第3話 妖夢の本当の思い
なんとか書けました!
最後にこれからの方針について皆様に聞きたいことがありますのでぜひメッセージをください。
人里に入ると、昨日とあまり変わらず賑わっていた。
「ん?なんだあそこ?」
周りの民家よりもひと回り大きい木造の建物が立っていた。
「寺子屋?」
その建物には寺子屋と書かれた看板が立てかけられていた。
寺子屋か…… ちょっと覗いてみようかな。
「失礼しま〜す……」
中に入ってみると、1番奥の扉から騒がしい声が聞こえてきた、てかこれって不法侵入&不審者だよな。
そう思い、回れ右をして入ってきた扉へと引き返した。扉を出ると俺の目の前に俺よりも身長の高い可憐な女の人が立っていた。
「なんだお前、抜け出してきたのか?ダメじゃないか慧音に叱られるぞ」
と言われながら首根っこを引っ張って奥の扉へと連れていかれてしまった。
「慧音、授業から抜け出した生徒を連れてきたぞ」
そう言い俺を部屋の中に放り込んだ、周りの生徒を見てみるとみんな小学生くらいの子供であった。
「ありがとう妹紅、コラ!ダメじゃないか抜け出したりしたら……?」
授業をしていた女の人が妹紅さんにお礼を言いながら振り返った。
「妹紅…… そいつ、うちの生徒じゃないぞ?よく見てみろ身長が明らかに違うだろ」
すると、妹紅さんがあれ?っと俺の方を見つめてきた、するとホントだ!と自分の失敗を責め始めた。
「いや、妹紅は悪くないよ。いつも抜け出した生徒を連れてきてくれて感謝している。それより、お前は誰なんだ?」
「あの、俺市井義人と言いまして。人里を散歩してたらこの寺子屋を見つけて、どんな風に授業をしてるのかが気になって」
慌ててここにいる理由と、自分は誰なのかの説明をしてなんとか納得してもらえた。
「そうだったのか、ならもう少しで授業が終わるから少し隣の部屋で妹紅と待っていてもらえないか?」
そう言って慧音さんはそのまま授業を再開した。
「じゃあ義人とやら、隣の部屋へ移動しようか」
妹紅さんが隣の部屋へと案内してくれた、部屋の広さは生徒達が授業を受けていた教室よりひと回りほど小さく、真ん中にテーブルがあったので妹紅さんと向かい合う形で座った。
しばらくすると、授業を終えた慧音さんが部屋に入ってきた。
「今お茶を入れるから少し待っててくれないか?」
そう言い湯呑みにお茶を注いで俺たちの前に置いてくれた。
「いただきます」
お茶を飲んで落ち着いたところで慧音さんが話を切り出してきた。
「義人、お前は普通の人間じゃないだろう?能力持ちか?」
と聞いてきたので、今までの経緯と今、白玉楼に住んでることを伝えた。
「能力の成長か…… それなら妹紅が面白い場所を知っているぞ」
そうだろ?と慧音さんが妹紅さんに笑顔で聞いた。
「永遠亭の事か?輝夜が居るからあまり行きたくないんだが……」
そう言って妹紅さんはバツが悪そうな顔をした。
「なにも、永遠亭まで送れとは言っていないよ、迷いの竹林を案内してくれれば良いんだよ」
そういうことなら…… と妹紅さんが渋々引き受けた。
最後に慧音さんにお礼を言い、寺子屋を後にした。
「今度は教師役として来てくれ!歓迎するぞ!」
と笑顔で手を振っていた。
「なぜかは知らないが、お前相当慧音に気に入られたんだな」
妹紅さんが笑ながら俺の肩を叩いた。
なぜあんなに気に入られたのだろうか?経緯を聞いて同情しただけなのではないだろうか?
「ほら、ここが迷いの竹林だよ」
迷いの竹林と呼ばれる場所に着く頃にはもう辺りが暗くなり始めていた。
「ここは名前の通り、1度迷うと1ヶ月は出てこれないと言われているからしっかりついて来いよ」
そうして俺たちは迷いの竹林に入っていった
2時間くらい歩いただろうか、辺りが完全に暗くなり妹紅さんについて行くのがやっとになってきたところで、妹紅さんが振り返った。
「あとは1時間くらいずっと真っ直ぐ進んでいけば永遠亭に着くはずだ、着いた時にはもう夜も遅くなっているだろうから、永遠亭に泊まらせてもらえ。私と慧音の連れだと話せば手厚く歓迎してくれるはずだ」
そう言い残し、妹紅さんは来た道を戻って行った。
「よし!もう少し頑張るか!」
気合を入れ直し、俺は迷いの竹林を進んでいった。
一方その頃白玉楼では、義人が帰ってこないことを妖夢が心配していた。
「義人さん、遅いですね。なにかあったんでしょうか?」
「そんなに心配なら探しに行ってきたら?」
幽々子がそう言うと妖夢はすぐさま、楼観剣と白楼剣を持って人里に向かった。
「私も一緒に行けば良かったかしら?」
妖夢が人里に降りると寺子屋からの帰り道の慧音と出会った。
「あ、慧音さんこの人見かけませんでした?」
と、いつ撮ったのか義人の写真を慧音に見せる妖夢。
「あぁ、義人なら妹紅と一緒に迷いの竹林に行ったぞ」
「ありがとうございます!」
なぜ慧音が義人の名前を知っているのかという疑問も生まれず、妖夢は迷いの竹林へと向かった。
妖夢が迷いの竹林を進んで入るとなにやら聞き覚えのある声が竹林内に響いた。
「コラー!!てゐ!隠れてないで出てきなさい!」
その声はだんだん近づいてきて、遂にはその声の人物に出会う。
「あ、妖夢さん!ここら辺でてゐを見ませんでしたか?」
その人物とはかつて異変が起きた時に出会った、鈴仙・優曇華院・イナバであった。
「鈴仙さん……うっ!」
妖夢が鈴仙の目を見た瞬間、妖夢が自分の目を抑え始めた。
「どうしたんですか?って…… 能力閉じるの忘れてた!」
鈴仙の能力は狂気を操る程度の能力、自分の瞳を見たものを狂気に堕とすというものである。
しばらくうずくまった妖夢が突然立ち上がりそのまま走り去ってしまった。
「あ、妖夢さん!待ってください!」
その素早さに鈴仙は妖夢を見失ってしまった。
「はぁ〜、まだ着かないのか?」
妹紅さんと別れてからしばらく歩いたが一向に永遠亭に着く気配がしない。
「まさか、真っ直ぐ歩いていたはずなのに道に迷ったとか?」
そんな不安にかられて、少し心配になっていた時、後ろから何やら物音が聞こえた。
「あれ、もしかして妹紅さん戻ってきてくれたんです……か?」
そこには居たのは妹紅さんではなく、妖夢さんだった。
「妖夢さん!すみません連絡もしないで、遅くなったから様子を見に来てくれたんですか?」
妖夢さんがゆっくり顔を上げた、その瞳はいつもの妖夢さんのものではなく赤く妖しく輝いていた。
「妖夢……さん?」
すると、妖夢さんが楼観剣を取り出し俺に向かって突っ込んできた。
「どうしてあなたは!私のことを可愛いと言って私の心を惑わせるのに!惑わせているのに!何で幽々子様とずっとイチャイチャしているんですか!!」
楼観剣で斬りつけようとする時、妖夢さんが赤い瞳に涙を溜めて叫んでいた。妖夢さんがもう目の前まで迫っていたその時。
「なんとか間に合ったみたいだな!」
妹紅さんが竹取用の鉈で妖夢さんの楼観剣を受け止めた。
「妹紅さん!?帰ったんじゃなかったんですか!?」
「なんだか珍しく嫌な予感がしてね、そして案の定戻ってみれば、妖夢がお前のことを斬りつけようとしているじゃないか。慧音が気に入った男をこんなところで殺させるのは惜しいからな、助けてやろうじゃないか」
そういって妹紅さんが妖夢さんの楼観剣を鉈ではじき返した。
「邪魔するな!」
「おうおう、こりゃ見事に狂気に堕ちてるねぇ…… 永琳のところで治療しないと治らないね」
妖夢さんが大勢を立て直して妹紅さんを睨みつけた。
「お前も…… 義人さんを…… 奪うのか!!」
そして、楼観剣を鞘にしまった。
「雨を斬れる様になるには三十年は掛かると言う。お前はまだ、雨の足元にも及ばない、だから私がお前に負けるはずがない!」
そう言い、楼観剣、白楼剣二つの鞘を抜き妹紅に突撃していった。
「昔、戦った事があるというのにそのことも記憶にないなんてな。お前しか眼中にないんだろう」
妹紅は鉈を構えて妖夢さんが近づいてくるのを待っていた。
「奥義「西行春風斬」!!」
すると、今まであった距離を高速で詰め、すれ違いざまに妹紅さんに斬撃を浴びせかけた。
妹紅さんが妖夢さんの攻撃を軽く避けるが、その剣閃が波のようになって妹紅さんに襲い掛かった。
「なかなか良い腕を持っているじゃないか。だが、私のほうが一枚上手だ!」
持っていた鉈の刃を反対にし、妖夢さんの首元に叩き付ける。
「………っ!」
妖夢さんが声にならない悲鳴をだしその場に倒れた。
「行くぞ義人、妖夢を担げ。自分の非力さが生み出した悲劇を反省しながらな」
そう言って、妹紅さんは永遠亭に向かって走り出した。俺もそれに従い妖夢さんを担いで、走り出した。
「永琳急患だ!相手をしてくれ」
その後、今まで迷っていたのが嘘のように早く永遠亭らしき場所まで着いた。
「お前のところのウサギが、馬鹿をやってまた妖夢を狂気に堕とした」
また……?妖夢さんは前にもこの状態になっていたのか。
すると、奥のほうから永琳さんと思われる女の人が出てきた。
「鈴仙め…… 後で私のほうから叱っておくわ。ごめんなさい、すぐに治療するわ」
永琳さんの治療はとても早く2~3分で終わってしまった。
「これで大丈夫よ、それと男の子なんだから女の子の気持ちを無下にしてはいけないわよ?」
永琳さんが俺に対して笑顔で言ってきた。
「はい、すみませんでした。まさか妖夢さんがそんな気持ちだったなんて」
「付き合ってあげろとまで言わないから、今度からはしっかり妖夢をかまってあげてね」
そう言って、妖夢さんを俺におぶらせた。
「ありがとうございました。幽々子さんも心配しているだろうし、今日はもう帰ります」
「わかったわ、またいつでもいらっしゃい。うちのウサギを道案内につかわせるわ」
妖夢さんをおんぶしながら、寝ている妖夢さんに話しかけた。
「これからは、もっと妖夢さんのことを見ますから。もし出来るのでしたら、許していただけないでしょうか?って聞こえてる訳ないか。今度起きた時にしっかり謝ろう」
「聞こえてますよ……」
すると、妖夢さんが俺の肩を掴む手を強めた。
「えっ!?起きていたんですか?」
「今さっき起きたところです。それより本当なんですよね?さっきのこと」
妖夢さんが俺の耳元でささやいた。
「私のことをもっと見てくれるっていうのは本当なんですね?」
背中越しでも妖夢さんの顔が赤いのがよくわかる、だからその気持ちにはしっかり答えないといけない。
「はい、約束です」
迷いの竹林に確かめるかのように俺の声が響く。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
これかからの物語について何ですが紅魔館編、地下編、永遠亭編のどれがいいかコメントをお願いします。もちろんどの物語も書くのですがどれから書くか悩んでまして……、
あと土日の更新が出来ません誠に申し訳ありません。
次回更新は月曜日になります。