第3話 森で出会ったのは、食料か、それとも魔物か
第3話です。
今回は、初めての森探索と戦闘になります。
主人公はまだ弱く、
正面から戦えば簡単に負ける状態です。
知恵と運で、なんとか乗り切ります。
ここから少しずつ、
「できること」が増えていきます。
村の外に出るのは、正直に言って怖かった。
「森は危険だぞ」
村長の言葉を思い出しながら、
俺は木の棒を握り直す。
(分かってる。でも、行かないと全員で飢える)
村のすぐ近くの森は、
思ったよりも静かだった。
鳥の声。
風で揺れる木の葉。
(……本当に魔物がいるのか?)
そう思い始めた、その時。
――ガサッ。
茂みが揺れた。
反射的に、体が強張る。
「……来るなよ」
次の瞬間、姿を現したのは――
「……野ウサギ?」
拍子抜けするほど普通の動物だった。
(食料だ)
喉が鳴る。
だが、問題は――
「どうやって仕留める?」
俺の装備は、木の棒一本。
走って追いかければ、まず逃げられる。
(罠……)
頭をフル回転させる。
地面を見ると、
露出した木の根と、少し湿った土。
(穴を掘って、枝で覆う……)
時間はかかったが、
即席の落とし穴を作り、
その奥に野ウサギを追い込む。
――ズサッ。
「よしっ!」
転んだ隙を逃さず、
木の棒を振り下ろした。
息が止まる。
数秒後、
野ウサギは動かなくなった。
【経験値を獲得しました】
【レベルが1 → 2に上がりました】
「……上がった」
たった一匹。
それでも、確かに成長した。
体が、少し軽い。
(戦闘だけじゃなく、狩りでも上がるんだな)
そう思った瞬間。
――ギィ、ギィ。
耳障りな声。
背筋が凍る。
「……ゴブリン」
木の陰から、
小柄な人影が二体、こちらを見ていた。
武器は、錆びた短剣。
(2体……まずい)
だが、逃げるには遅い。
「……来い」
覚悟を決め、木の棒を構える。
ゴブリンの一体が突っ込んできた。
(速い!)
正面から受ければ負ける。
俺は横に飛び、
足元の根に引っかける。
――ドサッ。
転んだところを、
全力で殴った。
「――っ!」
骨に当たる感触。
ゴブリンが悲鳴を上げる。
もう一体が迫る。
(次で決める!)
渾身の一撃。
木の棒が、真っ二つに折れた。
だが――
ゴブリンは、動かなくなった。
【ゴブリンを討伐しました】
【経験値を獲得しました】
【レベルが2 → 3に上がりました】
荒い息を吐きながら、
俺はその場に座り込む。
「……生きてる」
勝てた。
ギリギリだが、確かに。
視界に、新しい表示が浮かぶ。
【スキル獲得】
《即席工作 Lv1》
簡単な道具・罠の制作成功率が上昇する
「……これ、村向きだな」
ゴブリンの死体から、
錆びた短剣を回収する。
木の棒よりは、ずっとマシだ。
(装備、更新)
野ウサギと短剣を抱え、
俺は村へ引き返した。
村が見えた瞬間、
胸の奥が少しだけ温かくなる。
(守れたな……今日の分は)
これは、
最弱から始まる確かな一歩。
小さいけど、
確実な前進だった。
読んでいただき、ありがとうございます。
ようやく
最初のレベルアップと、
初めてのスキルを獲得しました。
派手さはありませんが、
この小さな成長の積み重ねが
村と主人公の力になります。
次回は、
村へ成果を持ち帰り、
人の反応が変わる回です。
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