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五話

特になしです!

目の前には見慣れた景色が広がっていた。

学校からの帰り道で通っていた大通り。確か桜大通りと呼ばれていたはずだ。コンクリートなどではなくレンガで敷き詰められた歩道もそれなりに広く車道側には等間隔で大きな木が何十本も生えている。

春になれば、きれいで満開に桜が咲く。だけど今はつぼみをたくさん抱えた桜の木が並んでいる。よく見れば空は少し淀んでいて雪がぱらぱらと降ってきている。手のひらを少し前に上に向けて突き出し落ちてくる雪を取ってみる。一粒の小さな雪はすぐに溶け、少量の水にへと姿を変えてしまったが全く冷たいとは感じない。どうやら私は夢を見ているようだった。よくよく考えたら私は天塚さんに突き飛ばされたはずなのだ。こんなところに私が今立っているわけがなかった。夢とわかっていながらも懐かしいという故郷への哀愁を募らせる。大通りを少し進んだところで人だかりができているところに出くわす。どうやら救急車も来ているようで時折隊員さんの「通らせてください!」と焦りを感じさせる言葉が聞こえる。

それに呼応するかのように群れた群衆が動いて救急車への道を形成する。交通事故なのかな?そんな軽い気持ちで覗いて見る。見てしまった。


制服姿で担架に泣きついている......私。

そしてその担架にぐったりとして目を覚まさないかつての想い人。


心臓がドクンと大きく高鳴ったのがわかった。その光景から目線をはずすことができなかった。

救急車が行ってしまった後は野次馬たちは少しずついなくなっていったが制服姿の私は未だに顔をぐしゃぐしゃにして周りのことを気にせず、みっともなく、泣いていた。

その光景が私の中の頭の中で眠っていた記憶を叩き起こす。

彼の笑ってる姿、怒っている顔、真剣なときの表情......一緒に過ごした時間から彼の最期を看取った時まで......。頭の中をぐちゃぐちゃにかき混ぜられる感じがした。吐き気がする。目頭が熱くなる。

前かがみになり、口元を押さえる。しかし記憶の奔流はとまるはずがなく......。

私はその激しい記憶の渦に逆らえることができず.........プツッとテレビの電源が切れるように目の前が真っ暗になった。


      ■   ■   ■   ■   ■   ■


「ハァッ...ハァ、ハァ」

「うわ!びっくりしたー」

勢いよく起き上がる。周りを確認するとさっき訪れたばかりの天塚さん宅の室内が眼前にあった。それに私が眠っていた間にベッドに寝かせてもらっていたようでご丁寧に羽毛布団までかけてくれていた。頭がまだ少しずきずきとする感じがする。それを除けばおおむね体調が変わったりは無いようだった。

天塚さんが心配そうに見てくる。

「だ、大丈夫?ごめんね、急に押し倒しちゃって...」

そういうと気まずいのか下を向いてしまった。なるほど、この頭痛は思いっきり頭を打ったときにできたものか。彼のことが記憶の奥底にしまわれていることを心で確認する。

「ううん大丈夫。心配かけちゃってごめんね」

その言葉で安心したのか、顔をまたこっちに向けてくれる天塚さん。いちいち反応が返ってくる天塚さんが少しかわいいな、と思ってしまった。

「え、う、うん。それより大分うなされてたけど...」

「そっちももう平気」

「それならよかった~」

彼女の顔に笑顔が戻る。頭を少し横に傾け、私も笑顔を返す。

そしたらその拍子に汗がたれてきた。右手でそれを拭うとそれで初めて知ったがどうやら汗で私はグチョグチョになってしまっていたようで...。この部屋の住居人と目が会う。それを見ていた天塚さんが頭をぽりぽりとかきながら

「あー...かなり汗かいてそうだからもう一回お風呂入ってきなよ。まだ着替えはあるし、さ」

「うう、面倒かけます」

そうして、またもやお風呂を貸してもらう私なのでした。

こうやって書いていると小説家の人たちってやっぱりすごいなぁと思います!

自分も精進あるのみだなぁ、とも。

もっと勉強していきたいと思います。感想、レビューお願いします!

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