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六話

「これおいしー、ていうか全部おいしい!」

「よかった~ちょっと不安だったけど気に入ってもらって何よりだよ」

私が二度目のお風呂から上がって約30分後の天塚さんたくのリビングにて。

テーブルにはいろんな料理が所狭し(もともと小さいけど・・・)と並んでいた。

私が冷蔵庫に残っていたお野菜や缶詰をいためたりサラダ風にしたりしただけの簡単なものばかりなのだけれどこの家の住人、天塚葵さんの様子を見る限りかなり気に入ってもらっているようだった。

「いやー大学に入って学食と外食しかしてなかったからこういう手料理がめちゃくちゃおいしく感じる!」

「それはちょっと栄養バランスが気になるなぁ・・・。キッチン見る限りじゃほとんど料理したことないの?」

葵さんは箸をピタリと止め、少し気まずそうな顔をして目をあからさまにそらした。

その彼女の様子を見ただけで料理未経験者であることが窺い知れた。

「う、まぁ、料理は・・・その、かなり苦手・・・ってかむりぃ。よく料理できるね」

「う~ん、食べてもらう人のこと考えながら作ってたら自ずと・・・練習してできるようになってたかな」

すこし笑いながらかえすと、そこにはぎょっとする葵さんが。

「えっ。いやいや、ありえないっしょ」

手をぶんぶんと振る彼女。全力で否定されてしまった。全く意味がわからないとでもいいたげな顔だ。

お料理、楽しいけどなぁ。

「家庭科とかで調理実習したことぐらいあるでしょ?そのときはどうだったの?」

私は一番近くに盛り付けてあった卵焼き一切れをひょいっと取ると口に運んだ。

「あー、ごめん。その辺は私にとって黒歴史だわ」

「あ、あはは。じゃあこれ以上は詮索しないでおくね」

どうやら葵さんは料理に対してかなりの苦手意識があるようだ。

「だったら、私が教えてあげよっか?お料理」

「え、ホント?」

私の提案に驚きと戸惑いを隠しきれない葵さんの顔が接近してくる。

「うん、私でよければだけど・・・・」

だが彼女はまだためらっている様だった。逆に調理実習で何をやらかしたのかが気になってくる。

悩むこと数分。壁にかけられた時計の秒針とカチャカチャと箸と容器が当たる音だけがこのおしゃれな一室を支配している。私は横目で彼女を見つめるしかなかったが、その彼女がようやく口をひらく。

「うん、じゃあ・・・お願いしても、いい・・・・・・?」

しかしその大きくひらかれた口とは裏腹にその消え入りそうな声と上目遣いで言ってくる葵さん。

少し、いや女の私でもかわいいと思ってしまった。

「え、教えてくれるんだよね!?」

「ん、うん。もちろん、これからもよろしくね!」

あまりにも不意打ちともいえるかわいさだったので返事をすることを忘れていた。

ただ、大学に通い始めて半年以上ぼっち生活をしていた私だけれど。

こうして自然に初めての友達ができたことに私の心は驚きでいっぱいでした。


投稿ペースがかなり遅くなってすいませんでした

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