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東方幻人録  作者: ポカ猫
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第5話 第二次紅霧異変前編

遅くなりました。

本編をどうぞ

 2人の拳がぶつかり、地面がビリビリと震えた。


「なかなか強いですね」

「お褒めいただきありがとうございます」


 そう言いながら同じタイミングで俺は美鈴さんに回し蹴りを飛ばした。


「そういえばスペルカードルールで勝負しないんですか?」


 すると美鈴さんが俺の回し蹴りを片手で受け止めて、それから俺を投げ飛ばした。


「そのルール、私に合わなくて。スペカ使うならどうぞご自由に」

「相手が使わないのにこっちは使うなんて、そんな事しませんよ真剣勝負でやりましょう」


 今度は美鈴さんが俺に回し蹴りをしてきたので、それをかわし腹に1発パンチを入れた。


「…………うっ!」

「どうですか?自分自身のパンチは、効くでしょう?」


 美鈴さんが自分の腹を抑えながら立ち上がった。


「いやはや強い…… でも……」


 その瞬間、美鈴さんが俺との間を一瞬で詰め俺の腹を思い切り衝いた。


「…………っ!」


 そのまま吹っ飛び、奥にある木にぶつかった。


「スピードをつけての正拳突き、体には相当ダメージが入ると思いますよ?」


 正拳突きかぁ…… そりゃ痛いはずだ。


「まだまだ、戦えますよ」

「これくらいでへばって貰っても困ります」


 そんな事を言いながらも、美鈴さんもさっきの一撃がかなり効いていたようだ。


「そういえば、この霧は何のために発生させたんですか?」

「この館の主、レミリア様の妹フランドール様の幽閉解消のお祝いです」


 そのまま、美鈴さんに殴り掛かりながら美鈴さんに話しかけた。


「どうして、幽閉されていたんですか?」

「フランドール様は自らの力がコントロール出来なく、自分の力がコントロール出来るようになるまで地下へ幽閉されていたんです」


 ですから、と続けて美鈴さんは俺にアッパーを食らわしてきた。


「ここであなたを屋敷の中に入れるわけにはいけないんです。今までさみしい思いをしてきた妹様の為にも!」

「そうなんですか。でも俺も負けられないんです、人里には俺のことを良く思っていない人たちもたくさんいます。けれど、俺のことを大切に思っている人も少なからずいるんです。だからその人の為にも」


 俺は、負けられない!そう思い、俺は一層体の力を強くした。


「そうですか、ならお互い長い戦いはできませんね。この一撃で終わらせましょう、構えてください」


 そう言い、美鈴さんは先ほど繰り出した正拳突きの構えになった。

 俺も同じ構えをとり美鈴さんに向き合った。


「それでは行きます!」


 二人同時に相手の腹に思い切りの正拳突きを放った。


「………みごとです」


 先に声を上げたのは美鈴さんだった、それと同時に地面に倒れてしまった。


「すみません咲夜さん………」


 そういって、気絶してしまった。


「……ぐはっ!」


 俺は美鈴さんの正拳突きの衝撃で口から血を吐いた。威力高すぎだよ…… でも、それだけこの人の思いは強かったんだよな。


「あなたのこの姿しばらくお借りします」


 そう言い、俺は美鈴さんの姿のまま紅魔館へ入って行った。



 しばらく館の中を歩いていると、妖精メイドの中に明らかに格が違うと思われる人間のメイドがいた。


「あなた、誰ですか?」


 メイドさんが近づき俺の首筋にナイフを当ててきた。

 ばれた!?そんな馬鹿な!模倣は完璧なはずだ。


「何を言っているんですか?私は美鈴ですよ咲夜さん」


 先ほどの妖精メイドの声の中からこの人物が咲夜さんと呼ばれる人物なのは分かっていた。

 これで、何とか誤魔化せてくれ!


「美鈴は居眠りをよくして仕事をさぼっているけど、このような大事な時期に門番の仕事をほっぽり出して館に帰ってくるような、馬鹿ではありません」


 咲夜さんは、もう臨戦態勢と言わんばかりに俺との距離を離しナイフを構えている。


「ばれてしまったら、戦いづらいですね」


 俺は、美鈴さんの模倣を解いて咲夜さんに笑いかけた。


「市井義人です、どうぞよろしくお願いします」

「あぁ、人里で有名なフェイカーですか」


 フェイカーとは俺のことを良く思っていない人たちが俺につけた名前だ、偽物ということだろう。


「美鈴はどうしたのですか?」

「門の前で倒れていますよ」


 すると、咲夜さんは驚いた顔で俺に聞いてきた。


「美鈴を倒したのですか?」

「えぇ、接戦でした。どちらが勝ってもおかしくはなかったでしょう」


 そして、俺は美鈴さんの姿に戻った。


「あなたとは戦いたくない、見逃してくれませんか?」


 そう言った瞬間、俺の首筋をナイフがかすった。


「馬鹿なことを言わないでください、私は紅魔館のメイド長十六夜咲夜(いざよいさくや)。ここであなたの足止めをします。それこそ、時間を止めてでも」

「それなら、こちらも全力で行かせてもらいます」


 勝手にしてください。と咲夜さんは懐中時計を取り出した。


「時よ止まれ」


 気づいた時には20本ほどのナイフが俺の周りを囲んでいた。


「あらよっと、危ないな」


 美鈴さんの身体能力がなかったら串刺しだったな、っていうかこの館の人間はスペルカードルールを使わない人が多すぎるな。


「さすが、美鈴の体を使っているだけはありますね。ですがこれならどうでしょう」


「時を止められるのは、あなただけではないんですよ?」


 時が止まった空間の中で俺に咲夜さん近づいた。


「な、なぜあなたがこの空間で動けるのですか!」


 咲夜さんが焦ったように急いで俺との距離を離した。


「あなたの目の前にいるのはフェイカーですよ?フェイカーたる者、相手の使っている能力を模倣できずにどうします?」


 俺の手には咲夜さんが使っていた懐中時計が握られている。実は前に紫さんがくれた四角い物体は、能力を込めることで相手の持っている武器などに変身するものだった。

 紫さんがなぜそんなものを持っていたのかは気になるが、今はどうだっていい。


「さぁ、これで時間が止まった中での足止めですね」

「くっ!…… フェイカーが!」


 俺のことを咲夜さんが睨む、あぁ…… こりゃ嫌われたな……

 てか、フェイカーっての自分で言っててかなり傷つくんだよな…………


「……幻符「殺人ドール」!!」


 すると、咲夜さんの周りに大量のナイフが現れた。


「美鈴の姿で私の能力を使うとは大したものです、ですがこれを避けられなければ終わりですよ?」


 そう言った後に、その大量のナイフが俺めがけて飛んできた。

 こりゃやばいな…… ここで使うことになるとは思わなかったが、使うしかないか。

 俺は、頭の中で一か月前に見たある映像を思い出した。


「恋符「マスタースパーク」!!」


 真っ白のスペカを取り出し、飛んでくるナイフに向かってマスタースパークを放った、その攻撃は咲夜さんにも少し当たったらしく、態勢を崩して地面に落下した。


「魔理沙のスペカも使うんですか…… さすがとしか言いようがありませんね」


 咲夜さんが立ち上がりまたナイフを取り出した、けどもう遅い。


「地面に着いたら、もう貰ったも同然ですよ」


 その瞬間俺は咲夜さんの後ろに回り込み、首の後ろに手刀を叩き込んだ。


「……うっ!」

「今の俺の姿は美鈴さんなんですよ?地上戦なら負けません」


 そのまま咲夜さんが倒れそのまま気絶した。


「そして時は動き出すだったかな?」


 すると止まった時間が動き出し、世界に色が戻った感覚になった。


「次はあなたの姿を借りますね」


 咲夜さんを壁際に座らせて、俺は咲夜さんの姿を模倣した。


「次はどこに向かえばいいのだろうか?」


 館の中を進みながら、キョロキョロと周りを見回しながら探索していると、近くに妖精メイドが飛んできた。


「咲夜さん!先ほどの仕事が終わりました。次の指示をお願いします!」

「そうね、美鈴が外で倒れているみたいだから、治療に行ってちょうだい」


 わかりました!と元気な返事をして妖精メイドは飛び去って行った。意外と気づかれないものだな。



 そのまま館の廊下を歩いていると目の前に図書館が見えた。


「もし誰かが居たら後から面倒だな、中を確認しておくか」


 図書館の中に入ってみると、椅子に腰かけて本を読んでいる女の人がいた。


「あら、咲夜仕事はどうしたの?」


 その女の人は本を読むのをやめ、俺の方を向いて聞いてきた。


「えぇ、一段落着いたのでお茶でもお持ちしようかと思いまして」

「そうだったの、じゃあアップルティーを頼むわ」


 そう言って、読書に戻ってしまった。

 すると、本棚が並んでいる通路から羽の生えた女の子が大量の本を抱えてこちらに向かってきた。


「パチュリー様!この本何処にしまえばいいんでしたっけ?」

「小悪魔、その本は23番目の本棚の4段目の右から8番目よ」


 的確に指示をして、俺に向き直った。


「ところで、あなたはいつまで咲夜の格好をしているの?」

「えっ!?」


 パチュリーさんが俺のことを指さし、そのあと本の横に置いてあるティーポットを軽く叩いた。


「咲夜はあなたが来る10分くらい前にアップルティーを言われる前から持ってきて、私のところに届けてくれた。うちのメイド長の真似をするなら、もっと作戦を練って来なさい侵入者さん」


 やはり、姿としゃべり方だけでは。話のつじつまが合わなかったりして、正体がばれてしまうか。


「どうやら、咲夜を倒したみたいね。次は私が相手をしてあげるわ」


 パチュリーさんが椅子から立ち上がり魔導書のようなものを持ち俺に笑いかけた。


「レミィの所へは行かせない。今日は調子がいいの、思い切り戦えそうだわ」


最後まで読んでいただきありがとうございました。

昨日、毎日投稿する言ったのですが、仕事の関係上週2回か3回程の投稿になるかもしれません。

いつも読んでくださる皆さんには誠に申し訳ないと思っております。

これからも東方幻人録をよろしくお願いします。

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