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東方幻人録  作者: ポカ猫
28/36

バレンタイン後編

お待たせしました!


バレンタイン後編です。


では、本編をどうぞ!



「おい、義人!」

「妹紅さん?どうかしましたか?」


 紅魔館に帰るまでの道のりで妹紅さんに出会った。人里を避けて通ってるのによく会えたと思う。


「ほら、慧音も隠れてないで出てこい」


 妹紅さんは後ろに隠れていた慧音さんを俺の前に押し出した。


「ひ、久しぶりだな義人……」

「何柄にもなく緊張してるんだ?」

「うるさい妹紅!」


 慧音さんが顔を赤くして妹紅さんを怒鳴った。珍しい光景だな。


「義人…… 今日はバレンタインというものらしいな。これ、良かったら貰ってくれないか?一応手作りなんだ……」


 さっきよりも顔を赤くして、慧音さんがチョコを手渡してきた。


「ありがとうございます。大切に食べさせてもらいます!」

「そ、そうか…… でも、別に無理して食べなくてもいいんだぞ?」


 慧音さんが少し心配そうな顔をしながらそんなことを言ってきた。


「無理なんてしてません。甘いもの好きなんでおいしく食べさせてもらいます」

「そっか…… えへへ……」


 今度は嬉しそうな顔をして、もじもじとしていた。


「義人、本当に大切に食べてやれよ?慧音、3日前から材料とか買って準備してたんだからな。チョコを作ってる時なんて鼻歌まで歌ってたぞ?」

「わぁー!!妹紅!!なんで言うんだ!?」


 焦っているのか、慧音さんが妹紅さんの口を塞ごうとするが、身長が足りずまったく届いていない。


「いや、慧音の熱意を伝えてやろうと思ってな、せっかくの本命チョコというやつだというから」


「なんでそれも言ってしまうんだよー!!」


 そう叫び、慧音さんは走って逃げてしまった。


「慧音さん行っちゃいましたけどいいんですか?」

「気にしなくていい、照れてるだけだよ。明日にはケロッとしているさ」


 それと、と言い妹紅さんが手に持っていた袋からハートの形の箱を取り出した。


「これ、私からのチョコだ、慧音と一緒に作ってみた。貰っておいてくれ」

「えっ?ありがとうございます!」


 まさか妹紅さんからチョコを貰えるなんて、今日一番の驚きだ……


「おっと、チョコを渡すときには言うことがあったな」

「ん?なんですかそれ?」


 妹紅さんが一度顔を伏せて、俺に向き直った。


「お前のことが好きだ!付き合ってくれ!」

「えっ!?どうしたんですかいきなり!」


 俺がおどおどしていると、妹紅さんがニヤニヤと俺のことを見てきた。


「お~、慌ててる慌ててる。永琳に義人にこう言ってチョコを渡すとおどおどして面白いと教えてもらったんだ」


 永琳さんが?なんでそんなことを……


「なんでもお前の親父がそうだったらしいからな。やはり血は争えないな」


 妹紅さんは笑いながら俺にチョコを渡し、慧音さんを追って人里に戻っていった。


「まぁ、永琳のチョコは本当に本命だっただろうけどな……」




 紅魔館に着き、図書館で勉強の続きをしているとパチュリーさんが帰ってきた。


「あ、パチュリーさん。どこに行ってたんですか?」

「ちょっと買い物よ。それより、ずいぶんとたくさんチョコを貰っているみたいね」


 パチュリーさんが俺が読んでいる本のすぐ横に積まれているチョコの数を見て、苦笑いをしていた。


「ええ、でも生まれて初めてチョコを貰えたのでうれしかったです」

「でも食べるの大変そうね」

「皆さんが俺のためにと作ってくれたチョコですから、全部大切に食べますよ」


 俺がそう言うと、パチュリーさんが何やら嬉しそうに俺の横にあるものを置いた。


「じゃあ私からのも大切に食べて頂戴ね。ハッピーバレンタイン」


 パチュリーさんは俺にチョコを渡すと、すぐに自分の席に戻り本を読み始めた。

 しかし、よくパチュリーさんを見ると耳が赤くなっているのが分かった。


「パチュリーさん」

「何よ?」

「ありがとうございます」

「どういたしまして」


 すると、パチュリーさんは今度は少し嬉しそう本の続きを読み始めた。




 しばらくすると、図書館の扉をノックする音が聞こえた。


「お邪魔するぞ」


 扉を開けると魔理沙さんが図書館に入ってきた。


「久しぶりですね魔理沙さん」

「あぁ、最近霊夢のところに入り浸ってたらこっちに来るのを忘れてた」


 魔理沙さんは笑いながらそう教えてくれた。魔理沙さんらしいなぁ……


「久々に来たみたいだし、今日は私がお茶を入れてあげるわよ。ちょっと待ってなさい」

「おっ、久々に来るといいことがあるもんだな」


 パチュリーさんが図書館を出る時に魔理沙さんの肩を軽く叩いた。


「頑張りなさいよ?」

「おう、ありがとう」


 声が小さくて聞こえなかったな。あれかな、何飲むかみたいなことかな。

 パチュリーさんが出ていくと、魔理沙さんが俺の近くの椅子に腰を掛けた。


「パチュリーから聞いたぜ?お前の魔力量すごいんだってな」

「そうみたいです、自分でもびっくりしました。」

「魔法使い義人、いい響きだな」


 魔理沙さんがうんうんと俺の名前の響きを楽しんでいた。


「そういえば、お前ずいぶんとチョコを貰ってるんだな」

「パチュリーさんも同じことを聞いてきて苦笑いしてましたよ」


 すると、魔理沙さんが立ち上がった。


「実はな…… 私もお前にチョコを作って渡そうと思ってたんだが、私は料理が苦手なもんで全部失敗しちまったんだ…… だから代わりに違うプレゼントを持ってきた。渡したいから少し立ってくれないか?」


 わざわざ俺のためにチョコを作るだけじゃなくてプレゼントなんて、なんだかうれしいな。


「魔理沙さん、これでいいですか?」

「あぁ、それと少し目をつぶってくれ」

「こうですか?」

「それでいい、少し待ってくれ」


 2分程が経ち、魔理沙さんがよし!と声を出した。


「準備ができた。義人、少しだけかがんでくれ」


 そう言われ、少しかがんだ瞬間。

 ほっぺたに少しみずみずしい柔らかい感触が起こった。


「えっ!?魔理沙さん……?」

「これが、今の私にできる唯一のプレゼントと気持ちだ。受け取ってくれ」


 目を開けると、顔を真っ赤に染めて恥ずかしそうにしている魔理沙さんがいた。


「魔理沙さん…… 今のって……」

「私からの気持ちだ…… 来年は頑張ってチョコを作るから楽しみにしててくれ」


 そう言って魔理沙さんは図書館から飛び出していってしまった。


「魔理沙、うまくいった?」

「うん…… 大成功だ」

「ならよかったわね」


 パチュリーは聞かなくても魔理沙の顔を見た時点で成功したのは分かっていたが、彼女のいたずら心が聞かずにはいられなかったのだ。



 幻想郷に住む恋する少女達は意中の相手にチョコを渡し、それぞれの気持ちを相手に伝えることができた。その夜幻想郷には甘い空気が漂っていた。


 

最後まで読んでいただきありがとうございました。


次回更新予定日は金曜日か土曜日になります。

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