第12話 石壁と、外からの視線
第2章スタートです。
村は守れる場所になりました。
ですが、それは「目立つ場所」になったということでもあります。
発展と、外の気配。
静かな不穏が始まります。
村の朝は、前より少し騒がしくなった。
「もう少し右だ、石を噛ませろ!」
石壁の基礎工事が進んでいる。
木柵だけだった外周は、
今は石材が積み上がり始めていた。
(拠点レベルを上げる)
その意識が、村全体に浸透している。
【拠点:小規模防衛村 Lv1 → 成長進行中】
建築進捗:42%
鍛冶場からは、金属を叩く音。
ミラが設計した簡易炉が、
ようやく形になった。
「鉄の質は悪いけど、ないよりはマシよ」
カイルは弓の弦を張り直しながら言う。
「最近、森が静かすぎる」
俺も気づいていた。
魔物が減った。
減りすぎている。
(嵐の前触れか……?)
昼過ぎ。
見張り台の少年が叫んだ。
「人影!」
全員が緊張する。
森から出てきたのは、
武装した三人組。
だが魔物ではない。
人間だ。
「……商隊か?」
近づいてくる荷馬車。
旗印には、知らない紋章。
(王都系か……?)
村の入口で止まる。
代表らしき男が笑顔で言う。
「交易の話をしに来た」
その目は、笑っていない。
石壁。
罠の跡。
見張り台。
鍛冶場の煙。
村を観察している。
値踏みしている。
「随分と、発展している村だ」
「この辺境にしては」
言葉の端に、探る気配。
俺は平静を装う。
「生き残るためです」
男は、にやりと笑った。
「王都は“優秀な拠点”を求めている」
一瞬、空気が凍る。
その夜。
村の外れ。
俺は一人で立っていた。
背後に、気配。
「動きが早いですね」
振り向くと、
仮面の人物。
「……お前か」
「ええ」
声は落ち着いている。
「あなたの村は、もう監視対象です」
「王都だけではありません」
「我々の中にも、興味を持つ者がいる」
俺は黙って聞く。
「まだ静観しますか?」
問い。
俺は視線を逸らさない。
「する」
即答。
仮面の奥で、わずかに目が細まった気がした。
「……強情ですね」
「今は、村を強くする」
「それだけだ」
沈黙。
やがて仮面は言う。
「では忠告を」
「次は、挨拶では済みません」
風が吹く。
気配が消える。
俺は空を見上げた。
守れる場所にはなった。
だが――
目立つ場所にもなった。
そして。
狙われる場所にもなった。
第2章開幕です。
村は順調に発展しています。
ですが、発展は“視線”を集めます。
王都、領主、そして魔族。
盤面が少しずつ動き始めました。
次回は、外部勢力との具体的接触になります。
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