんを教えてもらえると嬉しいです!

編集者さんにも提案してみますので!(通るかどうかは分からない)

クイズの時みたいに回答者ゼロだと泣きます。(充分あり得る。怖!)

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