表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

毎日ショートショート

ちょっとそこまで

作者: 華タクロー
掲載日:2026/05/22

「おはようございます。」


「良いお天気ですね。」


「お出かけですか、どちらまで?」


「ちょっとそこまで。」


「お気をつけて。」


おい、ちょっと待て。


この日本語、おかしくないか?


オイラは、この日本語の会話が大嫌いさ。


だから、本当にちょっとなのか、確かめてやることにした。


ご近所さんと、あいさつを交わす。


ご近所さんはゆっくりと角を曲がっていった。


尾行スタートだ。


この日のために、尾行のトレーニングをしてきたのだ。


元公安の人間に、高いトレーニング料金を払った。


ご近所さんは何も気付かずに、スタスタと歩いて行く。


しめしめ、完璧な尾行だ。


不意に、ご近所さんが振り返った。


オイラは、壁のかげに隠れる。


ご近所さんは周りをきょろきょろと気にしている。


ふう、危ないとこだった。


オイラは尾行を続ける。


ご近所さんは、近くの公園を通りすぎる。


ほらな、全然ちょっとじゃない。


オイラは尾行を続ける。


ご近所さんは、格安スーパーも通りすぎる。


ちょっとの感覚が違いすぎ。


オイラはにやにやする。


オイラは尾行する。


ご近所さんはどんどんと行く。


オイラは尾行する。


どんどん行く。


オイラは尾行する。


とうとう、ご近所さんは隣町までやってきた。


ご近所さんはそこでタクシーに乗った。


オイラもタクシーに乗る。前の車追ってくださいなんて言わない。


うまくタクシーを誘導して、ご近所さんを尾行する。


野を越え、山を越え、川を越え、ご近所さんは、小さなビルの前に降りた。


オイラもすぐにビルの前に降りる。


どこがちょっとそこまでだ。


オイラは文句を言ってやろうと、ビルの中に入っていく。


オイラは縛りあげられていた。


スパイのアジトだった。


誰も尾行できないはずだった。


オイラは驚いている奴らに言ってやる。


「おい、どこがちょっとそこまでだ!」


みんなが、ポカンとしながら、スコップを持ったりしている。


オイラは埋められるらしい。


「オイラをどこまで連れてくんだ?」


「ん?ちょっとそこまでだな。」


「それは本当にちょっとなんだろうな。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ