第18話 内部洗浄
第18話です。
戦いは終わりました。
ですが、村の中には亀裂が残っています。
守るために必要なのは、
壁だけではありません。
朝の空気は、重かった。
石壁の一角は崩れたまま。
応急処置はしたが、傷跡は残っている。
それ以上に。
村人の視線が、互いを疑っていた。
トルは縛られたまま、
広場の中央に座らされている。
肩の傷は止血済み。
意識はある。
目は虚ろだ。
「……父さんを返すと言われた」
掠れた声。
「黒い紋章の男が」
やはり黒線紋。
複数人を人質にしている。
保険をかけていた。
「まだ、他にもいるのか」
俺の問いに、トルは震えた。
「わからない」
本当に知らない目だ。
村人の一人が叫ぶ。
「二度目だぞ!」
「また許すのか!」
空気が荒れる。
ユークが顔を伏せる。
俺は一歩前に出た。
「処刑はしない」
ざわめき。
「だが、甘くもしない」
トルを見る。
「お前は選べ」
「王都の言いなりで家族を守るか」
「村と一緒に取り返すか」
沈黙。
全員が息を止める。
トルの目に、涙が滲む。
「……俺は」
震える声。
「取り返したい」
「父さんを」
俺は頷く。
「なら立て」
村人たちが驚く。
「裏切りは利用する」
「王都が複数保険を掛けるなら」
「こっちも掛ける」
村の中に、緊張と理解が広がる。
夜。
監視体制を強化。
家族単位で配置変更。
人質がいる可能性のある者を洗い出す。
洗い出し。
冷たい作業だ。
だが必要。
ミラが小さく言う。
「あなた、変わったわね」
「……そうか?」
「前は守るだけだった」
今は違う。
守るために、動く。
仮面の人物が現れる。
「内部整理、ですか」
「ああ」
「あなたは冷酷ですね」
俺は首を振る。
「甘いと死ぬ」
仮面は少し黙った。
「黒線紋派閥は本気です」
「次は示威ではありません」
「制圧です」
俺は決めた。
「なら先に動く」
「人質の場所を探れ」
仮面の目が、初めてわずかに驚いた。
「攻めるのですか?」
「取り返す」
静観は終わった。
反撃だ。
夜風が石壁を撫でる。
傷は残る。
だが。
村は折れていない。
むしろ、締まった。
俺は空を見上げる。
「次は、こっちの番だ」
内部の整理回でした。
信頼は簡単に壊れます。
ですが、立て直すこともできる。
第2章は受けから攻めへ移ります。
次回、具体的な反撃計画が動きます。
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