第8話 育成開始 〜最初の戦闘仲間〜
第8話です。
ここから物語は「主人公だけの戦い」から一歩進みます。
守るためには、育てなければならない。
その覚悟を決める回です。
「戦える者を、育てる」
昨夜の咆哮が、まだ耳に残っている。
普通のゴブリンではない。
あれは群れを率いる個体――上位種だ。
俺一人では勝てない。
「だから、誰かに戦ってもらう」
その言葉に、
集まった村人たちの空気が張りつめる。
最初に一歩前へ出たのは――
「俺がやる」
少年だった。
名前はカイル。
十六歳。
亡くなった猟師の息子だ。
「父さんみたいには無理だ。でも、逃げたくない」
まっすぐな目。
(覚悟はある)
「……後悔するかもしれないぞ」
「それでもいい」
即答だった。
【仲間加入】
カイル(仮Lv1)
武器適性:弓
(弓?)
「弓、残ってるのか?」
「壊れてるけど……直せば使える」
それを聞いた瞬間、
脳裏にスキル表示が浮かぶ。
《即席工作 Lv1》
簡易修理成功率上昇
「持ってこい」
俺は言った。
村の倉庫から出てきた弓は、
弦が切れ、木部がひび割れていた。
「直せるのか?」
村長が不安そうに聞く。
「やるだけやります」
枝を削り、
縄をより合わせ、
慎重に組み直す。
(頼む……)
数時間後。
弓は、なんとか形になった。
「引いてみろ」
カイルが矢をつがえる。
――ビュッ。
矢は、的に刺さった。
「……いける」
【クラフト成功】
簡易狩猟弓(耐久:中)
【経験値を獲得しました】
(戦闘以外でも上がるのは助かる)
「今日から訓練だ」
俺は短剣を構える。
「ゴブリンは速い。正面から狙うな」
「足を止めた瞬間を狙え」
カイルは何度も外した。
だが、諦めなかった。
日が沈む頃、
三本に一本は当たるようになった。
その時。
森の奥で、
低い唸り声が響く。
昨日より、近い。
(時間がない)
【クエスト更新】
・戦闘可能な仲間を1名育成せよ(進行中)
「レイ」
カイルが、真剣な顔で言う。
「俺、怖い。でも……逃げたくない」
「……俺もだ」
本音だった。
怖いに決まってる。
だが。
「一人じゃない。それだけで違う」
俺は手を差し出す。
カイルが、強く握り返した。
森の奥。
赤く光る二つの目が、
ゆっくりと動く。
次の戦いは、
これまでとは違う。
村と、仲間と、
そして俺自身の限界を試す戦いになる。
読んでいただき、ありがとうございます。
ついに最初の戦闘仲間が加入しました。
ここからは
「個の成長」だけでなく
「連携」が重要になります。
次回、いよいよ上位種との戦闘です。
第1章の大きな山場になります。
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